小野美由紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小野美由紀さん。ボクがこの著者を知ったのは『傷口から人生』だった。キョウレツ。それが彼女の第一印象。一度、お会いしたいぐらいのインパクトだった。本書が2作目の著作だと思う。
エピソードとしては1作目と重なる部分はあるが、スペインのキリスト教の巡礼の道、「カミーノ・デ・サンディアゴ」の旅の紹介になっている。小野さんが巡礼炉を歩くことになったのは、あるとき聞いた「この道を歩くということは、どうしても捨てられないものを知るための作業なんですよ」という言葉が胸の中に引っかかっていたからだ。キリスト教の巡礼なんて、大方の日本人には関係ないし、海外旅行をするなら別に巡礼路を選ばなくたっていい。だから、目に留まらない人もいるだろう。だけど、この本、ボクは好きだ。何で好きなんだろうと思うと、それはやはり、小野美由紀さんに興味があるからだろう。就職にうまくいかず、人間関係もなかなか築けない。そんな彼女が巡礼の旅を通して感じたことが綴られる。偉い人の伝記も好きだけど、悩んだり感じたりする人生を綴る本もボクは好き。
いろいろな国籍の人との夕食とそのあとの飲み会。英語は下手でも通じる。盛り上がってくると、自分が何日間洗っていない靴下を履いているのかの競い合いになる。こんなに腹のそこから声を出して笑い転げたのはいつぶりだろうと思う。日本で偏った価値観と使命感にがんじがらめになっていた心が解れていく。国籍や言葉に関係なく、人は楽しいときには笑うのだ。そして時間を共有できるのだ。
彼女は頭がいいんだなと随所に感じる。たとえば巡礼という行為を行う分析。「魂の洗濯」「赦し」「エゴの治療」、いろいろな言い方があるけれど、その正体は肉体に没頭する時間がもたらす思考の再構成のことなのかもしれないと分析する。そうだよね。仏教の行にも通じるし。魂は心と体の速さが一致するところにある。現代はとかく偏った中で二つの速度が一致しないことが多い。だからメンタルみたいな話しになる。そして、身体性が議論されるんだろう。
「足すことだけが、命の向かう、方向性じゃない。欠けるから、生まれるものがある」。まったく同意、その通り。ボクもそう思います。 -
Posted by ブクログ
うーん評価がむずかしい。何を言ってもジェンダー警察にしょっぴかれそう。
素直に感想を綴るなら、主語デカいなぁって気持ちがどうしてもついて回る。いや、この場合の主語をデカくする意味も意図も背景も、それを否定的に捉えることの度し難さも危険性も、頭では分かってるつもりだし、総論を否定するつもりは毛頭ないんだけど。。それだけで正義と正論は向こうの手に渡ってしまって、生殺与奪の権を手放さないといけない感じが苦手だ。そういった感想さえこれまで抑圧されてきた女性性を引き合いに出されて抑えつけられたり。
たぶん著者がやりたいことはSFという枠組みでそういった言説を提起することだと感じた。であれば試みとしては成功していると思う。読み手としては世界観の構築が甘く入り込めなかった。そもそも「テキ」って誰だよとか。本旨に関係ないとこ指摘してマウントおつ笑とかいわれそう。
あと時々聞かれる「女子の下ネタはエグいから(笑)」というのは、女子ではなく品性のない人間の下ネタがエグいんだと読んでてふと思いました。 -
Posted by ブクログ
2018.4.17
P179
私が見ているこの世界は、紙芝居のように何十枚かの層で出きている1番上の私が今見ている絵は大人たちが用意した子供向けの1枚で真相をもっとずっと下に埋まっていて幼い私には決して掘り当てられない。
◯茫洋としていた 広々とした様、また目当てがつかない様
P196
家族の形と言うのは「こうしたい」と思ってできるものじゃないんだ、なんかよくわからないけどどうにかしてそうなっちゃうものなのだ、家族って
◯私はひきこもらざるをえなかった自分を、あのとき自分の中のかすかな走光性にしたがって、玄関でうつむいていた自分を
自分のスイッチが、ぱちんと切り替わるのを、ただ、待っていた自分を、少しだけ、褒めたい。
P214
1日の中の、いっときでも、自分というものを遠くに投げること。その空白の地帯に、いま、ここに生きている現実のゆびさきが、こちらを向いて待っている。、
P218
心は時々、頭ん中の欲望に振り回されて、本当に大事にしたいものを忘れる。 本当に大事にしたいもの、、、、
P221
ウェブディレクターというのは、本職としてまじめにやっている人にとっては本当に失礼な話ではあるのだけれど、ネットが好きで、ちょっとSNSとか分かれば、安易に名乗れる仕事でもある。、
P229
働かないんじゃない。本当は働けないわけでもない。ただ、自分に自信が無い。何かの拍子につまずいて、社会の中に、受け入れてもらえる自信がなくなっちゃったもんだから、そこから動き出せなくなる。
P233
私はようやく、ちゃんとやりたいことをやる、ということに向き合ったのだ。
企画を立てる、営業する、人の話を聞く、誰かと協力する。
「人生全部、旅にできる。就活も、仕事も、旅だよ」
社会「ルビンの壺」という有名な絵がある。あの、見る視点によって、壺にも見えるし、向かい合わせの人の顔にも見える、というあれだ。私は、社会もそういうものだと思う。社会は、その人自身を反転させた、外側の形をしている。その人がギザギザであれば、社会もとんがってギザギザになる。その人が丸い形をしていれば、社会の輪郭も、優しい形をして、その人の目に映る。
世界の見方は自分自身が更新するのだ。あまねく、他人とともに。