あらすじ
妊娠を義務付けられた女性が男たちを「食べる」世界を描く表題作や単行本未収録作等、今を反映し性と人間に鋭く切り込む全6篇!
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Posted by ブクログ
恐竜のような鱗に覆われた女たちと彼女たちに食べられる男という衝撃的な『ピュア』や全身の染色体を書き換えて男になった親友との関係性に主人公が思い悩む『バースデー』など性と人間のありようが如実に描かれたSF短編が6編収録されていて、どの作品も性的描写やグロ描写が過激だったけどそれを遥かに上回る一途な恋愛模様を見届けたいと思っている自分がいた。
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僕たちが生きている世界とは異なる世界、でもひょっとしたらありうる世界。
かなり心が揺さぶられる。
簡単なパッピーエンドは許されない厳しい現実があって、僕達は何とか納得できる正解を出そうと足掻いている。
Posted by ブクログ
この短編集を貫くテーマは、性とジェンダー。大半はヘテロセクシャル・シスジェンダー同士の関係性を描いていますが、一部は女性同士の強固な結びつき、シスターフッド的な風味を感じさせます。そして、ほぼ全編に漂う暴力性。
現代に生きる女性作家が、直球ストレートに性を扱った作品群ですが、決してセンセーショナルではありません。むしろ、いろいろと考えさせられます。
惜しむらくは、全作品が既存のジェンダー規範に囚われていること。「SEX=暴力」という現実の側面を全面に押し出し、男は搾取する側、女は搾取される側、という前提で価値観が構築されているところが、極めてコンサバティヴです。表題作は、暴力の方向性が男→女ではなく女→男に逆転している点が新規的ではありますが、最終的に「強い母親が愛する男と結ばれて子供を守り育てる」という従来の規範に収まってしまうのが、ちょっと勿体無いな、と思いました。
・・・ただ、ね、これが現実なんですよね、実際のところ。この短編集を「性の描き方が浅い」と批評するコメントも散見されますが、だって、実際そうなんだから、仕方ないじゃん。と、鴨は思います。
所々に漂うシスターフッド風味には正直違和感を覚えないでもありませんが(鴨自身がそういう経験がないので)、女同士の結びつきを強固にすることによってしか女は自分を守れない、という側面を強調した結果なのかな、と鴨は理解しました。
オンナSF者の一人として、読んでおいて損はない作品だと思います。でも、この作品について誰かと語ろうとは思わないかなー。自分の心の中だけで、じっくり噛み締めたいです。
Posted by ブクログ
「原始、女は太陽であった」平塚らいてうの言葉に肉づけを行ったような短編集。
「女が男を喰っている」という発想。肉体的にはそうであっても、観念的には受け付けられてこなかった。斬新だな、と思ってしまった。実際そうなのに。
「男女平等」ってはなから無理なのでは?違う染色体同士なのだし「みんなちがって みんないい」をどこまで想像力を持って解釈できるか?の闘争。勿論、無理だからと投げ捨てることは建前上出来ないにしても。
Posted by ブクログ
衝撃的な短編集。
6篇全てに心が揺さぶられた。
女は妊娠を義務付けられ、そのために餌として男を食べる必要がある表題作。
夏休みが明けると、親友の性別が変わっていた『バースデー』
人間を辞めて月人化した親友と再会する『To the moon』
新種の人類を生み出すため母親役になる『幻胎』
表題作と同じ世界の男側が描かれる『エイジ』
体を売り渡し、自らをサイボーグ化する『身体を売ること』
“性”と“生”が入り交じる、ダークで生々しい設定の数々に戦慄した。
それでも、彼女たちに共鳴する部分もあって不意に泣けたりするから恐ろしい。
Posted by ブクログ
フェミニズム文学ではなかった。
全体的に何だかモヤモヤするのだけど、解説が上手いことそのモヤりを言語化してくれていました。必ず解説まで読んだほうがいいと思います。
性を描いたというなら確かにそうなのだけど、抑圧された女性や女性性への怒りが強くてちょっとしんどい。
まあフェミニズム文学ではないのでね。
Posted by ブクログ
SFと性の差を交えた物語たち。
女であることで妊娠や、差別、不自由な環境や弱さや辛さが詰め込まれてありえない世界観なのにこんなにも感情を揺さぶられるのかとドキドキしながら読み進めた。
少々グロテスクな場面もあるけどそれがよりリアルに感じて、「To the Moon」はお互いを好いていることを純粋に感じ合っているんだなって、悲しくも温まる話だった。
この方は女性を題材とした作品が多いので、また見つけて読んでみよう。