【感想・ネタバレ】メゾン刻の湯のレビュー

あらすじ

どうしても就職活動をする気になれず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。 住むところも危うくなりかけたところを、東京の下町にある築100年の銭湯「刻(とき)の湯」に住もうと幼馴染の蝶子に誘われる。 そこにはマヒコに負けず劣らず“正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいて――。 「生きていてもいいのだろうか」 「この社会に自分の居場所があるのか」 そんな寄る辺なさを抱きながらも、真摯に生きる人々を描く確かな希望に満ちた傑作青春小説!

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Posted by ブクログ

銭湯を舞台にした青春群像劇。少なからず凝り過ぎて現実味を失なっているが、全体的な完成度は平均以上。次から次へと起きる事件にまた現実味がないのだが、小説なんだから、それでいいのだ。登場人物それぞれの揺れ動く心情が青臭くない範囲で描かれていて引き込まれる。

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2020年01月11日

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ネタバレ

自分の人生を改めて考え直すきっかけとなった...と言えば言い過ぎかもしれないけど、銭湯刻の湯を軸にした日常系小説かと思いきや、ものすごく深みのある小説でびっくりしました。

読み終わった後も心の中がなんだかグチャグチャとしてしまっているんだけど、今まで読んできた小説とは違った角度から自分の思考にいろいろなことを伝えてきて、今はなんだか謎の焦燥感に包まれています。

みんな何かを抱えていて、物語に登場する一人一人の口から語られる過去の出来事はとても壮絶で、、、

主役のマコもマコでそうなのだけど、マコは自分なりにその抱えているものと戦って、みんなを自分なりに助けようとしている姿はとても素敵で。

結果的に刻の湯で1番必要な存在だったのではないかなと。
マコが変わっていく姿は序盤がとても頼りない存在だっただけに笑、なんだかとても勇気づけられました。


過去にあった出来事がなければ、皆それぞれがまた違う人生を歩んでいたのかもしれないけど、刻の湯での出会いをきっかけに変わっていく姿はこれまで登場人物たちが壮絶な人生を歩んできたことを肯定してくれるようなそんな物語になっている気がしました。

過去にあった壮絶な出来事が今の彼らを形作ったことは確かで生きづらさを感じる人生を歩んできたのかもしれないけれど、それでもいづれそれと折り合いをつけて、自分なりの人生を歩んでいくことができるのであれば、それはそれでまたいいのかもしれないなぁと。
そうした自分が形作られていくのは過去の出来事があったからこそだと思うので。


ゴスピくんがオフ会で自分の似たような人たちと出会ってみたけどむしろ場違いに感じたというような部分があったかと思います。僕もそこにとても共感してわかるなぁと思いました。
趣味が合う人と同じ趣味について話していても全然楽しくなくて、一人で楽しむ方が自分にとっていいなと思うことがよくあるからです。

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2018年08月12日

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ネタバレ

近所の銭湯「みどり湯」(目黒区緑ヶ丘)の待合スペースにおいてあったサイン本。

「パニック障害は天才がなる病気ですよ。治らないほうがいいですよ。小説を書けなくなります。病気があなたを作家にしたんですよ」

作家宮本輝は、25歳の時から心の病と戦っていた。
仕事ができなくなり、引きこもり、文筆業を志し、31歳で芥川賞を受賞した。
その後も病は氏に襲い掛かった。

その時、担当医にかけられたのがこの言葉。

それからの氏の活躍はここに記すまでもない。


「メゾン刻の湯」の作者も、若くして心の病と戦っている。

苦しみ抜き、自分と向き合い続ける中でしか、見えないものがある。

この小説は、命を削って書かれた美しい人間の生き抜くドラマがある。


大学を卒業しても就職が決まらず、刻の湯に転がり込んだ主人公マヒコ。
自分に自信が持てず、さげすんでばかりいる彼が、刻の湯で春夏秋冬を仲間と過ごし、大事なものに気がついていく。

彼が変化したわけではない。
彼は彼のままで、彼にしかできない使命を果たしていくのだ。

抗いようのない運命に道をふさがれそうになっても、道半ばに倒れたように見えたとしても、また自分の足で歩いていけばいい。
そして疲れたら、広い湯船につかればいい。

読むと生きる力が湧いてくる一書。

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2018年03月23日

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登場人物が彩り豊かで、魅力的でした。人生がまだ固まりきってない時のその一瞬を切り取ったような。人生まだまだこれからだぞーがんばれーって応援したい感じです。

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2025年01月03日

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2020年39作品目。

世に言う「普通」から外れた若者が働く銭湯、刻(とき)の湯。
懐の深いオーナー戸塚さんとその孫のリョータ、謎めいたリーダー格のアキラさん、フリーエンジニアのゴスピ、恋愛に自由奔放な蝶子、そして主人公の湊マヒコ。

互いを静かに見守りながら、適度な距離感を保ちながら共同生活を送るメゾン刻の湯は居心地がよさそう。
終盤明らかになるアキラさんの謎が何とも言えない後味。
でも、アキラさんはとても魅力的。

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2020年10月02日

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どこにでもありそうな、そうでないような不思議な物語。ひきこまれなさそうでいて、いつのまにかひきこまれ、そして、また引き離されていることに気付く。
不思議な読書体験であった。

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2020年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の結末は正直微妙…、だけど現代社会をそのまま切り取ったようなウィットさはよく表現できてて面白かった。下ネタが全体の質を下げている気がするのでもったいない。
しかし、さもブロマンスを匂わせ過ぎやろう…公式でやられると萎えちゃうアレ。なので主人公やトランスジェンダーの子より、認知症のおじいちゃんのエピソードが一番萌えた(笑)

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2019年07月19日

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老舗銭湯に居候する若者達の物語。

普通の就職から離脱したマヒコは、アキラと出会い、下町の銭湯で居候達と暮らしだす。

マヒコの幼なじみで自由奔放な蝶子、セクシャルマイノリティのゴスピ、義足の龍くん、プライドの高いまっつん、銭湯主人の戸塚さんと孫のリョータ。

それぞれがいろんなbackboneを抱えながら不器用に暮らす。

しかし刻の湯の危機を発端として、歯車が狂いだす。

それぞれの運命はいかに。


作者初の小説です。

表現は少し回りくどい気もしますが、登場人物の心理を一生懸命描写しようとしている作風が伝わってきます。

自作も読みたいと思わせる作品でした。

人間完璧でなくてもいい、ありのままを受け入れる人と生きればいいと思う作品。

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2018年11月18日

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初出 2018年 ウェブサイトcakes
著者初の小説

大学を卒業しても就職先も住む場所も決まらないマヒコは、古い銭湯に住み込んで手伝うことになる。
同居人は、オーナーの戸塚老人のほかは同年代で、IT企業をやめた実質的経営者アキラ、片足が義足の美容師、トランスジェンダーのプログラマー、マレーシアとのハーフなど、社会からの疎外感をもっている。
迷い込んでくる徘徊老人を拒まず、戸塚老人の孫で母親に育児放棄されたリョータが加わると、いじめを受けていた学校に行かないという決断を尊重するが、銭湯寄席に出演させ自信をつけさせる。
メンバーはそれぞれに自分の問題に向き合い、仲間の絆を強めるが、老朽化した施設設備の更新のためのクラウドファディングの中で、アキラの秘密にマスコミが殺到して大混乱になってしまう。

なかなか深いテーマをさらりと書いているエンタメ作品。

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2018年03月31日

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初 小野美由紀著を読んだ。
始めは、おっ、どんな話になるのか、今どきの若者の話かと思いながら読んだ。
なかなか、全体的に捉えにくい箇所があって、残念なとこが強く残ったかな。

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2024年02月25日

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就職に失敗したマヒコは幼馴染に誘われて銭湯シェアハウスに居候することに。

そこにはいろんなマイノリティが暮らしている。銭湯再生、落語、クラウドファウンディングなどの文化的な流行、SNS、いじめ、LGBT、障害、宗教事件などの社会問題が詰め込まれ、詰め込まれすぎてちょっとおさまりがよくない感じ。

でも落語のパートはほっこりと暖かかったし、認知症のおじいちゃんの話もよかった。戸塚老人と孫のリョータ、幸せになっておくれよ。。

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2020年10月29日

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・《そこにあるというだけで意味のある場所》(p.213)

・就職先が決まらないまま大学卒業に至ったマヒコは古くからの銭湯「刻の湯」に住み込みで働くことになった。そこには数人の若者が暮らしていて・・・
・妙に居心地のいい刻の湯での暮らしに馴染みつつこのままでいいものかどうかマヒコは行く末をつねに探している。
・優柔不断なマヒコそのままにすべてが中途半端なまま時間は進んでゆく。実人生はそんなもんかもしれないが。なかなか落としどころの難しいお話っぽくてどういう終わりを迎えるのだろう?と思っていた。
・誰かに何らかのラベルを貼って分類できたと安心する感覚に与したくないというのがこの話の要素のひとつではあるかな?

▼刻の湯についての簡単なメモ

【アキラ】どこかおかしなヤツ。他者やおそらく自分自身をもステロタイプな価値の決め方をしない青年。ゆえに正直に思ったことを言ってしまう。「動じる」という機能はついていない。刻の湯の実質的な経営者。《僕、自分がいても、いなくても、どっちでもいい場所の方が、落ち着くんだ》。この台詞には共感。暗い影を落とすなんらかの過去があるらしい。
【ゴスピ】ふだん無口だが言いたいことは言う。部屋を出ると靴を履くのは部屋以外は外だと思っているから。基本、スナック菓子しか食べない。フリーのエンジニア。
【住人会議】二週間に一度ありいろいろ不満とか話し合う。
【タタミ】刻の湯のきれいな看板猫。
【蝶子】一方的コミュニケーションを取る女。いつもなにかと闘っている風情。手に入れたものはゴミのように捨て去る。手に入れる努力はとてもする。男も一度寝たらゴミ。だのに職業は「愛人」だとか。
【トキさん】「何事も念入りに、ただし、軽やかに」という言葉を遺した、刻の湯の元店主。戸塚さんの亡妻。
【刻の湯】薪で湯を沸かす銭湯。職住一体型で家賃ゼロ円の寮があり若者たちが集まる。
【戸塚さん】刻の湯のオーナー。包容力があり褒めて育てるタイプ。《多くの人間たちはね、あくせく働いているように見えて、案外、何もしていません。偉人だけが、この国を作ったわけではありません。その、多くの人たちによる、何もしない時間、待っているだけの途方もない量の時間がね、きっとこの国の内側にある、数字や言葉には表れない多くの豊かなものを作ってきたように思いますよ。》
【トミタさん】人気漫画家。「カブキホームレス魁!」。《暗闇には光を当ててはいけません。光の届かない暗闇を抱えておくことも、人間にとっては必要なことです》。
【マサさん】コワモテで見事な刺青。元落語家志望だったらしい。
【まっつん】ベンチャー企業に勤めている。
【マヒコ】語り手。落ち込んでいた青年。湊マヒコ。皆はマコと呼ぶ。
【龍くん】唯一恋人がいる。彼の作るオムライスは旨い。片足が義足。「ロハン」という美容室でアシスタントをしている。《みんな、よゆうが、せんぜん、ないんだ(中略)だからさ、ここでくらいは余裕持ちたいじゃん?(中略)せっかく、“こんな場所”に住めてるんだからさ》
【リョータ】戸塚さんの孫。母親(戸塚さんの娘)に置いてけぼり。心を閉ざしなかなか打ち解けようとしない。

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2020年02月06日

Posted by ブクログ

片足の美容師がいいキャラクターだと思いました。
話は普通だと感じました。
セリフがややくさく、苦手だった。

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2018年08月26日

Posted by ブクログ

”正しく”なくても
”ふつう”じゃなくても
懸命に僕らは生きていく。
銭湯×シェアハウスを舞台に描く希望の青春群像劇‼

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2018年08月15日

Posted by ブクログ

 面白かった。
 以前に作者さんの自伝を読んだことがあり、その時は「大変そう」なことはわかるものの、その大変さには共感できなかった。
 しかし、このフィクションだと、架空であるがゆえに、たくさんの登場人物達の表現に、作者さんの気持というか、わからないものはわからないままに面白いという感じがすごくする

 この距離感の保ち方、ストーリーテリングの巧みさは個人的にはすごく好み。
 自作も楽しみに読もう。

 ただ、この作品をcakesの記事で知ったのだが、ネタバレない方が楽しかった。オチを知らないままに読みたかった、もったいないことをした!と言う気持もある。記事を読まねば新作が出たことを知れず、記事を読むとネタバレに当たる。つらい。
 次作の特集の際にはネタバレに気をつけよう。
 そして、作者さん単体でチェックしておこう。

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2018年05月15日

Posted by ブクログ

就職活動が上手くいかなかった主人公をはじめ、はみだし感のある人たちが集まるお風呂屋さんでのシェアハウス。主人公のキャラが強いんだか弱いんだかブレがあるのが気になっていまひとつ入り込めなかった。ラストもなんだかな、とすっきりしなかった。救いがあるんだかないんだか…。

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2018年03月25日

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