小野美由紀のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
面白かった。
以前に作者さんの自伝を読んだことがあり、その時は「大変そう」なことはわかるものの、その大変さには共感できなかった。
しかし、このフィクションだと、架空であるがゆえに、たくさんの登場人物達の表現に、作者さんの気持というか、わからないものはわからないままに面白いという感じがすごくする。
この距離感の保ち方、ストーリーテリングの巧みさは個人的にはすごく好み。
自作も楽しみに読もう。
ただ、この作品をcakesの記事で知ったのだが、ネタバレない方が楽しかった。オチを知らないままに読みたかった、もったいないことをした!と言う気持もある。記事を読まねば新作が出たことを知れず、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みやすくてスラスラ読める。作者に感情移入してしまったり、自分重ねてしまう部分があり、少し読んでいて辛かった。自分の中の色々が思い出されてきて少し泣いた。
以下特に好きな章
✩特別になりたい?(p28〜34)
書いてあること全て良い。特別になりたいって誰もが少しは思ってることだと思う。他人を馬鹿にして見下して自分の自尊心を守る。
✩魂の速度(p35〜45)
リタの台詞「大事なのはね」「自分の、魂の速度で生きることなのよ。」社会から振り落とされないように必死に他人と並走して、だけど疲れていつの日か振り落とされる。ずっと他人の目を気にしていたけど、この台詞のおかげで、自分の魂の速度を見 -
Posted by ブクログ
勿体ねー。
第一声はそれだった。
第一志望のしかも最終面接まで漕ぎ着けたのに、ぶん投げてメキシコへの旅とか、ほんと、勿体ねー。
それは筆者も分かりきっているはずだと分かるのだけれももそれでも、思ってしまう。勿体ねー。
誰もが羨む才能や持ち札の数々。
留学経験、インターンシップ、その他諸々、みなが喉から手が出るほどに欲しいそれらを持ち、持っていて、だのにパニック障害という存在のために不意にせざるを得なくなる。
しかもそれを理解しながらも彼女はやはり人を見下しているのだな、と虚しくも思う部分まで多々ある。
そんな憎まれ口をたたくなら、そもそもはチューターのわけのわからん問いかけなぞ -
Posted by ブクログ
作者は、頭はいい。過剰に教育的な母の元に育てられたから、だけでなく、もともと頭がいいんだと思う。
でも抑圧された生活に耐えられず、中3で自傷、不登校。大学は慶応義塾大学文学部卒業だが、大学には馴染めず仮面浪人。でも他人からイケてる自分でいたくて、1年間交換留学をし、世界一周の一人旅をし、NPOでボランティア活動もした。TOEICは950点。
就活なんてチョロいと思っていたけど、どこにも受からない。(大手ばかり受けてたんだろうけど)ある日、面接に向かう途中でパニック障害に陥り、就活をやめた。
副題が「メンヘラが就活で失敗したら生きるのが面白くなった」とある。パニック障害から、作者はどのように心 -
Posted by ブクログ
切なかったことは分かったけれど、どのくらい辛かったかというのは、分からない。ケータイ小説にも似た、読み手が感情移入しないと分からない本であるなぁと思った。私のように距離感を持って読むタイプの人間だと「大変そうだなぁ」という保健室登校のクラスメイトを見守る気持ちになる。
共有できる、共感できる、感動できる、というのは一つの癒やしの手段であり、彼女はそれをスペイン巡礼の旅で得たのだろうと思う。
日常生活において、ささやかな幸せを感じることができて、それをともに喜ぶ人が居て、またそれが嬉しい。そういうことが出来れば、きっと楽なんだろうなぁと思った。