吉成真由美のレビュー一覧
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その道を究め、そして広く世界的な問題についても発言をしている著名人に「人類の未来」についてインタビューをしたもの。インタビュワー・編者はNHKの吉成さん。
インタビューを行ったのは次の五人。
・ノーム・チョムスキー「トランプ政権と民主主義のゆくえ」
・レイ・カーツワイル「シンギュラリティは本当に近いのか?」
・マーティン・ウルフ「グローバリゼーションと世界経済のゆくえ」
・ビャルケ・インゲルス「都市とライフスタイルのゆくえ」
・フリーマン・ダイソン「気候変動モデル懐疑論」
面白いのは、各人が結論が出ていない大きな論点に対して明確な意見を持っていることだ。
特にシンギュラリティや気候変動については、それぞれ違う意見を持っている。チョムスキーはシンギュラリティに対して懐疑的だし、当然レイ・カーツワイルはその到来を信じている。
チョムスキーは日本の平和憲法を高く評価する。カーツワイルは情報技術だけでなく、長寿を実現するナノテクを含む医療技術やエネルギー技術、食糧生産のバイオ技術などの指数関数的な進歩が世界を変えることを信じている。マーティン・ウルフはユーロの通貨統合を失敗と断じる。フリーマン・ダイソンは温暖化を宗教と断じる。原子力には賛成だ。
面白いのは最初のチョムスキー以外の人に、それぞれ推薦図書を聞いている。特徴が出てよい。『心の社会』...読まないとな。
カーツワイルは、マービン・ミンスキー『心の社会』とガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』
ウルフは、バートランド・ラッセル『西洋哲学史』、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』、マキャヴェリ『君主論』、エドワード・ギボン『ローマ帝国衰亡史』
インゲルスは、キム・スタンリー・ロビンスンの火星三部作『レッド・マーズ』『グリーン・マーズ』『ブルー・マーズ』
ダイソンは、E.T.ベル『数学を作った人びと』 -
Posted by ブクログ
インパク知6・4
かかった時間140分
それぞれの分野で先端を行く5人の知識人に、人類の未来について問うたインタビュー集。いくつかの、踏み込みきれなかった質問や、相手に躱された質問があるようだが、各分野の現状を整理して質問を重ねる吉成真由美と、インタビュイーたちのやりとりはエキサイティングで、(ときどきわからないところはあったものの)面白かった。
チョムスキー
トランプと民主主義についての話。「正義」は王者が独占する、ということと、シンギュラリティへの楽観的な姿勢(人間の優越性は変わらない)。
レイ・カーツワイル
シンギュラリティの話。ポストヒューマン、人間のバックアップ。サイエンスフィクションがいまやサイエンスである。
マーティン・ウルフ
グローバリゼーションと世界経済のゆくえ。
ユーロという貨幣は、政治システムが伴っていないことが失敗。世界市場にアクセスできて安全保障の力がある小国は成功する。国家が強くないとダメ、人生の意味は社会関係と献身の感覚。
ビャルケ・インゲルス
都市とライフスタイル。インタビューが電話だったようで、あんまり突っ込めていない感じ。建築はアートと工学と物理。Yes is more。建築でコミュニティづくり。
フリーマン・ダイソン
気象も(経済と同じで)説明できるが予測はできない。学校いらない、博物館ですべてオッケー。
姉妹編があるらしいので、そちらも読みたい。また、インタビュアーの方のまとめ方や問い方が的確で、何者かと思ったが、経歴を見たらMITからのハーバードで納得。
それにしても、ポストヒューマンかあ。
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(途中memo・雑考、整理前)
シンギュラリティ、ニューエイジ、サイバーパンクの夢:
シンギュラリティの論をすすめると、やたらとバカ扱いのニューエイジの夢がちらつく。
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物理的に足りなくなった大脳新皮質が外側へ拡大していくときに、スマートフォンやインターネットを通じ、点データをつないだネットワーキングやクラスタリングは爆発的に線形を飛び出し、指数関数的に拡張してゆく。
そして、バラバラの個というよりは、さざ波のようにおしてはかえす、人間、動物、生物の行動パターンや自然を観るとき、これら現象は、先人たちが追い求めた真理(神)の方程式のようなもの、本書にも断片的に述べられたωポイントへ向かう過程における、エネルギーの移り変わりやエントロピー変化の連続が繰り広げられているだけのことなのだろーか。 もしくは、すでに空間に含まれる全てが記された巻物の最後に記されているはずのオチを知るための解析、解読作業なのだろーか、とか。
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ポパーの「開かれた社会と…」は、傲慢なエリート主義で、結果のコストを負わなくていい立場での言説…というのは、そーなのかも、と思った。 -
Posted by ブクログ
ノーム・チョムスキー、レイ・カーツワイル、マーティン・ウルフ、ビャルケ・インゲルス、フリーマン・ダイソンの世界を牽引する5人の偉人たちへのインタビュー記事だった。
近い将来シンギュラリティーに到達してポストヒューマンの時代がやってくると言っているカーツワイルが、AIが囲碁のプロ棋士を破る時期を的確に当てたと、羽生さんの著書「人工知能の核心」で読んだ記憶がある程度で、ほとんど知らない人ばかりだった。
しかし、世界的に有名な人たちであるだけに、しっかりとした芯を持っており、学ぶことが多かった。
慣れない分野の知識であるだけに自分で言語化できるレベルにはなっていないが、普段はあまり触れることのない政治や経済、教育などさまざまな分野のことを知ることができた。
5人の中で、建築家の「ビャルケ・インゲルス」のことばが心に残っており、でき限り全ての要求にイエスと答えるように努力すると発言している。
両方の要求を聞き入れると破綻するプランもどうにかして両方のニーズに答えようとする姿勢が素晴らしく、そこからイノベーションが起こると信じていた。
複雑なニーズに答え、新しい発想を生み出したときの快感は計り知れず、みんなが幸せになる方向への努力は楽しいものだと思う。
最後にインタビュアーの吉成真由美さんが書かれていた言葉も印象的で一部紹介する。
「人間の記憶はカメラやビデオのようにはっきりしたものではまったくなくて、実にいい加減だ。たとえよく知っている人の顔でも、その詳細まで思い出すことができないことはよく知られている。しかしまさに記憶がいい加減であるそのことによって、まったく関係のないアイディアを自在に結びつけることが可能になり、創造性(クリエイティビティ)というものが生まれてきて、それが進化に有利に働いてきたのかもしれない。そうだとすると、もしAIの発達によって、さらにはAIと人間が一体化することによって、われわれの記憶が明確・鮮明・大容量になっていった場合、クリエイティビティのほうが犠牲になるということはないのだろうか。」
AIが人間の仕事を奪う時期がくると言われているが、こういったAIにはできない人間の良さを伸ばしていきたい。 -
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英国王立研究所で、電磁気学・電気化学の研究で有名なマイケル・ファラデーが1825年に始めた“クリスマス・レクチャー”において、現在最も注目される進化生物学者のひとりリチャード・ドーキンスが『宇宙で成長する』と題して、1991年から5回に亘って行ったレクチャーの内容を編集・邦訳したもの。
ドーキンスは、ダーウィンの思想的後継者とも言われる学者であるが、本レクチャーの中で、様々な実験・実例を使って、進化の問題を考える上で最も重要な以下のようなポイントについて、易しく見事に説明している。
◆現存する生物の進化のためには長い時間が必要であったが、人間にその長さがイメージできないだけで、実際にはそれに十分な時間が存在していたこと。
◆(神が世界を創造したと考える)「創造説」論者が、「神こそがデザインした」と言うようなデザインの生物(瓶のような食虫植物や小枝と見間違うようなナナフシ等)こそ、ダーウィンの「自然選択」という考え方で説明可能であること。
◆「創造説」論者が、「進化途中の中途半端な状態では役に立たない」と言う眼や翼のような機能でも、無いよりはあったほうが生存競争には有利であり、進化とは長い時間の中で幸運を僅かずつ積み重ねて、不可能と思われた山に登るのと同じであること。
また、本レクチャーのテーマである「宇宙で成長する」とは「権威や伝統や個人的な啓示ではなく、証拠とオープンな議論とに基づいた、しっかりした科学的な宇宙観というものに移行していくということを意味する。・・・「超自然的な解説」というものに逃げてしまわずに、実際宇宙がどのようになっているかを知ろうと地道に努力を積み重ねていくことを意味する」と言い、今我々が存在するこの世界が如何に驚くべき素晴らしい事実に満ち溢れているか、そしてその美しさを詳らかにするのが科学の力であることを繰り返し語っている。
訳者はあとがきで「ドーキンスの著作のエッセンスが網羅されているので、彼の世界への入門としても格好の書」とも述べている。
進化論の世界を実感として捉えられる良書。
(2015年1月了) -
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ネタバレ「利己的な遺伝子」の著者リチャード・ドーキンスが1991年に英国王立研究所で行った、子どもたちを対象とした「進化」についてのレクチャーと著者へのインタビューをまとめた一冊。進化論と科学への啓発で、分かりやすくて面白い。しかし、「私たちは、DNAがひたすら同じDNAのコピーを作るために組み立てられた機械なのです」というメッセージは、おそらくそれが事実なのだろうが、特に子どもにはショッキングな内容で、レクチャーの中でケアが必要な気がする。
このメッセージの解釈は人それぞれだと思うが、我々人間は生きる意味や目的を求めてしまう生き物である。しかし、デザイノイド(デザインされたように見える物体)である我々には、本質的には生きる意味や目的は無い。ということは、意味や目的が欲しければ、自分の意思で決めればよいのではないだろうか。生きる意味がないからといって悲観的になったり、死に急ぐ必要はない。「生きる」ということに意味はないが、「生きている」ということ自体は信じられないほどの幸運である。そうであれば、この幸運に感謝しながら、自分の意思で好きなことをすればよい。ドーキンス自身は、この幸運がどのようにしてもたらされたのか、つまり宇宙は一体どうなっているのか、生命とは何かといったことを追求する「科学」に時間を費やすのが最も有意義だと考えている。
このように解釈すれば、とりあえずショックは軽減される気がする。さて、私は何のために生きようか。
・第一章 宇宙で目を覚ます
・第二章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
・第三章 「不可能な山」に登る
・第四章 紫外線の庭
・第五章 「目的」の創造
・第六章 真実を大事にする―吉成真由美インタビュー -
Posted by ブクログ
「利己的な遺伝子」などの著書で知られる世界的な生物学者であり、また徹底した無神論者としても知られる著者が、「宇宙の中で進化すること」をテーマに子供たちのために行った特別レクチャーの内容を収録した講義録。
ダーウィンの進化論をベースとして、生物の遺伝子が自己複製するために、「自然選択」や「自促型共進化」と呼ばれるプロセスによって、人知を超えた長い年月をかけて、“乗り物”である生物を漸進的に進化させてきたことを、豊富な実演を取り入れた講義によって分かりやすく伝えている。
そのような進化の産物である人間の脳が、進化の時間軸でみれば“つい最近の出来事”として「目的」をもつようになり、宇宙の謎の解明に挑む一方、その想像力が生み出すテクノロジーが“諸刃の剣”となっていることに対し、著者はダーウィンの“後継者”らしく、科学的なアプローチによる真実の追求こそが解決策であると説く。決してお子様向けでは片付けられない、大人にも十分に読み応えのある良書。 -
Posted by ブクログ
電磁気学を作ったマイケル・ファラデーは1825年に英国王立研究所で「子供達のためのクリスマスレクチャー」というものを始め、これが伝統化して今日につながる。本書はそのクリスマスレクチャの1991年、「利己的な遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンスが担当した回の内容を文字化したものである。
物質や生命の進化、特に生命の"不可能な山"を漸進的に登っていくメカニズムとその無目的性(本書ではそれを「デザインされた物」と「デザイノイド」との違いで解説している)について、子供でも分かるように多数の実例を用いて解説をしてくれている。
最終章では、人間と他の生物の違いについて特に詳しく解説し、その最大の違いは、時間軸の取り方。つまり人間以外の生物は「いま」のみを生きているが、人間は「過去・現在・未来」の時間軸を用いて活動しており、特に未来、つまり未来をシミュレートする能力において他の生物とは決定的に違うすばらしい能力であることを説いて終わりとなっている。
こういう話を聞いた子供とそうでない子供とでは、その後の生き方や好奇心の持ち方もだいぶ変わるような気がするなぁー。