装丁読み
認知行動療法について
考え方のクセ、行動のクセが私たちを作っている。
そのクセが悪い思考へと導く?
考え方のクセを変えて心のモヤモヤを晴らす
モヤモヤを書き出す?
状況確認シート、思考記録表、問題解決シートを使う
理解してもらえない苦しみ
認めてもらえない苦しみ
やる気を再び起こすには?
できる人間と自分を比べてしまう。
著者は臨床心理のエキスパート
目標
自分を悪い思考へと導いてしまう考え方や行動について知る。
→ワンパターンの考え方をしては感情が暴走し、自分を苦しめるだけ。
その解決方法について知る
→ 感情の暴走を緩めるためには、自分の考え方のクセを知り、ストレスと上手に付き合うことである。
仕事で生かすことができそうな点を見つける
→自分の気持ちを整理するシートや問題解決シートを使って、悩める人達の手助けができる。
仮説
いかに自分を客観視できるかがポイントなのでは?過去や未来に惑わされずに、今に意識を向けることが大切なのでは?
他人と比べず、今の自分を受け入れた上で今抱える悩みに対しての解決策を考えることが自分を見失わないためには必要だと思う。
要約
事実はひとつであるが、その事実の受け取り方は様々である。これを認知という。認知はその時の感情の影響を受けるので、主観にだけ頼るのではなく、人やものを客観的に観察する力も心のバランスを整えるためには必要である。
違った視点で物事を見るためには困難な状況を書き出すことである。すると情報が整理され、やるべき事が見えてくる。また、自分の考え方のクセを知り、物事を別の視点からも見るように意識する。自分に問いかけながら自分が納得できるものを目指すことが大切である。ワンパターンな考え方に至らないように環境を変えることでバランスを取ることができる。
目標を達成するために、現実的かつ具体的な計画を立て、チャレンジすることもまた新しい視点を得るのに有効な手段だと認識する。
はじめに
人は苦しみの中にいるとき、視野が狭くなり、行動もワンパターンになってしまう。
認知行動療法はそんな苦しい状況に自分で対応するための心理療法である。自分のものの見方や考え方、行動に少し手を加えることで気持ちを楽に、そして心を強くすることができる。
事実はひとつであるが、その事実の受け取り方は様々である。これを認知という。
この認知と共に様々な感情が行動として現れる。
その感情が行き過ぎると、うつ病などの障害として現れる。
事実の受け止め方はその時の自分の状態に起因している。自分が穏やかな気持ちの時と苦しい状況にいるときでは事実の捉え方が違うのだ。
つまり、事実の受け止め方(認知)は検討し直すことが可能だということだ。
私たちは自分の性格によって物事を肯定的に捉えたり、批判的に捉えたりする。それが時に自分のルールや思い込みを形成し、それを基準に物事を判断する。
つまり、自分に起きたストレスを自分の基準で判断し、過剰にストレスを感じてしまうことがあるのだ。
認知行動療法によってそのストレスの影響を最小限にし、心の調整力を鍛えることができる。
1章 自分の気持ちや考えを整理する
人間とは主観と客観を行き来する生き物だ。人は困難に直面しているとき、客観的に自分を見ることが難しくなり、主観的な判断をしてしまいがちである。
しかし、自分の状況を整理するためには客観的に観察する力、「セルフモニタリング」ができるようになる必要がある。
ひとつの方法として状況を記録することが大切である。過去は自分に様々な影響を与える。その影響を抑えるためには自分の状況を振り返ることが重要である。自分の感情に気がつくことで、少し客観的に自分を見ることができる。その結果、現在と向き合い、未来のことも予測できるようになるのだ。
次に目標を定める。目標は具体的であり、達成可能なものであること。達成具合を測定でき、どれくらいの期間行うのか、そしてやる意味を感じられるものである必要がある。
最後に、感情について理解しておく必要がある。感情とは0か10ではない。感情には強弱がある。実際は「3」程度の怒りにもかかわらず、「10」の怒りと認識してしまうこともあるのだ。
しかし感情は悪いものではなく、脳からのメッセージだと受け取り、過ぎ去っていくものだと認識することが大切だ。
困難な状況を書き出し、感情を客観的に見ることで、情報が整理され、やるべき事が見えてくる。
2章 考え方のクセをつかんで新しい考え方を手に入れる
「順番などの社会のルールは完璧に守られるべきだ」のような考え方のクセは誰しもが持っているものだ。「~すべき」という思考や状況を全か無か善か悪かで考える「白黒思考」、一つの嫌なことがきっかけで世の中の全てが嫌だと考える「過度の一般化」、全体を見れば良いことが多いのに一つの嫌なことに拘って実際より物事を暗く見る「心のフィルター」など、人には考え方のクセ(認知の歪み)がある。
大事なのはクセは悪いことではないということ。調子が崩れたときに自分のどんなクセが現れるかを明らかにし、そのクセの強さを適度に緩めるようにすることが大切だ。それが心の落とし穴に落ちないための方法であり、落ちたときの対処法にもなる。
自分のクセを客観的に見るためには、第一印象を疑ってみたり、常識を疑ってみることである。
別の視点を持たずに自分の考えに固執しているのと、別の視点もあることが分かっている上で、あえてその考え方をしているのとでは、困難に出くわしたときの対処が変わってくる。
誰にとっても正解の考え方なんてないのだ。自分にとっていつも正解の答えもない。その時々の自分にとっての答えは自分のそのときの気持ちが教えてくれるものなのである。
全く新しい考えにする必要はなく、カチカチに固まった考えを少し柔らかくするように意識する。
「私は正しい」という暴走はポジティブであれネガティブであれ自分を追い込むものである。考えや行動を見える化し、1歩引いて自分を見るクセをつけよう。
自分にフィットする違う考えや捉え方を見つけるためにはまず、自分の頭の中にある考えを言葉に出す。その言葉に対して様々な角度から質問を投げかける。そして自分が納得できる新しい考えを選ぶのである。
新しい考えを自分に馴染ませるためには、調子が良いときも悪いときも継続して取り組むことが必要である。
3章 いつもと違う行動で世界を広げてみる
人は何を基準に行動するのか?
行動にも法則があり、「行動モデル」と呼ばれる。
人の行動は「きっかけ」、「行動」、「結果」の3ステップで示される。
例えば、知り合いが泣いていて、声を掛ける。すると知り合いは落ち着いて、こちらもホッとするなどである。
では、自分の行動や相手の行動を変えるにはどうしたらいいのだろうか。気合いや根性で頑張るのではなく、変化が起こりやすい状況を準備することが有効である。
行動は感情と深く結びついている。問題解決のために相手に感情や行動をぶつけるか、その辛い感情を避けるために相手や状況を回避するか、あるいは辛い感情を我慢するかである。大事なのはワンパターンではなく、行動のバランスを取ることであり、新しい行動によって新しい考えを探すことである。
新しい考えを探すためには、改善したい行動を書き出すことである。優先順位をつけ、具体的な取り組みをスモールステップで考える。怒りや不安をコントロールするためにも、こういう状況になったらこのように行動すると事前に決めておくことも有効だ。
相手に「No」を伝える。相手の「No」を受け入れる。相手に「Yes」を伝えて相手を助ける一方で、相手の「Yes」を拒まずに援助を受け入れるスキルも、人間関係を良好に維持するためには大切なことである。
4章 問題解決に取り組む
認知行動療法はすべてを思い通りにすることでもなく、正しい考えを持てるようになることでもない。
状況を客観的に、時には主観的に捉えることで、自分が納得し、できることに取り組むことで、気持ちを整理できるようになることである。
自分の得意なアプローチで課題に取り組み、ゴールを変化させながら歩み続けることが大切である。
自分の先天的な気質と上手に関わり、許せないこととがあっても活動を続けられるようになることで、自分の深い部分にある価値観も自然に変化するのである。
問題解決には問題解決シートを活用するとよい。
課題に取り組む前に、心の準備をする。問題を客観的な視点で明らかにし、現実的で具体的な目標を設定する。
自由な発想で、メリット、デメリットを考えながら対処案を出す。対処案を決め、行動計画を立てる。
実行し、フィードバックする。
ときには苦手なことにも挑戦する。苦手なことにスモールステップで挑戦し、免疫を付けることは思考のワンパターン化を防ぎ、ストレスに強い心を作る。チャレンジは新しいものの見方を手に入れることであり、柔軟な心を手に入れることなのである。
おわりに
認知行動療法は問題解決の場面に限らず、より良いバランスを持った生活をするためにも、十分活用できる考えである。
自分のことや問題を様々な視点から見ることで「わかる」ことができ、1人で抱え込まずそれを支えの1つとして行動「できる」ようになることを目指している。
帯コメント
自分自身とちゃんと向き合うことが、自分を成長させる。