心に傷を抱えた主人公が転職したのは、ちょっと変わった産婦人科医院。いや、ちょっとじゃないかも!?
でも、院長をはじめ、そのクリニックで働く人たちからは今までに感じたことがない優しさを感じる。
人は辛い経験を積んでいくたびに優しくなれると僕は思っている。他人の気持ちを本当の意味で分かることは出来ずと
...続きを読むも、その人の心に寄り添ってあげることは出来る。
気の利いたアドバイスをもらうより「うん、分かるよ」「よく頑張ったね!」なんて自分を認めてもらえた方が心底嬉しいものだ。
ここに登場するクリニックのスタッフは、ゲイやレズビアン、バイセクシャルなどセクシャル・マイノリティーである。彼ら、彼女らは過去は本当の自分を隠して生きてきたが、今はここ〃オネエ産婦人科〃で自分らしく生きている。
そんなオネエ産婦人科の素敵な仲間たちと働くうちに、親とのトラウマから自分らしく生きることが出来なかった主人公の中で少しずつ変化が起きてきた。
人はたった一人で生まれてくる。
しかし、一人で生きていくことは出来なくはないが、親をはじめ色々な人と出会い、学びながら生きていくことで人生の彩りが豊かになってくるものだ。
スマホやネットが主流である時代の今、人とのコミュニケーションの取り方が苦手な人が増えている。得てして、大切なことをちゃんと言葉にして相手に伝えていないことが少しずつ人と人の間に溝を作っている。自分にとって大切な人ならば尚更だ。大切な人ならば、大切なことをちゃんと言葉にして伝えていこう。改めて、そんなことを感じた。
心の針に触れた一節
「愛は循環していくもの。誰かからもらった愛を、誰かに返す。その誰かがまた別の誰かにつなげていく。この世のすべてほつながっている。」