森口朗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
部落差別をはじめとするあらゆる差別問題に真正面から向き合った経験のない保守の学者が書いた本を、日教組組合員である私がひととおり一読したということを前提に感想を述べると、納得できる部分、納得できない部分、自分の認識と異なる部分が出てきて、私にとっては波の激しい展開で構成されているなというのが率直な感想である。
この著者が部落差別問題や在日朝鮮人差別問題に真正面から向き合ったときに、自分自身が綴ったこの文章をどうふり返るのかが非常に興味深い。
もし自身が「教育評論家」と称するならば、ぜひとも上記の差別問題に真正面から向き合っていただきたい。
そしてまたもう一度、日教組について論を展開してほしい。
それが、日教組組合員である私からの提言である。 -
Posted by ブクログ
以前読んだ『創価学会』と同じように、なるべく中立的なスタンスからこの本は書かれています。
日教組とはどのような組織なのか。
ステレオタイプ化されている日教組の印象を分析しながら、誤りは誤りとして反証を示し、正しきは正しきとして実証をしていきます。
また、民主党がなぜ日教組の言いなりなのか、日教組の現在はどうなのか、日教組をここまで存続させてきた存在は何なのか、という点もしっかり分析しています。
それに、誤植も少ないです。
悪印象を与えがちなのが、(僕の読解力の低さもあるでしょうが)ところどころ出てくる引用です。
引用はふつう論議の裏付けに使うと思うのですが、この作者はちょっと違うようです。
「このような主張をしている人たちがいます。 (引用を連ねる) しかし・・・」
という風に、長々とした引用を読ませたうえで、それを逆接でつなげてくるので、少し混乱しました。
ただ、日教組について、精通できる点はよかったですし、作者個人の意見は小さい字で書いてくれているので、整理はついていました。
”飲み屋的論法”で批判するだけでは何も変わらない。
しっかりと実態を見つめて、事実をきちんと把握した上での批判が重要ですね。
★★★☆☆ -
Posted by ブクログ
本書は、日本教職員組合-略称「日教組」-の設立から今日に至るまでの歴史と思想を追ったものである。ただし、巷のいわゆる「飲み屋論壇」とは異なり、長年批判されてきたにも関わらず、なぜ組織は存続できたのか、あるいは、なぜ今なお三〇万人近くの教員が所属し続けているのかといった「謎」を史料に基づいて分析している。
例えば、文部省(文科省)と日教組は長年対立関係にあったと思われがちである。だが、元をたどれば、日教組は「文部省から手渡された「新教育指針」という手引書によって誕生し、その手引書の教えを愚直に守ってきた」(p.52)だけであり、むしろ協力関係にあったと指摘する。また、最近では自民党が民主党批判のネタとして日教組を取り上げることが多い。しかし、これについても、両者(日教組と文部省)の対立が表面化した後、五五年体制で政権を握ってきた自民党は「自社なれあい構造」(p.186)を文教部門にも持ち込み、日教組を(弱体化は図りつつも)存続させてきた過去を明らかにし、今日まで選挙時の「浮動票獲得のネタ」(p.199)に利用してきたに過ぎないとして、自民党の責任を追及している。
著者は、教育正常化のためには日教組の弱体化が不可欠であると述べているように、日教組には批判的な立場を採る。しかし、巷の「何でも日教組が悪い」という議論には与しない。むしろ、本書が最も批判の対象としているのは、そうした無責任な日教組批判-例えば、自称“保守”政治家による批判など-であると言えよう。批判する以上は、まずは敵の正体を正しく理解してから・・・という著者の姿勢には見習うべきものがある。 -
Posted by ブクログ
なぜいじめが起こるのか、どのようないじめが起こるのか、いじめが「隠蔽される」のはなぜか、どのようにいじめに対処すれば良いか、といった点について、著者なりに整理し、提言している。いじめについて様々な議論が世間で飛び交っているが、それらはほとんど「妄言」として批判し、いじめの構造を「スクールカースト」という概念を中心に説明しようとしている。「いじめは撲滅できない」「校内犯罪と非犯罪いじめに区別すべき」「やたらと『人権』という言葉を使うな」など、いくつか共感できる点があるとともに、「スクールカースト」という概念も(その用語はともかく)極めて納得がいく。ただ「冷静に」と言いつつどことなく冷静さを失っているような表現も見受けられるし、やや唐突な感じで日教組や「武士道」が出て来る点は気に入らなかった。「いじめ」について知り、考える入門書としては良い1冊だと思う。(2008/01/20)