【感想・ネタバレ】授業の復権のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 力強いタイトルに惹かれて読んだ。学校の中心はあくまで授業であるという考えを基本にし、さらに授業を授業者の技術という面から掘り下げていく。筆者の姿勢にはブレがなく、ひとつは政治や思想を教育に持ち込まないこと、もうひとつは競争させるべきところではきちんと競争をさせることである。その上で本書は、優れた授業実践家数人を、提唱する授業技術を中心に紹介していく。

「BOOK」データベースの説明がとてもわかりやすいので引用しておく。「 子供たちの学力低下は、授業時間や学習量の減少だけが原因ではない。教師の「授業」技術そのものが低下しているのが最大の問題なのだ。いま必要なのは制度改革ではなく、「授業」という観点に立った真の教育改革である。戦後教育史を振り返ると、子供たちの学力向上に命をかけてきた「授業の達人」たちがいる。創意工夫と情熱にあふれる彼らの実践にもう一度光を当ててみたい。そこに学校再生のためのヒントがあるはずだ。」

 取り上げられている人たちは、いずれも名前を聞いたことがある人たちで、その実践も聞いたことがある者がほとんどである。授業を「技術」ということから考えるとき、決して書かすことができないビックネームを丁寧に取り上げているという感じである。ざっとしか知らなかった先達の業績をきちんと、しかもまとめて知ることができるのは実にありがたい。細かいところではっとさせられることも多く、とても刺激的であった。

 筆者の意見そのものに、上から下まで完全に同意できるわけではない。ところどころにちょっと引っかかるところがないわけでもない。それでもなお、特に若い先生にはこの本を一読することをおすすめしたい。各章で取り上げられている実践のひとつにでも興味を持ったら、そこから詳しく勉強していけばいいのだと思う。筆者の言うとおり、民間の授業技術研究会はずいぶん少なくなってきている。また、教員の年齢構成がいびつで、一昔前の教育技術の継承が難しくなっているのも確かだ。そういう点で、大変価値がある「まとめ本」になっていると思う。興味深い本であった。

目次
序 章 授業こそ学校の魂
第一章 「仮説、推理、検証」で学ぶ科学の心
──仮説実験授業 板倉聖宣──
第二章 「目に見える」算数への革命的転換
──水道方式 遠山啓──
第三章 「書く」「読む」「話す・聞く」で本物の国語力
──鍛える国語 野口芳宏──
第四章 教科書を教科書通り教えよう
──教育技術法則化運動 向山洋一──
第五章 類型化、そして反復が起こした奇跡
──百ます計算 陰山英男──
第六章 「一個のハンバーガーから世界が見える」
──「よのなか」科 藤原和博──
終 章 教育論争の忘れ物
参考文献

0
2013年02月03日

Posted by ブクログ

何もかもごったにで、極めておおざっぱな本ですが、最後の「教師にとっての褒美とはなにか」という文章については、なんというか、納得してしまいました。

たしかに、できる教師だろうと、ダメ教師だろうと、これにだけは、弱そうだ。

0
2009年10月07日

Posted by ブクログ

「仮説実験授業」「水道方式」「鍛える国語」「法則化運動」「百ます計算」「よのなか科」という6つの授業方法を取り上げながら、いい授業とは何かを考えさせてくれる本。
どれも今となっては基本的なテクニックですが、その根本を知らなかったので読んでやっと自分の中で消化された感じ。
勉強が嫌いだった大人に読んでもらいたい本。
一読の価値はあると思います。

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

板倉聖宣、遠山啓、野口芳宏、向山洋一、陰山英男、藤原和博といった有名な実践家の授業研究を分析している、彼らの実践を手放しで評価するのではなく、著者なりに批判的な視点で考察しているのが面白い。
終章では現代の学力低下をいかに食い止めるか、その方策についても提案している。
★3.5

0
2015年01月05日

「ノンフィクション」ランキング