あらすじ
なぜ、いじめは起こるのか。いじめっ子といじめられっ子の境界には何があるのか。大人の目を狡猾に避けて隠蔽されるいじめは、理想論ばかりの「今時のいじめ」論からは絶対に理解できないし、解決もできない。「いじめの根絶は不可能」という現実を明確に直視した上で、いじめのメカニズムを明らかにし、具体的にどう対処すればよいのか、わかりやすく提示する。
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Posted by ブクログ
2007年9月3日
語り口:説明的(やや熱)
これはいい本だ、と思った。いじめられた人の心を癒すのではなく、起こっている現象を解析している。スクールカースト、という概念はよく現状を表していると思う。
Posted by ブクログ
根本的な部分で、著者と私の間には、教育に対する哲学差みたいなものを感じます。しかし基本的な部分では大きく賛成できるものが多く、また現象を分析・検討する手法や理論的に考えていく部分などは見習いたいと思う部分でもあります。いじめに対して、これだけ明確に論を立て、すぱっと論じている本は珍しいと思います。しかも分かりやすくて値段も手ごろ。ぜひ。おすすめの一作です!
Posted by ブクログ
いじめは根絶できない。
根絶できない状態でどう向き合うか。そして校内犯罪といじめを明確な区分する。
我が子が中学生あたりに突入した際は読み直したくなる一冊。
Posted by ブクログ
今、小学校高学年から中学生くらいの子供を持つ親たちに二つの命題が突きつけられている。
「わが子がいじめられたらどうするか?」と
「わが子がいじめをしていたらどうするか?」である。
「学校に相談する」親もいれば、「子を殴る」親もいるだろう。
この本は、テレビなどでいじめが討論される際にでてくる「傍観者も加害者」「いじめっ子も被害者」「いじめられっ子に原因はない」といった言葉を妄言であるとばっさりと切り落とし、いじめの分類・解析をした上で、具体的ないじめ対処法を明示している。
その対処法は学校への警察介入を伴うものであり、学校側はかなり眉をひそめる内容だろう。しかし自殺者も多くでている現状では仕方ないことだし、逆に言えばいじめられている子を持つ親にとっては学校と対話をする中で警察の介入は武器にもなりうる。
教師たちはこの本をぜひ読んで欲しい。そして親も読んでおくべきだと思う。
少なくとも二つの命題のうち「わが子がいじめられたらどうするか?」には明確な答えが得られるはずだ。
Posted by ブクログ
色んな人間を一か所にムギュと集めて「ハイ仲良くしてね」
な仕組みに問題があるという点に納得感があった。
凄惨ないじめの内容や、
いじめる側の心理の描写を読むと
だんだん絶望的な気分になってくるが、
それが教育制度というシステムからの
アプローチによって改善できる、とあるので少しほっとした。
いじめを完全になくすことは不可能だと私は考えるが、
「最悪の事態」を避けるための努力は惜しむべきではないと思う。
それにしても、いわゆる上からお仕着せの「道徳教育」が
いかに意味がないか分かった気がする。
Posted by ブクログ
いじめに関する本はたくさんあるが、この本はきちんといじめについて分析している。学校内で生活したことがある人なら分かる学校内のカースト制度をもとにいじめを捉えている点がおもしろく納得できる。
Posted by ブクログ
いじめの構造をメカニズムを解析するように分析している。一般に語られているいじめ対策の方法がなぜ間違っているか、実際どうしたらいいのか書かれている。
最終的な結論としていじめは根絶できないし、また根絶すべきでないというスタンスも新鮮かつ共感が持てる。
Posted by ブクログ
スクールカーストという教室内の子どもの序列を現す言葉を用いて、いじめの起こるメカニズムを解説。
この本によればいじめのパターンは4つに分類できる。
1 集団のモラルが混乱・低下している状況で起こる
2 なんらかの社会的な偏見や差別に根差すもので、基本的には<異質性>排除の論理で展開する。
3 一定の持続性をもった閉じた集団のなかで起こる
4 特定の個人や集団がなんらかの接点をもつ個人にくりかえし暴力を加え、あるいは、恐喝の対象にする。
一般的に理解されているいじめの形というのは過去においてのモデルである。現在のいじめの形というのは社会が変化をとげているのに伴って当然変化している。
それをうまく理解しないと現実的な施策は打てない。
Posted by ブクログ
「危機対処能力」とは、①誠実に見える②言質をとられない
ルールなどなくても他人をいじめないようになること(人をいじめてはならないという規範を内面化させること。「規範の内面化」という。)は、いじめに対する明確かつ厳格なルールの設定と適用をする手法でいじめを押さえつける以上に大切。
規範の内面化といじめ免疫の獲得こそが社会に出て自分も周りの人間も幸せに暮らすのに必要
Posted by ブクログ
人の善性に信頼を寄せるあまり、物事が見えなくなることは往々にしてあると思う。
そんな軟弱な理想じゃ、酷薄な現実をすくい取れない。
そこでこの先生は感情論とか理想論とかを妄言と言い放ち、理論というナイフで切った貼ったの大立ち回り。
いじめとなるとナイーブになりがちな論者とは対極的でおもしろかった。
Posted by ブクログ
100%納得、というわけにはいかないけれど、今までのいじめ論に比べれば随分建設的だと思う。最も大切なのは、現場で実践していくことだけれど。
いじめについては道徳論、精神論に行き着いてしまうことが多いけれど、もっとメカニズムというのを解明するという考え方が必要なのはそのとおりだと思う。いじめをする、という選択をするしくみみたいなものがあるだろうし。
Posted by ブクログ
ちょっと辛口の本なんだけど、それが面白い。論理的に説明しているから、納得出来る部分も多い。しかし、「学校にいじめは必要」という著者の主張には完全に納得することは出来なかった。この本に100%共感する人はかなり少ないと思う。それだけ独特で、キツめの本なのだ。著者にはこれからも、そんな本を書き続けて欲しい。
Posted by ブクログ
なぜいじめが起こるのか、どのようないじめが起こるのか、いじめが「隠蔽される」のはなぜか、どのようにいじめに対処すれば良いか、といった点について、著者なりに整理し、提言している。いじめについて様々な議論が世間で飛び交っているが、それらはほとんど「妄言」として批判し、いじめの構造を「スクールカースト」という概念を中心に説明しようとしている。「いじめは撲滅できない」「校内犯罪と非犯罪いじめに区別すべき」「やたらと『人権』という言葉を使うな」など、いくつか共感できる点があるとともに、「スクールカースト」という概念も(その用語はともかく)極めて納得がいく。ただ「冷静に」と言いつつどことなく冷静さを失っているような表現も見受けられるし、やや唐突な感じで日教組や「武士道」が出て来る点は気に入らなかった。「いじめ」について知り、考える入門書としては良い1冊だと思う。(2008/01/20)