宮坂宏美のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
シェルの母親が亡くなって1年、父親は仕事を辞めて酒浸りになっていた。父におびえながら幼い弟妹の世話をする高校生のシェルにとって、幼なじみの少年デクランや親友のブライディと過ごす時間が、気を抜ける大切な時間だった。しかし、ふとしたきっかけからデクランと深い仲なになり、15歳にして妊娠してしまう。誰にも相談できないまま時間だけが過ぎていき、やがてシェルは思いも寄らない事件に巻き込まれていく。
本当にこれで良かったのだろうかと、読み終わって悩みました。人間の良い面と悪い面の両方が描かれていたと思うのですが、わたしの心に残ったのは閉鎖的な村人たちへの怒りと、警官への怒り、そして冒頭のモヤモヤでした。ダガンのおばさんが居てくれて本当に良かったと思います。序盤に描かれるシェルの貧困や家庭問題は、休み休み読まないと辛くなる程でした。
こんな閉鎖的な村であるかは別として、子どもの貧困や若い世代の望まぬ妊娠の問題は、現代に通じるものがあります。自分はせめて、子どもの側に寄り添える、子どもが相談できる大人でありたいと強く思いました。 -
Posted by ブクログ
舞台は1984年アイルランド。15歳のシェルは一年半ほど前に母親が亡くなり、弟と小さい妹の世話をしながら、働かず酒に溺れる父(理不尽な石拾いまでさせられ、金はほぼない)と暮らす。強制的にいかされている教会に助任司祭としてきたローズ神父に惹かれ、母の幻に心を助けられながらも、つるんでいたデクランと深い仲になってしまい、友人だったブライディはデクランと付き合っていたので、離れてしまう(情事も付き合うことも大人になってブラつけることもあまり分からないピュアなシェル)。そして、後半、実際にあった嬰児を巡る事件をもとに考えられただけあって、一気にミステリーとなります。読むペースが前半と後半でかなり変わったなぁ。
カトリックの習慣がかなり多く書かれていて理解に苦しむところ、弟妹の世話や貧困家庭への公的な補助体制、学校のシステムの違いなど、意欲がないと児童が読むのには厳しいかも、と思わされた。ただ、逆に小説を楽しみながら児童が陥る普遍的な困難や海外の生活を知れる良い本でもある。
あとは、タイトルが惹かれないと思った、けど、これは既に邦訳のある言い回しみたいだったから、仕方ないのかな。
ルビもあるし、この内容を読めれば小学生からでも大丈夫(情事はあるが、教科書以上の叙述ない)。通常は中学校以上。 -
Posted by ブクログ
1984年、アイルランドの村で15歳の少女シェルは、母親を病気で亡くして以来酒浸りの父と生意気な弟と幼い妹の世話に明け暮れていた。
カトリックのクリスチャンで日曜ごとに教会には行っていたが、信仰心は薄れていて気がまぎれるのは幼馴染のデクランとブライディとくだらない話をしているときくらいだった。
だがデクランと深い関係になり、ブライディとの友情も壊れてしまう。そして妊娠しているのに気づき、誰にも相談できないまま時間だけが過ぎて…。
妊娠に気がついたのが弟妹で、内緒で手助けしたのにも驚かされるが、できることには限りがある。
10代での妊娠という重い事実をひとりで受け止めることしか方法はなかったのかということに孤独に生きたことや貧困であり、ヤングケアラーでもあったことの現実を思い知る。
ひたすら亡くなった母の幻想をみる少女に父親の存在があまりにも薄く感じた。
しかし父親に何を相談できようか…。
苦難ばかりの少女に父親も本気をみせてもらいたい。
-
Posted by ブクログ
貧しくとも、夫のジムに特別なクリスマスプレゼントを贈りたい。デラはある決意をする。しかし、ジムからのプレゼントは……(賢者の贈り物) どんな金庫でもたちまちの内に開けてしまう大泥棒・ジミーは恋に堕ち、過去を捨てるけれど……(よみがえった改心) 一日だけ大金持ちの振りをしてとびきりのおしゃれと贅沢を楽しむチャンドラーは、貧しそうな身なりの娘を助けて、つい…(おしゃれさんの失敗) 二回も偶然にもらった「緑のドア」と書かれたカード。ルドルフの冒険心が疼いて…(緑のドア) 窓から見えるツタの最後の一枚が落ちた時、自分の命も消える。そう生きる気力を失っていたジョンジー。けれどその一枚は、どんな風にも雨にも耐えて…(最後のひと葉) 短編の名手として世界中で読み継がれているオー・ヘンリーの珠玉の名作がつばさ文庫に登場です。
むかし、講談社から出てたメルヘンを集めた短編集のうちで、多分一番読んだのがこの「賢者の贈り物」でした。挿絵が綺麗だったからなんだけど、やっぱりそれぞれ自分の大事なものをお金に変えて、相手の素敵なものの為に贈り物を贈る、その素敵なものは既に失われていたけれど…と言う愛の形に幼い私が純粋に感動したんだと思います。文章の方は結構投げやり(愚か、とか書いてるし)ではあるんですけど、そのそっけなさが逆にデラとジムの暖かで尊い愛情を引き立てていると思います。あと「賢者の贈り物」ってタイトル昔から謎だったんですけど、イエスに贈り物を贈った東方の三賢者のことを言ってるんですね。最後のくだりの文章がすごく好きです。
で、オーヘンリーはずっとこの賢者の贈り物しかしらなくて、最後の一葉は概要だけ知ってるけどちゃんと読んだことは無い。短編の名手ということも全く知らなくて、読む作品のほとんどが初見でした。日本で言うと、ジャンルは違うけど星新一っぽい感じがしますねー。「よみがえった改心」にくい終わり方ですねえ~好きです。「警官と讃美歌」は最後でこれかよ~って苦笑しちゃってちょっと虚しいんですけど、一応話の中に救いがあっていいですよね。刑務所から出て来たらきっとソーピーはまっとうに生きていこうとするだろうし。これ落語にあっても面白そうだなー。「ハーグレイヴスの二役」もおおっ、と驚く終わりだし(これもまたニクイのだ)「お金の神さまと恋の神さま」はツンデレ乙って感じでやはりニクイ。「おしゃれさんの失敗」は日本のそれこそ落語とかに類似作品がありそうだなあー。ででで、私が一番好きなのは「緑のドア」ですねー!これすごく不思議だしほっこりするし、運命と言うか偶然のいたずらというか、縁といいますか。「水車のある教会」は多分そうなんだろうな~と思いつつもクライマックスで不覚にも泣いてしまいましたわ。そして有名な「最後のひと葉」はまさか百合(おい)だとは……概要は知ってたんですが女の子同士だったとは知らなかったのですよ。死にたいなんて思うのはいけないこと、うん、うん… ああ感動いたしました。これも日本人好きそうな話ですね。自己犠牲の憐みがある。
他にもオーヘンリー読んでみたいなあ、と思ったのだけどつばさ文庫で続刊はあるかなあ。二大代表作を冠にしちゃったしなあ…でも読みたいなーなんかいいのないかなっ -
Posted by ブクログ
主人公の少女もその兄弟も、物語が進む時点の生活環境の割に精神的にかなり安定していて状況を賢く乗り切り、そのあたりが少し出来すぎていると感じた。子ども達だけの出産、死産の埋葬を経て、別の赤ちゃんの殺人容疑も含め父親に容疑がかかり村が炎上している最中で、これほど冷静に動いたり考えたりできるだろうか。母からの愛着や心の土台が彼女や弟妹をささえているのか。何度もででくる母の霊的な支え、キリスト教の考えがある。
それは物語として、
実際に日本において身の回りでこのような事態になる若い女性はとても弱いことが多く、そうなる前の段階で本に出会うことはほぼないだろうと感じる。
アイルランドという地域の人々の賢さとか自立が背景にある物語かもしれない。 -
Posted by ブクログ
オズの魔法使いシリーズ5
カンザスの自宅近くで何故か迷子になったドロシーと、ボサ男と愛犬トトと、途中で出会う男の子ボタン・ブライトと虹の娘ポリクロームと、オズの国を目指す話。
ボサ男が持っていた“愛の磁石“のおかげで色々な国でも比較的平和に進む。あまり冒険ぽくない。
結局迷子の原因はオズマ姫の仕業だったらしい。オズマ姫の誕生祝賀会へのご招待。過去キャラほぼ全員集合で賑やかそうで楽しそう。それぞれの近況が知れてホッコリ安心。
疑問その①トトは何故今回はしゃべれないのか。その②ボタンプライドの正体は?謎のまま。その③オズマ姫は音楽人間だけ何故祝賀会に招待しないのか。
次巻以降で解明されるかどうか。
まだまだ続くので楽しみ。
-
Posted by ブクログ
昔アニメやってたなあ…懐かしい。
早川文庫でシリーズが出てたとき、何冊か読んだ覚えがあるけどほぼ忘れてたから、なんとなく読んでみようかなと。
ドロシーが、終始「家に帰りたい」と思ってたの、なんかいいな。冒険も楽しいけど、ちゃんと家にも帰りたい、っていうのがあるのは、何つうか救いだわ。
あと、年くってから読み返すとオズっていい奴じゃねえかと。確かにだましてたみたいなもんだけど、とりあえず住人は幸せにしてたし、欲しがってるものも渡してるし。
(そりゃ、いくら「あなたの欲しがっているものはもうあなたの中に備わっているんですよ」なんて言われても、得心できるとは限らんわな。形だって大事じゃ)
怖いことも辛いこともなく、何か教訓めいたこともない。娯楽上等!文学だけが読み物じゃねえよ。