斎藤英治のレビュー一覧
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ネタバレ設定そのものの特異さをひとまず置いといても、ひたひたと迫り来るような、気がふれそうになるぎりぎりの重苦しさのある文体で、やっぱり名のある文学はすごい、と思わせてくれる小説。SNSの文章をいくら読んでも得られないものが小説には確かにあることを思い出させてくれる。
緊急時の一時的な救済措置という名目で女性の財産を男性のものにする、という法案は現在の日本でも容易く通りそう…と思ってしまう。身の危険を顧みず反対する日本人男性…いるかな…。私だってある日突然こんな事態になったら反対の声なんて上げられないよ。
そして電子マネーなんていとも容易く使用不可能になりますね…。
解せなかったのは、
『彼女は教育 -
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ネタバレ女性を「産む機械」として扱うディストピア社会。
戦争があったかして世界が荒廃しそのような社会となったようだが語り手は直接説明はしない。時々、思い出したように断片的に提示される情報から読者が推測するしかない。
オブフレッド、という語り手の名のおぞましさ。本名を名乗ることは許されず、「フレッドの所有物」と名付けられる。さしずめ日本なら「一郎の」というところか。出産できる性は貴重なはずなのに逆に社会のリソースとして管理される。徹底的に人間性を排除されて。
中盤まではだらだらした締まりのない語りにイラつきながら読んでいた。出産のための「儀式」あたりからドラマとして盛り上がりを見せたように思う。この -
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おもしろかった!翻訳家の鴻巣友季子さんのオススメの海外文学の一つとして知った。もう少し堅苦しい純文学かと思いきや案外読みやすく、かつ、40年以上前に書かれたフェミニズム作品とは思えない、テーマの違和感のなさ。…40年も経ってるのに違和感がないなんて…どうかしてるね、この世界は。今読む価値のある作品だ。
架空の世界を描くSFディストピア小説である。1980年代〜90年代に崩壊したアメリカ合衆国のあとにできたギレアド共和国。妊娠率や奇形率が高まり、出生率が異様に下がった世界線。
子供がなかなか生まれないため、ギレアド共和国では80年代を境に女は財産や名前を没収され、元の家族は奪われ、政府管理下 -
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アメリカに誕生した神権国家で、子を産む機械と化した女性「侍女」の物語。ディストピアだけど、人類史上起こらなかったことは書かれていないという。
旧約聖書は今の価値観でみるとひどい内容だし、そいうえばキリスト教(旧約ならユダヤ教もかしら)の女性の扱いはこんなだったなと思い起こされた。キリスト教圏はよく「先進国」として、ここまで男女平等をすすめてきたと思う。笑われ、嫌がらせを受け、身の危険を顧みずたたかってくれた先輩たちに思いを馳せずにはいられなかった。
財産を奪われ管理される侍女を主人公に、彼女が見聞きし、感じたことが記録されている。この主人公がなんとも弱く、ずるく、まるで自分を見てい -
「侍女の物語」について
この物語は、ギレアデ政権の間、バンゴア市と呼ばれていた場所から発掘された、およそ30本のカセットテープに吹き込まれていたものを文章に起こしたものという設定。
語り手の女性は、出産を目的に集められた女性の第1陣のうちの1人。ギレアデ政権は、その後、様々な粛清と内乱を経て崩壊したようですが、まだまだその初期段階にあり、日々の監視が厳しく、違反者は容赦なく処刑されていた時代です。
各個人からその個性を奪い取るには、名前と言葉を取り去るのが効果的なのですね。
単なる出産する道具である侍女たちの名前は「オブ+主人の名」。
この物語を語っているのは「オブフレッド」と呼ばれる女性です。
侍女たちはくる -
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名作だということは知っていたが、なかなか手をつけられずにいたところにグラフィックノベル版が出たということで読んでみた。
現代でこそ新しく感じられる、感じられてしまう、衝撃に満ちた物語。
コロナが蔓延し、ウクライナとロシアは戦争状態、安倍元首相が銃撃に倒れ、テレビであからさまな情報規制がされる。正しい自由が得られる国なんて、もはやどこにもないのではないかと思えるような2022年の世界で、この作品が持つ意味が重要なものになってきていると思う。
『侍女の物語』という、けして派手ではないタイトルも、これが彼女の物語であるということ、この物語を誰かに託そうとした人間の生き様であることを表しているように