F・W・クロフツのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作は倒叙ミステリ(物語前半に犯行が描かれ、後半で探偵がそれを推理していく形式のミステリ)であるので、前半と後半について述べる。
前半は犯人の様子や心情が細かく描写されていて、とても楽しく読めた。犯行を決意するまでの心情の変化は同情を覚えるほどだったし、犯行の瞬間などは動悸が抑えられなかった。テンポも良くてスリリングだった。
一方後半は、探偵がどのように犯人を突き止めたのかを説明しているのだが、これがイマイチ盛り上がらない。捜査は(当然なのだが)地道で、あっと驚くような証拠もない。ひたすらに可能性を潰していくプロシージャになっている。
まとめると、前半は楽しく読めたものの後半は退屈に感じ -
Posted by ブクログ
1912年のロンドンにパリから船便で樽が到着したが、港湾の荷卸しで樽を破損した際に隙間からおが屑と金貨がこぼれ落ち、更に女性の遺体が発見された。
スコットランドヤードのバーンリー警部は受取人フェリクスを尋問するがどうやら疑惑は送り主の方らしく、早速パリに向かう。
パリからロンドンへ発送されたのは二つの樽でロンドンからパリへも一つの樽が運ばれていた。
樽の移動と容疑者のアリバイが焦点のストーリーでスコットランドヤード、パリ警視庁、弁護士、探偵がそれぞれの役割を演じ樽の謎に挑む。本作は、古典ミステリーの名作と言われ、アガサ・クリスティやエラリー・クインと並ぶ著名ミステリー作家ですが、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白いか、面白くないか、と聞かれたら、面白いと答えるし、確かに、無駄のない感じなど名作なのだろうと思う。初めから犯人が分かっている倒叙ものとして、上がったり下がったりの犯人の心理描写と、いつの間にか有罪になっているさま。どこでミスったんだろかと、犯人に感情移入。最後の推理プロセスお披露目も、なるほどねと、すんなり。フレンチ警部の、ノロマと思われたでしょうが、、、とか、よくもまあべらべらと、というくだりも、くすっと。これが、もっと当時に読んでたら、こんなパターンもありなのかと、すごく驚きもあったかも。ハウファインディットかい、みたいな。いかんせん、いろいろ読んでるし、コロンボなど倒叙モノを見てる
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Posted by ブクログ
ネタバレ船便で港に届いた樽。
荷降ろしの途中に隙間から金貨がこぼれおちてきた。
不審に思い少し中を探ってみるとなんと女性の腕が。
警察に届け出ている間に樽は行方をくらましてしまう。
樽を奪った男は中身について知っているのか、樽を探し事件を解決せよ。
「樽」って聞くと和風ですが、原題は「The Cask」。
なんだかかっこいい!
さて内容。
まずは樽をじっくり検分するまでに時間がかかる!
しばらく行方不明になるんですから。
見つけてからやっと捜索。
まずは警察の手に委ねられます。
ロンドンのバーンリーとパリのルファルジュは仲良しデカ。
捜査の合間に飯を食い、クラブに行き、エンジョイしまくり。
警察は -
Posted by ブクログ
ヴィクトリア朝の香り残る、1910年代のロンドン。
波止場に荷揚げされた樽が、たまたまぶつかって、ちょっと破損してしまった。
係員が気にして調べると、破損の隙間から、金貨がじゃらじゃらと...そして、謎の美女の死体が入っていた...
捜査が始まった途端に、謎の男が樽を持ち去る。
追跡。樽を運搬した荷車が、ペンキを塗り直されていた。
ロンドン警視庁の執念の捜査でたどり着いた荷受人は、何も事情を知らなかった。その上、問題の樽がまたしても奪われて行方不明...
七転八倒の末、確保した樽。とうとう、開封される樽。中の死体は、やはり妙齢の女性。
樽の発送元は、パリ。
舞台は花の都パリへ...。
死体