浅ノ宮遼のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
感情が失われていく病の後天性情動喪失症候群、通称アエルズ。アエルズに侵され徐々に感情を失いつつある伝城英二は、アエルズ患者のみで共同生活を行う情無連盟に誘われる。感情の無いアエルズなのになぜか事件が発生する。
理屈のみで動くという設定が面白い。「人間の感情は役割を終えた」という話にも共感を覚える。人類全てがそうなれば戦争などは起こらない。何のための生かという目的は失われるが、其れこそ人類AI化計画といったところだろう。SFとしての題材としても面白そうではある。
あとがきにあるが、アエルズはフィクションらしい。本当にあるのかと思いネット検索したが出てこなかった。まぁ症状から考えると鬱病と診断され -
Posted by ブクログ
元麻酔科医の伝城英二32歳は時間と共に感情が失われていく病<情無>「アエルズ」に罹ります。
英二はアエルズ患者8名が共同生活を送る<情無連盟>
の国木田紘子61歳から加入の勧誘を受け、千葉県のD町に見学に行くと、そこで情無の一人、乾が殺されるという第一の事件が起こります。
何も欲求を持たず、怒りも悲しみも感じない<情無>。
英二は国木田から事件の推理を頼まれます。
英二は8人の中に情無とは症状の違うサイコパスが隠れていることに気が付きます。
そんな中、第二、第三の殺人が起こります。
<理佐殺し>、<D町四住人殺害事件>です。
残された情無は二人。
後半は英二の推理がさえわたり、情無とサ -
Posted by ブクログ
ネタバレ感情が徐々に失われていく『アエルズ』を患った主人公と同じ病気の『情無』達が集まった屋敷での殺人事件のお話です。( 説明下手 )
思ったよりも面白かったです。あらすじからホワイダニットかな〜と思っていましたが違いました。
感情がない方がほぼで淡々と進みます。もうほぼほぼ感情の起伏がない描写でした。
稀に『アエルズ』を患ってない方々( 主治医など )が出てくるのですがあまり出番がなく…それが少し残念でした。
それでも設定はとても面白く、『感情がない=怒ることも恐怖も不安も喜びも感じない=動機がない』というのはトリックから推理するしかなく、全然わかりませんでした。ハウダニット全振りのお話は難し -
Posted by ブクログ
はじめまして、の作家さん。
解説が、大好きな米澤穂信さんってことで、
医療ミステリーに初挑戦。
登場する医師たちがまだ医学生で
講義を受けるシーンでは、
「脳は人間の最も尊い領域」という表現に
スコーーン!と視界が開けるような感覚で
すごく印象深かったし
「人間の心を作っているのは、脳」をはじめ
現役の医師が書いているだけに
医療のリアルさがあった。
医学用語も結構出てくるけど、
必要なところで、わかりやすい説明つきで
スムーズに読めたし、
実際の病や治療から逸れることなく
自然な流れでしっかりと謎解きがされる。
これは医師、看護師さんが読 -
購入済み
よかった
普通に読んで1時間かからないくらい。無駄がなく適度に撒かれた仕掛けに好感。はじめ医学的な説明が続いて軽くひくけど謎解きには知識は必要ない。終盤軽く考えるようなテーマがいくつか出てきて読後感も悪くない。ほとんど会話だけで進んでいくけど人物描写もできてるように思う。長編も読んでみたい。
-
Posted by ブクログ
極めて合理的なミステリー
喜怒哀楽の感情がなくなる病にかかった人々が共同生活を送る屋敷で殺人事件が起こった。
怒りも恨みも抱くはずがない人がどうして非合理な殺人を犯したのか?
密室殺人はどうやって成されたのか?
余計な感情を持たない彼らは極めて合理的で、生きるのに最適なことを最低限積み重ねていく生活を送っている。
他人に興味を持たないから誰かを貶めたり傷つけることもない。それこそユートピアのような世界かと思いきや合理的であるからこそ陥る罠がたくさんある。
ミステリー小説のなかには、被害者が非常に協力的でないと成功しないトリックが沢山ありますが、システマティックに考える彼らの行動には理由があり -
Posted by ブクログ
優れた診断能力を持つ臨床医師・西丸が探偵役を務める医療ミステリー。長編ではなくバラエティ豊かな短編集である。
何やら某天久鷹央を想起させる設定だが、こちらの西丸は積極的に調査に取り組むタイプではなく、他キャラの誤答を正すように最後に現れる舞台装置という印象が強い。背景もほぼ語られないので作中一の謎ですらある。
この作品の特徴として「誤答もそこまでバカバカしくない」というものがある。ツッコミ役の探偵がその場にいないので珍回答が出ないのだ。
登場人物の大半が医者なので知能レベルが高いというのはある意味リアルではあるのだが、エンタメとしては少々問題がある。ツッコミどころもなく淡々と推理が進むのでど