あらすじ
徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がなくなった。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。
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Posted by ブクログ
感情が失われていく病の後天性情動喪失症候群、通称アエルズ。アエルズに侵され徐々に感情を失いつつある伝城英二は、アエルズ患者のみで共同生活を行う情無連盟に誘われる。感情の無いアエルズなのになぜか事件が発生する。
理屈のみで動くという設定が面白い。「人間の感情は役割を終えた」という話にも共感を覚える。人類全てがそうなれば戦争などは起こらない。何のための生かという目的は失われるが、其れこそ人類AI化計画といったところだろう。SFとしての題材としても面白そうではある。
あとがきにあるが、アエルズはフィクションらしい。本当にあるのかと思いネット検索したが出てこなかった。まぁ症状から考えると鬱病と診断されそうだが、近い将来に出てくるかもしれない。
Posted by ブクログ
元麻酔科医の伝城英二32歳は時間と共に感情が失われていく病<情無>「アエルズ」に罹ります。
英二はアエルズ患者8名が共同生活を送る<情無連盟>
の国木田紘子61歳から加入の勧誘を受け、千葉県のD町に見学に行くと、そこで情無の一人、乾が殺されるという第一の事件が起こります。
何も欲求を持たず、怒りも悲しみも感じない<情無>。
英二は国木田から事件の推理を頼まれます。
英二は8人の中に情無とは症状の違うサイコパスが隠れていることに気が付きます。
そんな中、第二、第三の殺人が起こります。
<理佐殺し>、<D町四住人殺害事件>です。
残された情無は二人。
後半は英二の推理がさえわたり、情無とサイコパスの違いを指摘しながらの本格医療ミステリーです。
本格物は、私は時々途中で推理がわからなくなってくることがあるのですが、この推理は非常にわかりやすく面白かったです。
Posted by ブクログ
設定的に目新しく、感情がなくなった人間が犯罪を起こす動機などを考えるのは面白かった。真の意味での論理的な思考を持った情無達。その思考に寄り添うのがなかなか難しく、種明かしをされても、登場人物がそういう風に考え、行動するかどうか、本当のところは分からないんじゃないかなあなんて思いもした。
Posted by ブクログ
新種の奇病「アエルズ」により感情を失った人々が過ごす情無連盟。全ての判断が合理的であることと、自身の生存本能に基づいている彼らの家で何故殺人が起きたのか。
とにかく論理的に推論を重ねていく物語で、派手さはないが刺さる人には刺さると思う。
ラストへの展開と主人公の結論が面白く、好きな作品です。
Posted by ブクログ
感情が無くなっていく病気に罹った主人公が、同じ症状を持つ人同士で暮らしている連盟と出会い、そこでの生活を考えるために体験入所している時に殺人事件が発生。
感情が無いから殺人どころか揉め事すら起きない空間でなぜそのようなことになったか、そして密室ではないがクローズドサークルで起こった殺人。
これを解決するために主人公が冷静に分析し解決していく話。
主人公も探偵ではないので、立てた仮説が間違っていたり、ミスリードされてしまったりと、読者と同じ視点で進んでくれるので読みやすい。
読み応えのある作品だった。
Posted by ブクログ
感情がなくなっていく病気アエルズに罹患した人達が共同生活をする館で起こる殺人。
情がなく理によってのみ動くことで考えられる殺人の動機や行動が興味深かったです。
ムダがなく機能的でAIみたいな感じなのかなとは思ったけれど、やっぱり人間として切なかったです。
最後はちょっと納得がいかない感じでした。
思いもつかないような設定でおもしろかったです。
Posted by ブクログ
感情が徐々に失われていく『アエルズ』を患った主人公と同じ病気の『情無』達が集まった屋敷での殺人事件のお話です。( 説明下手 )
思ったよりも面白かったです。あらすじからホワイダニットかな〜と思っていましたが違いました。
感情がない方がほぼで淡々と進みます。もうほぼほぼ感情の起伏がない描写でした。
稀に『アエルズ』を患ってない方々( 主治医など )が出てくるのですがあまり出番がなく…それが少し残念でした。
それでも設定はとても面白く、『感情がない=怒ることも恐怖も不安も喜びも感じない=動機がない』というのはトリックから推理するしかなく、全然わかりませんでした。ハウダニット全振りのお話は難しい…。
話が変わりますが、自分が飲んでる薬の成分の名前が冒頭で出てきて「おお、珍しいな」となりました。
若干、続編が出てもおかしくない終わり方ではあったので、もし出たら読みたいです。
Posted by ブクログ
感情を失った
疑う心も無い、理さえ通れば受け入れる
死の恐怖すら無い
事件が起きてから大半のシーンが探偵役の伝城による仮説と検証
と言っても一人で考え込んでる訳ではなく他の人と話しながら推理を組み立てていくスタイル
感情が無いから犯行動機が不明
考えるべきは事件のトリックのみってのが良いよね
個人的には連盟の1人が病気になったときの会議が1番の見どころ
もう終わりだよこの集団って言いたくなるはず
Posted by ブクログ
病気により感情が無くなった人々のコミュニティでなぜ殺人が起こったのか?
アエルズという架空の病気を用いた特殊設定ミステリ。設定は面白く惹きつけられる魅力は有りだが推論に推論を重ねる展開でそんなに上手くいくか?と考えてしまった(汗)
Posted by ブクログ
感情が徐々に失われていく病気(情無)に罹患した主人公が、自分と同じ疾患の人々が集団生活している連盟に誘われ、殺人事件に巻き込まれていくお話。
感情が無く、常に合理的に生きるという情無の人々が中々想像しづらくて、物語に入り込めませんでした。また、この疾患の診断における穴については、納得すると同時に、何か対策してくれよ!とツッコミたくなりました。
そして、主治医の五味先生や主人公の妹さん等、推理に加わるのかと思わせておいて関わりが中途半端。どちらか一人でも、最後までガッツリ関わっていて欲しかったな〜。
Posted by ブクログ
極めて合理的なミステリー
喜怒哀楽の感情がなくなる病にかかった人々が共同生活を送る屋敷で殺人事件が起こった。
怒りも恨みも抱くはずがない人がどうして非合理な殺人を犯したのか?
密室殺人はどうやって成されたのか?
余計な感情を持たない彼らは極めて合理的で、生きるのに最適なことを最低限積み重ねていく生活を送っている。
他人に興味を持たないから誰かを貶めたり傷つけることもない。それこそユートピアのような世界かと思いきや合理的であるからこそ陥る罠がたくさんある。
ミステリー小説のなかには、被害者が非常に協力的でないと成功しないトリックが沢山ありますが、システマティックに考える彼らの行動には理由があり、トリックに矛盾がありません。
探偵役も機械のような思考で謎に挑むので、余計な装飾がなく読みやすいと思います。
who、why、howのすべてを楽しめる一冊です。
Posted by ブクログ
CL 2024.11.10-2024.11.12
すべての感情が失われていくアエルズ病。その患者たちが集まって共同生活を送る情無連盟で殺人事件が起こる。
感情がなくなる病と共同生活という設定はすごく面白かったのに、結局主人公の行動原理も犯人も情無ではないから、つまり、普通の謎解き。で、その謎解きがスッキリしなくて、ラストも中途半端で、後半ガッカリでした。
Posted by ブクログ
表紙の挿絵がなんとなくミステリアスで気になって読んでみた。
情無が存在する世界はファンタジーだけどユニークで、なんだか読んでると自分も情無になってくる気がするから不思議。
ミステリーとしてはうーんな感じだった。設定は面白いけど、そもそも感情がないから誰にも共感できないしする物でもない、だからどうしても没入できないのが諸刃の剣かも。感情がないから可能性をつぶしていくミステリーだけど、個人的には合わなかったのね。