佐川峻のレビュー一覧
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■遺伝性の強い4つの性格(クロニンジャー)
①新規性探求(好奇心に基づいて探求する)
②損害回避(危険を避けようとする)
③報酬依存(社会や周囲に適合しようとする)
④持続性(熱心に続け固執しようとする)
・①はドーパミン、②はセロトニン、③はノルアドレナリンなどの脳内物質が大きな役割を果たしている
■ドーパミンは「心のアクセル」。ドーパミンが放出されると新しいことや珍しいことに興味を持って突き進んでいく。このドーパミンが放出されたとき、次に結び付くのがドーパミン受容体で、その受容体にいくつかのDNAタイプがありそれらが性格に関係している。
ドーパミン第4受容体関連遺伝子の中にあるアミノ酸配列の繰返し回数が人によって異なっていて、2回の人もいれば8回の繰返しを持つ人もいる。この繰返し回数が人によって異なっていて回数が多い人ほど新規性探求傾向が強い。
■セロトニンは放出されて情報を伝えたあともう一度取り込まれてリサイクルされるが、セロトニンの取り込みの働きをするのが「セロトニン・トランスポーター」でセロトニン・トランスポータ-の遺伝子には長い「L遺伝子と短い「S遺伝子」がある。「L遺伝子」を持つ人の方がセロトニン産出量が多く、「S遺伝子」を持つ人はストレス状況下では不安になったり悩んだりする神経質な傾向が強い。
■日本人でドーパミン第4受容体の7回繰返しを持っている人はほとんどおらず。4回繰り返しが圧倒的に多い。
セロトニン・トランスポーター遺伝子については、「L遺伝子」だけを持つ人は1.7%と少なく、「L遺伝子」と「S遺伝子」を持つ人が約30%、「S遺伝子」だけを持つ人が70%近くいる。
アメリカ人では「S遺伝子」だけを持つ人が2割もいないのに対し、「L遺伝子」だけを持つ人は3割以上もいる。この事実こそが日本人の慎ましい性格や心のブレーキが強く働く性格を表していると考えられ、アメリカ人の開拓精神であったりアングロサクソンの攻撃的性格などとは対照的。 -
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人間の性格を決めるのは、脳内伝達物質であり、それに関連するDNAを調べれば、科学的に性格が診断できる。
性格診断と言えば、血液型による性格診断がもてはやされているが、血液型性格診断を信じているのは日本人くらいのものであり、その他大勢の外国人は、このようなDNA性格診断の活用が進み、カウンセリングや職業適性、進路選択などのアドバイスも、科学的な分析をベースに行われるようになってきている。
具体的には、人間のやる気に関係するドーパミン、不安傾向に関係するセロトニンを分析し、性格を診断する。ドーパミン受容体のタイプとセロトニン・トランスポーターのタイプによって
①楽観・新奇性型:ドーパミン繰り返し2回、セロトニンL遺伝子とS遺伝子
②慎重・新奇性型:ドーパミン繰り返し4回、セロトニンS遺伝子とS遺伝子
③楽観・じみち型:ドーパミン繰り返し2回、セロトニンL遺伝子とS遺伝子
④慎重・じみち型:ドーパミン繰り返し4回、セロトニンS遺伝子とS遺伝子
に分けることができる。
また、感情や気分と関係するノルアドレナリンの量によって、これらをさらに2つに分けることができ、これらのタイプの裏タイプとでも呼べるような性格に分類することができる。 -
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親が子を助けるようとすることも、自己犠牲的愛情ではなく、遺伝子に組み込まれていたため。
私たちヒトの身体も単なるDNAの乗り物にすぎない。
とすると、ヒトである私たちの言動、思考、判断も自分のものではなく、この身体を乗り物にしているDNAによるものなのか。
この本の感想を書いていることもそうであるならば、驚きである。
進化論はダーウィンの「種の起源」で終わっていない。その後新しい発見が起きている。これに気付かないのはもったいない。
ゲノム解析の恩恵は私たちの生活を思いもよらぬ方向へ進化させるのか、これから発表される説が楽しみになる。
追記
この感想を書き上げた直後にTwitterで見つけた記事。
「遺伝子がストレス情報を記録、子孫に影響も=研究〔無料〕」 on.wsj.com/AvJ0JK -
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進化論に関するこれまでの議論とそれぞれの現時点の見解をまとめており、頭の整理をするのに役立つ。著者が提唱するウィルス進化説を紹介している最終章は、進化が断続的であることなどの謎を解明できそうで興味深い。
・ヒトのDNAではジャンクが70%を占めており、ジャンクの半分がウイルスの名残であるレトロトランスポゾン。
・脊椎動物に広く存在するが、昆虫や植物には全く存在せず、バクテリアの遺伝子に似ている225の遺伝子が見つかっている。脊椎動物が昆虫や植物から枝分かれした後に、いくつもの遺伝子がバクテリアから脊椎動物に水平移動したと考えられる。
・B型肝炎ウイルスの遺伝子型は、西日本から中部地方、中国北部や韓国にはCタイプが多く、沖縄・奄美・東北・北海道、台湾・インドネシアにはBタイプが多い。
・白血病の一種であるATLウイルスのキャリアは、アイヌ、九州、沖縄に集中していて、本州には少ない。
・縄文人のミトコンドリアDNAが南方系の型と同じだったことから、縄文人が古モンゴロイドはあることになる。
・琉球犬と北海道犬は縄文人に連れてこられた犬の子孫で、他の日本犬は大陸から来た弥生人が連れてきた犬と考えられる。
・性格の半分は遺伝によることがわかってきており、新奇性追求、損害回避、報酬依存、持続性については遺伝的要因が大きい。新奇性追求、損害回避、報酬依存については、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンが特徴的な役割を果たしている。
進化論
・哺乳類と爬虫類では骨格が大きく異なるが、その中間的な骨格の化石が発見されていない。
・プラスミドは染色体に乗っていない遺伝子の総称で、細胞質にあり、自律的に複製を行う。
・抗生物質に対する多剤耐性菌のほとんどはプラスミドによって支配されている。
・生死を賭けた闘いという意味での生存競争は、進化とはほとんど関係がないと考えられるようになってきた。
・小さな突然変異が積み重ねられた結果として大きな変化が起きたという具体的な例は見つかっていない。
・20種類を越える霊長類に子殺しが確認されている。ツバメでもオスによる子殺しが観察されており、一夫一婦制の種が子殺しをする唯一の例。
・中間の長さの首を持つキリンの化石は見つかっていない。
・ウイルス進化論では、多くの個体にウイルスが感染することによって種全体に変化が起きると考えられる。
・ファージは細菌に感染するウイルスで、細菌の遺伝子に組み込まれたファージをプロファージという。 -
Posted by ブクログ
遺伝子学から振り返るダーウィン進化論。全ては最終章にある自説のウイルス進化論に引っ張るための誘導に見えなくもないが、『進化論が変わる』としたタイトルは言い得て妙であり、ダーウィン進化論が如何に補足・修正・検証されてきたのか、進化論の歩みが追える良書。特に5章の進化論の五つの論点「生物は進化に対して受動的か能動的か」「進化は競争の結果か協調の賜物か」「進化は偶発的な出来事か必然的な出来事か」「進化は連続的な出来事か必然的な出来事か」「進化の主体は何か」に関しては、答えが出ていないものが殆どなのだが、自分が進化論に対して感じていたモヤモヤが言語化されていて、一段理解が深まった気がする。
キリンの首がなぜ長いのか、"考えたい"人にオススメの一冊。 -
Posted by ブクログ
健康診断の正常値、天気予報の的中率、テレビの視聴率、消費期限、失業率、有効求人倍率、平均寿命などの数値を取り上げ、検討していく。
タイトルからして「嘘を見破る」と、糾弾調を感じるのだが、何かはじめに結論ありきな感じ。
リサーチ・リテラシーを身に付けたくて読んでいる立場からすれば、説明が不親切なところがあって、惜しまれる。
例えば、1章のスタチン剤(心筋梗塞を防ぐ薬)の効果を検証するくだり。
プラセボ投与グループと比べ、スタチン剤投与グループは31%発症率が低かったというデータをまず紹介し、しかし発症率の実際の数字を比較すると2.4ポイントの差しかない、と説明されていく。
「31%」という結果だけが示され、どういう数字を踏まえて割り出したのか、読者も確認できる書き方のなっていない。
たとえそれが医者が患者に示している資料の中にある言い方だとしても、元の論文にまでさかのぼっていくのなら、そこも含めて確認できるようしてほしかった。
縦書き文書で、説明するのが面倒なら、表にしていちらんにすればいいのに。
そういうプロセスを踏まないと、結局読者のリサーチ・リテラシーが高まらない。
筆者の「結論」をただ拝見するだけになってしまう。
話題としては面白いものもあっただけに、もうちょっと論じ方を丁寧にしてほしかった。 -
Posted by ブクログ
「新・進化論が変わる ゲノム時代にダーウィン進化論は生き残るか」中原英臣/佐川 峻
ブルーバックス・生物学。
棚-ubjap
進化論、概説。ダーウィン以前の進化論から、様々な議論を紹介し、ひとつの提案として著者2人の「ウイルス進化論」を提示します。
…実はレビューを書く前にネットで検索してしまって、「ウイルス進化論」がトンデモに近いような扱いをされていることを知ってしまったので、レビューを素直に公平に書けなくなってしまった、。
進化論の基本をベーシックに説明しつつ、今西錦司の「棲み分け」の理論、木村資生の中立進化説なども取り上げます。
ダーウィンの進化論で述べられる、「生存に適した突然変異が、自然淘汰の結果、種全体に拡がっていく」という論理が、果たして明確に方向性を持つような大きな飛躍(ex.眼の発生、爬虫類から鳥へ、キリンの首は何故長い?など)を実現し得るか?という点に対し、
レトロウイルスによる遺伝子の書き換え、"比較的大きな"集団全体への突然変異の伝播、というアイデアを提案します。
※webでちょっと見た感じ、「ウイルス進化論」がトンデモ扱いされている理由として、学術誌に掲載された論文でないこと、実証的な裏付けがない(弱い)こと、最新の進化生物学を反映したものではないこと、自説に不都合な事実は取り上げないこと、などと書かれていました。
確かに、学説としては弱いのかもしれないし、ある程度認められた説、のように記述するのは不誠実とも言えるでしょうが、アイデアの提案として読む分には、興味深いなあ、と感じました。
…まあ、『リング3部作』が好きだからってのが大きく関係してるとは思いますが。
あくまでも突然変異の類型のひとつとして、ウイルスによる遺伝子伝播はあり得ないのかな?と読み終わって素人考えには思いました。
進化に影響する突然変異の全てがウイルスによるわけではなく、ウイルスは進化を担う細胞小器官である、などの過言をさておくなら、
今後実証されたら面白いなあ、と思う内容でした。(3) -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「答えが出ない」「煮詰まっている」のはあなたの頭が悪いからではない。
悪いのは質問のほうである。
良い質問のなかにはすでに正解が含まれているし、愚問はいくら考えても無駄なのである。花粉症の真の原因とは何か。
なぜニュートンは万有引力を発見できたのか。この世にはびこる愚問を斬り、世界的発見、歴史的発明を生み出した賢問を見つめなおす。
あらゆる角度から「問い」の構造を考える。
[ 目次 ]
第1章 愚問とは何か
第2章 病院の中の愚問
第3章 社会も愚問だらけ
第4章 科学者たちの賢問
第5章 意外な答えを導いた問い
第6章 ヒラメキは賢問から
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]