蔵本由紀のレビュー一覧

  • SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

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    SYNC: なぜ自然はシンクロしたがるのか

    ストロガッツ教授の歩んできた、複雑系研究の道。
    その一つの道しるべとして、同期現象を取り上げています。
    振り子、蛍、細胞、シナプス、脳波、睡眠、惑星、量子、自己組織化、WWW、交通渋滞・・・・
    意志を持たない物すらも、あたかも意志を持っているように同期する不思議。
    端緒についたばかりの非線形な複雑系、ネットワークの研究が、様々な同期の不思議を解明していく歴史がエキサイティングです。
    異端の学問だったCで始まる、Cybernetics, Catastrophe theory, Chaos theory, Complexity theoryが、研究の中心になっていくであろう今後が楽しみです。

    竹蔵

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    2025年09月03日
  • 非線形科学

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    文系脳の非線形科学 №1   -2007.11.01記

    「非線形科学」を読みおえ、混濁した頭を抱えつつなんとか理解の歩を進めたいと悪銭苦闘しているのだが、なかなかに点と点が結ばれて線へとはならないものである。これまで科学的な知見に対し、どれほど直感的かつ好い加減に接してきたか、たんなる言語遊戯にすぎなかったのではないかと悔恨しきりである。
    だが、このたびはこのままやり過ごすわけにはいかぬ。あくまでも私なりにではあるが、本書をほぼ理解する必要があると、そんな衝動が、熱が身内を貫いている。おそらく、これらの理解は、私がずっと拘ってきた身体表現のありように、方法論的な明証さを与えるものとなるはずだ、とそう思うからである。
    遅々とした歩みだとしても、ひとまず歩き出さねばならない。

    <フィードバックシステム>
    栄養物の入った容器のなかで増殖するバクテリアは、バクテリアの量が少なく栄養が充分に豊富なあいだはどんどん増殖するが、その限りにおいて増殖の速さはバクテリアの総量に比例するという線形的な法則が成り立っているかとみえる。しかし、容器内の栄養物が枯渇してくると、この比例関係は成り立たなくなり、増殖は頭打ちとなる。この場合、増殖の進行そのものが増殖を押しとどめる原因になるという、自動調節機構が働いていると考えられるが、この機能をフィードバックといい、事態の進行がその進行そのものを妨げるように働くことを、負のフィードバック=ネガティヴ.フィードバックといい、その逆に、栄養物が枯渇するまでバクテリアの自己増殖がどんどん促進される、その機能を正のフィードバック=ポジティヴ.フィードバックという。このように生化学反応における自己増殖や自己組織化にはフィードバックシステムが欠かせない。生物は熱力学の第二法則に反して、エントロピーの高い状態を保ち続ける物質であり、そのためには、動物の場合の化学エネルギーであれ植物の場合の光エネルギーであれ、たえずエネルギーを必要とする。これらのエネルギーを体内に取り込んでは捨てるという代謝作用が分子的に組みあげられた複合体が生物である。
    細胞内ではこれら正と負の2つのフィードバックシステムはさまざまな場面で現れ、細胞の自己組織化をコントロールしている。ネガティブ.フィードバックは代謝反応の制御や細胞増殖の制御に利用され、ポジティブ.フィードバックは情報伝達と応答反応に利用されている。遺伝子発現の制御、複製や細胞分裂など複雑な生命現象では双方が同時的に働き、巧妙な仕組みが成立している。一般にポジティヴ.フィードバックが働く場合は、それを抑制するネガティブ.フィードバックが備わっていないと破滅的な結果にいたる。正と負の双方のフィードバックをあわせもつ複合的な非線形システムは、自然界において広く存在する。

    元来フィードバックとはサイバネティクスにおける用語であるが、この考え方は人間社会でも多く取り入れられている。分かり易い例を引けば、個人レベルにおける「反省」ということ。反省とは経験から学んだ大切なことを文章にして、他人に伝えることができる形にすることだが、通常、反省はポジティブではなく、ネガティブな経験から教訓を導き出すように使われ、自らの失敗や不十分さを謙虚に認めることや、同じ過ちを繰り返さないために、その原因を分析し明らかにする。また、さまざまな事象や問題に対する評価や批判は、社会のフィードバック制御であるといえる。行政の行動に対しては選挙やマスコミによる世論調査、裁判、NGOの活動などがいろいろな評価をする。経済活動に対しては価格や市場、株価などが結果的にポジティブ.ネガティブに作用する。これらは外部の独立した仕組みとしてのフィードバックシステムといえるだろう。実際には、あらゆる組織というものはそれぞれにおいてなんらかのフィードバック.システムを内蔵してその安定を保とうとしているものである。それぞれ固有の歯止めとしてのフィードバックシステムが働かなければ組織がうまく機能しないというわけである。

    だが、これら人間社会にもさまざまにみられるフィードバック.システムには、制御の「遅れ」という難題がつねに立ちはだかっているともいえる。
    近頃の、NOVAの破綻騒動にしても然り、C型肝炎の薬害問題然りで、行政の監視システムや法制上の綻びなどさまざまに複合的な原因が云々されようが、これらすべてフィードバックの制御システムの「遅れ」の問題といえるわけである。
    NOVAや薬害問題のごとき大きな事件にかぎらず、いわば新聞紙面やTV報道に日々登場するあらゆる事件や事象のうちに、この制御の「遅れ」という問題が潜んでいるのだ。

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    2022年10月16日
  • SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

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    ホタルの発光の同期,体内時計の同期から始まって,量子物理学に進み,カオス,複雑系ネットワークから,さらに人の脳と認知まで議論が展開するとは思わなかった.
    最初の方は,内心「だからどうした」と思いながら読んでいたが,同期現象がこのように幅広い領域で観測されるものと知って驚いた.
    面白かった.

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    2020年03月12日
  • 非線形科学 同期する世界

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    同期現象を中心にして「科学」の理解に必要な「非線形科学の前提知識」をまとめてあって、読んでいてワクワクが止まらない。

    複雑系についての書籍は色々あるけども本書は「因果」についていろいろと考えさせられる。

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    2020年01月19日
  • 非線形科学 同期する世界

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    あまりに素晴らしい。信号機の自力分散の研究とかすごくしたいな。あとは、人体の中の同期とか時計細胞のディテイル。新書的よろこびに満ちた本。自己が同期に関連した概念だっていう私のドテカンまで説明してくれると良かったけど。

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    2014年10月14日
  • 非線形科学

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    素晴らしい。BZ反応とか。こびてないんだけどすごいしっかりしている本ってのがあって、例えばみすず書房の本。そんな手触りを感じさせる良質な新書ですね。京大ってやっぱいい大学そうだなあ。行ったことないけど。

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    2014年09月21日
  • 非線形科学 同期する世界

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    本屋でたまたま見かけて、おもしろそうに感じたので手に取ったのですが、結果として大正解でした。
    隣り合った2つの振り子時計やメトロノームの振り子が自然に同期する不思議から始まって、ろうそくの炎、こおろぎの鳴き声、体内時計、ミレニアムブリッジ、蛍、電力ネットワーク、心拍、電気うなぎ、インシュリン分泌、パーキンソン病、動物の歩行、ミミズやアメーバーの移動、信号機のネットワークと、実に何の脈絡もなさそうな幅広い分野の現象を「同期」「リズム」の観点から共通するイメージを見事にくくりだし、これを利用した自律分散型制御系の構築可能性まで、実に壮大なビジョンを提示してくれています。
    短い読みやすい本ですが、知的好奇心を大いにくすぐられる実にエキサイティングなものでした。

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    2014年06月28日
  • 非線形科学

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    「カオス・フラクタル・同期現象」といったかっこいい専門用語の知識を得るだけで満足してはならない。
    重要なのは、非線形科学という学問の枠組みが現実の自然現象にこれまでの物理学とは異なった新たなものの見方を与えていることなのである。

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    2015年07月17日
  • 非線形科学

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    今後のライフワークと言うか、自然観の基礎となる事が詰まってます。
    集英社新書ってよく知らなかったけど、こんな素晴らしい本が出てるとは。

    蔵本先生の入門書ですが、初心者には十分骨のある本です。

    数学者の本ですが、計算科学を志す人は是非とも読んでおきたい本。

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    2009年12月27日
  • 非線形科学

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     落下の法則、ニュートンの3法則なんかとは違う、不確定的な法則、反応、事実を調べる非線形科学について書かれている。
    うちの学科ってこういうことをやるんだよなー、って再確認できる。BZ反応とか授業でやったしなー。魅力的だが、めちゃくちゃ難しいというのはあるが…

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    2009年10月07日
  • 非線形科学

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    とても難しいが何とか理解してみたいと知的欲求をがんがん刺激される。「カルマン渦列」、ホタルが同時に発光する「集団同期」、「平均値プラスゆらぎ=分散」、硬貨の表裏の累積「ブラウン曲線」、海岸線の形成「フラクタル次元」、「スケールフリーネットワーク」

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    2014年11月07日
  • 非線形科学 同期する世界

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    「同期(シンクロ)」をキーコンセプトとして、さまざまな興味深い現象を見ていき、そして、その都度、その現象を起こしている「同期」について解説しながら、「同期」そのもののイメージを深めていくような本でした。

    17世紀、オランダで活躍した科学者ホイヘンスのよって、並べたふたつの時計の振り子が同期する現象が報告されたのが、この分野の起源とされているそうです。ここからこの分野の話が開始されます。この時点で、「同相同期」と「逆相同期」が解説されているのですが、ならべた時計の振り子が同期して、同じように左右に振れているのが同相同期で、片一方が右に振れたときに他方が左に振れるのだけれどもリズムはいっしょというのが逆相同期です。

    同期はさまざまな現象の仕組みに備わっていることが本書ではさまざまに紹介されていて、なるほどなあ、と膝を打つことばかりだったのですけれども、僕もひとつ思いついたのが、DVのある家庭環境で育った子どもが暴力に訴えるようになったり、自分の子どもができたときにDVをはたらいたりする世代間連鎖が同相同期なのではないか、ということでした。さらに気づいたのが、DV家庭で育った子どもが大人になって非暴力の人となっていた場合、それは非同期の可能性がありながら、逆相同期の可能性も捨てられない、ということでした。逆相同期だった場合、それは親を反面教師とした場合ですが、逆相での世代間連鎖だと言えるでしょう。

    といったことを考えるとさらに気づくことがあります。世の暴力は、個人がその先代の暴力、そのまた先代の暴力、といったふうに、どんどん先祖にさかのぼって受け継いできたと考えることができて、つまりは、ずうっと昔の先祖から世代間連鎖として受け継いできてしまった負の要素だと考えられるのですが(こういったことの解説をする本『恐怖と不安の心理学』もあります)、同期を破綻させることができれば、悪しき連鎖から逃れられるのではないか、というのがその気づきです。

    p37-38に同期の破綻について書かれています。それによると、同期状態にある一方が、同期が成り立たないような速いペースで動くと同期は破綻する、とあるんです。

    ちょっとややこしくなるかもしれませんが、ここでひとつ例を書いていきます。とある田舎の話です。田舎ですと、もっと都市部の高校に進学したほうがこの子のためになるから、なんて言い方がされるものです。カリキュラムや授業の質の違いが大きいというのはあるでしょう。できない子に合わせないといけないとかで、できる子にとっては学校で教えられるものが物足りなくなります。

    同時に、知らずに周りに合わせる心理が、学力の伸びに関係がありそうでもあります。これは同期現象としてです。田舎の高校にいたままで伸びるには、同期を破綻させないとならない。さっきも書きましたが、同期が成り立たないような速いペースで動くと同期は破綻するのでした。同期していた集団からは、「裏切り者」「見捨てるのか」「あいつは俺らとは違うつもりなんだ」などやっかまれたりすることがあります。それをも振り捨てて、速いペースで生きる。それができる人は非同期でいられる。能力ありきということになるのでしょうか。場によっては、孤高になりますね。

    僕みたいに在宅介護をしていると、介護面では人と同期するのがほんとうだし(他者への尊厳をもって接するからです)、でも、介護をやりながら自分のしたい仕事なり勉強なりをするときには非同期でいたい、となります。その境界を作ろうにも、境界線ははっきりひけるものじゃありません。そこのつらさがあるんです。頻繁に非同期への侵犯がある。

    同期には同期を保つ引力があり、それを破綻させるには速いペースで振り切らないといけません。同相同期からも逆相同期からも逃れる非同期とは速く走ること。なかなか大変だと思います。

    ここにはおそらく、自律性が関連してくるでしょう。また、他律性を嫌うこととは幸せや生きやすさへの条件の一つと僕は考えているのですけれども、他律性を多方面から受け続けるということは、同期ということになるでしょう。

    話を戻します。世代間連鎖を破るための非同期を達成するには、自分が親よりも速いスピードで動くとよい、という抽象的な答えが出ました。具体的に考えると、親を超えろ、ということでしょうか。同じジャンルではなく、自分が好きな、進みたいジャンルで、速いスピードで生きていく。コミュニケーション面では寂しくて悲しいことではありますが、同期を破綻させるためには、親に話を合わせず、自分の世代だけでの言葉や考え方を貫く、というのもありそうです。親世代に暴力の匂いを嗅いだら、という前提ではありますし、ここに挙げたいずれもが、僕の仮説であることは断っておきます。

    それを踏まえた上で、音楽デュオ・YOASOBIさんによる『祝福』というガンダム作品のオープニング曲の歌詞を引用します。

    * * * * * *

    誰にも追いつけないスピードで地面蹴り上げ空を舞う
    呪い呪われた未来は君がその手で変えていくんだ

    * * * * * *

    ここ、好きな部分なのですけど、同期し続けてると避けられないようなかりきった暗い未来は、非同期で変えられる、と解釈できるでしょう。

    速いペースで生きることは、自分にとっての許容ペース内でないならば、生き急ぐと言われるようなことになりそうです。でも、一度同期を破綻させてしまえば、ずっと速いペースを維持しなくても良いのかもしれないです。


    ここからは引用をふたつほど。
    __________

    いずれの例においても、平均場は個々の成員の動きを支配すると同時に、逆に成員の動きの全体が平均場を作り出しています。それがここで言う個と場の相互フィードバックです。人間社会でも、これに似た状況はいろいろ考えられます。たとえば、個人の考えに影響を及ぼす世論が個人の考えの総和で形成されるのは、その一例と言えるでしょう。個と場の相互フィードバックが強く働くシステムでは、集団全体を巻き込む突然の秩序形成や秩序崩壊がしばしば起こります。(p96-97)
    __________

    →場というのが個の総体としての影響からできてきますが、その場が次には個に影響を与える。そして場から影響を受けた個がさらに場を作る、という繰り返しでたとえば共同体はできている、ということですね。


    続いて、
    __________

    (略)「個と場の相互フィードバック」という考えかたにあります。実はそこでの「フィードバック」の内容をもう少し丹念に調べますと、それはプラスのフィードバックとマイナスのフィードバックの両方を含んでいることがわかります。再びミレニアムブリッジの揺れに即して述べますと、プラスのフィードバックとは、場が揺れ始めると、そのこと自体がますます揺れを強めるように働く性質のことです。じっさい、場の揺れは個々のメンバーに共通して作用しますから、場が揺れれば、個々人の歩行はもはやばらばらではなく強調したものになるでしょう。ところが、場の運動はこの運動の総体が生み出すものでしたから、この協調運動は場の揺れをますます強めます。これがさらに個と個の協調運動を強める、というように、加速度的に揺れを強めようとする傾向をこのシステムはもっています。これがプラスのフィードバックです。(p99)
    __________

    →プラスのフィードバックとは、雪だるま式に物事が大きくなっていってついにはどうにもできなくなることもこれにあたります。「悪循環」という言われ方もされるときがあります。この反対に、マイナスのフィードバックがありますが、それを人工的にプラスのフィードバックを打ち消す形で起こせるのかどうかは、よくわかりません。ここまでわかれば、具体的にどうすればよいかの方策まで、あと一歩という気がします。


    最後に。情報化社会となり、多様性が進み、変化のスピードはが加速している現代なのですから、中央集権でやっていくにはもう追いつけない時代なのではという気がしてきました。それは本書の最後で解説された「自律分散型」の地方分権のほうが少なくとも処理能力の点では上じゃないのかな、とわかったからです(それとも、行政の体質が今のままでは変わらないでしょうか。どうして行政って、やらないための理由探しにばかり頑張るのだろう。そこだけがやけにクリエイティブですし……)。自律分散型の詳しいところは本書や他の解説書に譲りますが、たとえば電気送電網でスマートグリッドと呼ばれる新しい仕組みはこの自律分散型です。個々がそれぞれを慮るような仕組みで、やっぱり同期を関係しているのでした。

    仕事上で自律分散型を考えると次のような事が思い浮かびます。たとえば多人数いる職場で、まだまだ仕事はあるからできうるだけの速さでやれ、と際限なくスピードを要求するようなのってありますよね。彼女はもう7つこなしたのに君はまだ2つ目か、と叱責されて、早くやれとせっつかれる。人数をそれぞれ個の量としてばらばらに考えているケースです。これを多人数をひとつのシンクロした塊として扱うと、速い人は遅い人に合わせてゆるめ、遅い人は速い人に近づくように少し急ぐという同期のスタイルになります。速い人が遅い人を手伝うというのもこれにあたるでしょう。平均したスピードで、平均的仕事量をこなしていける。自律分散型ってこれですね。



    というところです。和を以て貴しと為す、の和は同期現象のことかもしれないですね。とすれば、和をもって同ぜず、の和もそうです。この場合は、「しがらむことなく、でも仲良くやる」、ってことでしょうか。個人の好みや趣向では同調しないけれど、ひとつのコンセプトや目的に向かっては協力するという意味ですかねえ。そういえば、坂本龍一さんは2010年代にasync(非同期)をコンセプトに曲を作っていました。そしてその発想源は非同期を提唱した哲学者ジャック・デリダからでした。僕もいずれ、難しそうなデリダを読むときがくるのだろうか。跳ね返される覚悟で、そのときは挑みたいですね。

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    2025年01月17日
  • SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

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    ホタルの発光同期や,人間のサーカディアンリズム,などの非線形の同期現象を扱った本.著者のストロガッツも翻訳者の蔵本も,この分野の第一人者.

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    2019年02月18日
  • 非線形科学

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    非線形現象を解析する科学。カオス、フラクタル、ネットワーク理論、パターン形成、リズムと同期、などについて数式を使わずに説明している。自然の現象を横断的に見てそこに不変構造を見つける。

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    2018年10月20日
  • 新しい自然学 ──非線形科学の可能性

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    科学観の修正を迫った論。

    理解が平易なのが本書の最大の特徴だ。
    平易さは、数学的に深く入らないことが一つ。これは私としては物足りないが。しかし、非線形科学がどのような現象かは分かる程度に踏み込んでいる。
    もう一つは、私たちの時代と生の営みに即して語っていることからもたらされている。

    様々な意味で、科学的であることにこだわりが強い人は一読の価値があるだろう。

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    2018年05月30日
  • SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

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    「非線形科学」という聞きなれない分野の第一人者による著書。とりあえずハヤカワノンフィクションだから買っとくかという動機もなくはなかったが、とにかく表紙が美しいのでジャケ買いしたといた方が正確か。
    ホタルとコオロギ、脳波、睡眠リズム、交通渋滞からコンサートの拍手、スタジアムでのウェーブまで、とにかくシンク!そして『偶然の科学』でおなじみダンカン・ワッツも過去の共同研究者として登場するあたりが楽しい。ローレンツの「あの小さなモデルのことかね?」というのもワロタ。

    線形と非線形については、たとえ話を交えながら3ページほどで説明しているのだけど、非線形どころか数学のことはよく知らない自分でも良くわかった。それにしてもあらゆるものがシンクしたがるように振る舞うってほんとすげえ。

    p320
    線形方程式とは、結果が原因に比例し、応答が加えた力に比例するという、単純かつ理想化された状況を記述するものである。

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    2018年01月17日
  • 非線形科学 同期する世界

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    以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。
    前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。
    ハヤカワ文庫の『Sync.』と同じテーマなのだが、それとはまた別の具体例がたくさん列挙していて、読んでいて面白い。
    互いに作用し合う「全体」と「個」との関係性についての部分は、とても共感した。

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    2017年02月25日
  • SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか

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    著者スティーヴン・ストロガッツは、『偶然の科学』のダンカン・ワッツの教師であると共に盟友で、おなじように複雑系科学の大御所の一人、であるらしい。
    この本で提起されている「同期現象」は、たとえば、
    ・一斉に光る蛍。
    ・数百万の脳細胞が病的に同期することによる、てんかんの発作。
    ・レーザービームに現れるコヒーレンス。
    ・心臓に備わるペースメーカー細胞。
    ・月の自転は地球を回るのと全く同じ周期による。
    ・ルームメイトなどのごく親しく共に多くの時間を過ごす2人の女性がときどき示す「月経同期」。

    こうした自然界に多数見られる「同期現象」という謎を、ストロガッツは生地に解説していく。
    確かにこれは興味深いテーマだ。
    無数の要素がめいめい勝手な動きをやり、入り組んだ相互作用を見せる複雑系「カオス」は、ここで驚異的な「自己組織化」現象を示すわけだ。
    こういった現象は、人間にとっては極めて理解しにくいパターンである。
    この「同期」という考え方を援用すれば、流行や集団ヒステリーのような、人間の社会集団の「同期」現象を解き明かすことができそうだ。しかしストロガッツは、このことにちょっと言及するものの、専門外であり、かつ、心理学分野で確固たる定説は生まれていない、として、深追いを避けている。
    互いに同期するための装置として「振動子」という(架空の?)概念が登場するが、思うに、人間の脳内にもこれがあるのではないか。ミラーニューロンよりもさらに驚くべき発見が、やがて脳科学に出現し、社会的な同期現象を解く鍵を示すのではないか。私はそう期待したい。

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    2015年11月08日
  • 非線形科学

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    ちょっと難しい…。でも、この手の内容について割と分かりやすいのかも。
    どんどん掘り下げていくと何があるのだろう。
    それを追っかけているうちに複雑化してしまったのだろう。
    モノの見方と何かを理解しようとすることが一緒だとわかって安心したのはいうまでもないが。まるで世の中を見るみたい。

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    2015年07月18日
  • 非線形科学 同期する世界

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    同じテーマの本『Sync』を以前に読んだが,内容としては重なっているところが大きい.こちらにしかない同期現象の例も多く,特に生体内部での例が興味深い.

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    2015年07月05日