あらすじ
何万匹ものホタルが同時に明滅する、吊り橋を歩く集団の歩調が自然に揃って橋が大きくたわむ……これら驚くべき現象はすべて「同期(シンクロ)現象」によるものだ。同期現象は単に奇妙な現象というだけではない。心拍や体内時計といった生命維持活動にも関与し、最新ロボット制御システムの鍵を握るなど、実は我々の生命や社会を形作る上で欠かせない物理現象なのだ。しかし従来の科学の手法では解くことができず、「非線形科学」の最新研究によって明らかになったのだ。著者は同期現象を記述する「蔵本モデル」を編み出したこの分野の第一人者。本書は我々の身近に起こる同期現象を数式を使わずに解説しつつ、世界を支配する知られざる法則を解き明かす。【目次】はじめに 第一章 身辺に見る同期/第二章 集団同期/第三章 生理現象と同期/第四章 自立分散システムと同期/おわりに
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
同期現象を中心にして「科学」の理解に必要な「非線形科学の前提知識」をまとめてあって、読んでいてワクワクが止まらない。
複雑系についての書籍は色々あるけども本書は「因果」についていろいろと考えさせられる。
Posted by ブクログ
あまりに素晴らしい。信号機の自力分散の研究とかすごくしたいな。あとは、人体の中の同期とか時計細胞のディテイル。新書的よろこびに満ちた本。自己が同期に関連した概念だっていう私のドテカンまで説明してくれると良かったけど。
Posted by ブクログ
本屋でたまたま見かけて、おもしろそうに感じたので手に取ったのですが、結果として大正解でした。
隣り合った2つの振り子時計やメトロノームの振り子が自然に同期する不思議から始まって、ろうそくの炎、こおろぎの鳴き声、体内時計、ミレニアムブリッジ、蛍、電力ネットワーク、心拍、電気うなぎ、インシュリン分泌、パーキンソン病、動物の歩行、ミミズやアメーバーの移動、信号機のネットワークと、実に何の脈絡もなさそうな幅広い分野の現象を「同期」「リズム」の観点から共通するイメージを見事にくくりだし、これを利用した自律分散型制御系の構築可能性まで、実に壮大なビジョンを提示してくれています。
短い読みやすい本ですが、知的好奇心を大いにくすぐられる実にエキサイティングなものでした。
Posted by ブクログ
「同期(シンクロ)」をキーコンセプトとして、さまざまな興味深い現象を見ていき、そして、その都度、その現象を起こしている「同期」について解説しながら、「同期」そのもののイメージを深めていくような本でした。
17世紀、オランダで活躍した科学者ホイヘンスのよって、並べたふたつの時計の振り子が同期する現象が報告されたのが、この分野の起源とされているそうです。ここからこの分野の話が開始されます。この時点で、「同相同期」と「逆相同期」が解説されているのですが、ならべた時計の振り子が同期して、同じように左右に振れているのが同相同期で、片一方が右に振れたときに他方が左に振れるのだけれどもリズムはいっしょというのが逆相同期です。
同期はさまざまな現象の仕組みに備わっていることが本書ではさまざまに紹介されていて、なるほどなあ、と膝を打つことばかりだったのですけれども、僕もひとつ思いついたのが、DVのある家庭環境で育った子どもが暴力に訴えるようになったり、自分の子どもができたときにDVをはたらいたりする世代間連鎖が同相同期なのではないか、ということでした。さらに気づいたのが、DV家庭で育った子どもが大人になって非暴力の人となっていた場合、それは非同期の可能性がありながら、逆相同期の可能性も捨てられない、ということでした。逆相同期だった場合、それは親を反面教師とした場合ですが、逆相での世代間連鎖だと言えるでしょう。
といったことを考えるとさらに気づくことがあります。世の暴力は、個人がその先代の暴力、そのまた先代の暴力、といったふうに、どんどん先祖にさかのぼって受け継いできたと考えることができて、つまりは、ずうっと昔の先祖から世代間連鎖として受け継いできてしまった負の要素だと考えられるのですが(こういったことの解説をする本『恐怖と不安の心理学』もあります)、同期を破綻させることができれば、悪しき連鎖から逃れられるのではないか、というのがその気づきです。
p37-38に同期の破綻について書かれています。それによると、同期状態にある一方が、同期が成り立たないような速いペースで動くと同期は破綻する、とあるんです。
ちょっとややこしくなるかもしれませんが、ここでひとつ例を書いていきます。とある田舎の話です。田舎ですと、もっと都市部の高校に進学したほうがこの子のためになるから、なんて言い方がされるものです。カリキュラムや授業の質の違いが大きいというのはあるでしょう。できない子に合わせないといけないとかで、できる子にとっては学校で教えられるものが物足りなくなります。
同時に、知らずに周りに合わせる心理が、学力の伸びに関係がありそうでもあります。これは同期現象としてです。田舎の高校にいたままで伸びるには、同期を破綻させないとならない。さっきも書きましたが、同期が成り立たないような速いペースで動くと同期は破綻するのでした。同期していた集団からは、「裏切り者」「見捨てるのか」「あいつは俺らとは違うつもりなんだ」などやっかまれたりすることがあります。それをも振り捨てて、速いペースで生きる。それができる人は非同期でいられる。能力ありきということになるのでしょうか。場によっては、孤高になりますね。
僕みたいに在宅介護をしていると、介護面では人と同期するのがほんとうだし(他者への尊厳をもって接するからです)、でも、介護をやりながら自分のしたい仕事なり勉強なりをするときには非同期でいたい、となります。その境界を作ろうにも、境界線ははっきりひけるものじゃありません。そこのつらさがあるんです。頻繁に非同期への侵犯がある。
同期には同期を保つ引力があり、それを破綻させるには速いペースで振り切らないといけません。同相同期からも逆相同期からも逃れる非同期とは速く走ること。なかなか大変だと思います。
ここにはおそらく、自律性が関連してくるでしょう。また、他律性を嫌うこととは幸せや生きやすさへの条件の一つと僕は考えているのですけれども、他律性を多方面から受け続けるということは、同期ということになるでしょう。
話を戻します。世代間連鎖を破るための非同期を達成するには、自分が親よりも速いスピードで動くとよい、という抽象的な答えが出ました。具体的に考えると、親を超えろ、ということでしょうか。同じジャンルではなく、自分が好きな、進みたいジャンルで、速いスピードで生きていく。コミュニケーション面では寂しくて悲しいことではありますが、同期を破綻させるためには、親に話を合わせず、自分の世代だけでの言葉や考え方を貫く、というのもありそうです。親世代に暴力の匂いを嗅いだら、という前提ではありますし、ここに挙げたいずれもが、僕の仮説であることは断っておきます。
それを踏まえた上で、音楽デュオ・YOASOBIさんによる『祝福』というガンダム作品のオープニング曲の歌詞を引用します。
* * * * * *
誰にも追いつけないスピードで地面蹴り上げ空を舞う
呪い呪われた未来は君がその手で変えていくんだ
* * * * * *
ここ、好きな部分なのですけど、同期し続けてると避けられないようなかりきった暗い未来は、非同期で変えられる、と解釈できるでしょう。
速いペースで生きることは、自分にとっての許容ペース内でないならば、生き急ぐと言われるようなことになりそうです。でも、一度同期を破綻させてしまえば、ずっと速いペースを維持しなくても良いのかもしれないです。
ここからは引用をふたつほど。
__________
いずれの例においても、平均場は個々の成員の動きを支配すると同時に、逆に成員の動きの全体が平均場を作り出しています。それがここで言う個と場の相互フィードバックです。人間社会でも、これに似た状況はいろいろ考えられます。たとえば、個人の考えに影響を及ぼす世論が個人の考えの総和で形成されるのは、その一例と言えるでしょう。個と場の相互フィードバックが強く働くシステムでは、集団全体を巻き込む突然の秩序形成や秩序崩壊がしばしば起こります。(p96-97)
__________
→場というのが個の総体としての影響からできてきますが、その場が次には個に影響を与える。そして場から影響を受けた個がさらに場を作る、という繰り返しでたとえば共同体はできている、ということですね。
続いて、
__________
(略)「個と場の相互フィードバック」という考えかたにあります。実はそこでの「フィードバック」の内容をもう少し丹念に調べますと、それはプラスのフィードバックとマイナスのフィードバックの両方を含んでいることがわかります。再びミレニアムブリッジの揺れに即して述べますと、プラスのフィードバックとは、場が揺れ始めると、そのこと自体がますます揺れを強めるように働く性質のことです。じっさい、場の揺れは個々のメンバーに共通して作用しますから、場が揺れれば、個々人の歩行はもはやばらばらではなく強調したものになるでしょう。ところが、場の運動はこの運動の総体が生み出すものでしたから、この協調運動は場の揺れをますます強めます。これがさらに個と個の協調運動を強める、というように、加速度的に揺れを強めようとする傾向をこのシステムはもっています。これがプラスのフィードバックです。(p99)
__________
→プラスのフィードバックとは、雪だるま式に物事が大きくなっていってついにはどうにもできなくなることもこれにあたります。「悪循環」という言われ方もされるときがあります。この反対に、マイナスのフィードバックがありますが、それを人工的にプラスのフィードバックを打ち消す形で起こせるのかどうかは、よくわかりません。ここまでわかれば、具体的にどうすればよいかの方策まで、あと一歩という気がします。
最後に。情報化社会となり、多様性が進み、変化のスピードはが加速している現代なのですから、中央集権でやっていくにはもう追いつけない時代なのではという気がしてきました。それは本書の最後で解説された「自律分散型」の地方分権のほうが少なくとも処理能力の点では上じゃないのかな、とわかったからです(それとも、行政の体質が今のままでは変わらないでしょうか。どうして行政って、やらないための理由探しにばかり頑張るのだろう。そこだけがやけにクリエイティブですし……)。自律分散型の詳しいところは本書や他の解説書に譲りますが、たとえば電気送電網でスマートグリッドと呼ばれる新しい仕組みはこの自律分散型です。個々がそれぞれを慮るような仕組みで、やっぱり同期を関係しているのでした。
仕事上で自律分散型を考えると次のような事が思い浮かびます。たとえば多人数いる職場で、まだまだ仕事はあるからできうるだけの速さでやれ、と際限なくスピードを要求するようなのってありますよね。彼女はもう7つこなしたのに君はまだ2つ目か、と叱責されて、早くやれとせっつかれる。人数をそれぞれ個の量としてばらばらに考えているケースです。これを多人数をひとつのシンクロした塊として扱うと、速い人は遅い人に合わせてゆるめ、遅い人は速い人に近づくように少し急ぐという同期のスタイルになります。速い人が遅い人を手伝うというのもこれにあたるでしょう。平均したスピードで、平均的仕事量をこなしていける。自律分散型ってこれですね。
というところです。和を以て貴しと為す、の和は同期現象のことかもしれないですね。とすれば、和をもって同ぜず、の和もそうです。この場合は、「しがらむことなく、でも仲良くやる」、ってことでしょうか。個人の好みや趣向では同調しないけれど、ひとつのコンセプトや目的に向かっては協力するという意味ですかねえ。そういえば、坂本龍一さんは2010年代にasync(非同期)をコンセプトに曲を作っていました。そしてその発想源は非同期を提唱した哲学者ジャック・デリダからでした。僕もいずれ、難しそうなデリダを読むときがくるのだろうか。跳ね返される覚悟で、そのときは挑みたいですね。
Posted by ブクログ
以前読んだ同著者・同新書『非線形科学』の続編みたいな科学読み物。
前著はテーマが漠然としすぎて非常に味が薄く印象のない本だったが、こちらはテーマを「同期現象」に絞り、一転楽しい読み物になった。文体も前のとはちがってわかりすくなっており、これは担当編集者がかなり頑張ったのだろう。
ハヤカワ文庫の『Sync.』と同じテーマなのだが、それとはまた別の具体例がたくさん列挙していて、読んでいて面白い。
互いに作用し合う「全体」と「個」との関係性についての部分は、とても共感した。
Posted by ブクログ
何万匹ものホタルが同時に明滅する、吊り橋上を歩く集団の歩調が自然に揃って橋が大きくたわむ……これら驚くべき現象はすべて「同期(シンクロ)現象」によるものだ。
同期現象は単に奇妙な現象というだけではない。心拍や体内時計といった生命維持活動にも関与し、最新のロボット制御システムの鍵を握るなど、実は我々の生命や社会を形作る上で欠かせない物理現象なのだ。しかし従来の科学手法では解くことができず、「非線形科学」の最新研究によって明らかになったのだ。
著者は同期現象を記述する「蔵本モデル」を編み出したこの分野の第一人者。本書は我々の身近に起こる同期現象を数式を使わずに解説しつつ、世界を支配する知られざる法則を解き明かす。
「集英社新書」より
さまざまなところに現れる現象を「同期」を共通項に説明する.一つの分野だけでなくさまざまな分野を駆使し、分かりやすく説明している.
Posted by ブクログ
同じテーマの本『Sync』を以前に読んだが,内容としては重なっているところが大きい.こちらにしかない同期現象の例も多く,特に生体内部での例が興味深い.
Posted by ブクログ
蔵本由紀氏の著作は2冊目です。
本書では、マングローブの木に群れるホタルの明滅等の生物界における「同期現象」だけではなく、振り子時計の同期やローソクの炎の同期、電力の送電ネットワークの同期等、さまざまなジャンルにおいて見られる類似現象をとりあげ、その発生原因等を平易に解説しています。
本書における「同期」や著者の前著における「カオス」のような概念は、異分野を横断的に統合する力を持つもので、その研究の進展はとても楽しみですね。
Posted by ブクログ
立秋が過ぎ、夜は少しだけ気温が下がる日もあるのか、昨晩リ,リ,リ,と虫の音が聞こえていました。
不思議に思うときがあるのですが、小道を歩いて何匹もの虫の音を聞くとき、ずーっと同じリズムで聞こえてきませんか?まるで全員がそろって合唱しているような。実は鳴いているのはオスで、メスを効率よく誘うために、互いの鳴き声を”聞いて”リズムをそろえているのだそうです。
これは生物の世界のお話しですが、様々な現象(物理であれ、化学であれ、人の行動であれ)の中に、個としてはばらつきを持つ振動が、集団のなかにあるとひとつの振動に収れんする現象が”同期”であり、本書の中心となるテーマです。
様々な現象から抽象化された変数間の関係を扱うのは、数理科学の世界ですが、一見異なる世界の中に基本的な法則を見いだせるのは、エンジニアとして大変興味深い内容です。
・橋を渡る人の同期による、橋の揺れの増大
・マングローブの森に、大集団で明滅するホタルの群れ
・二つならんだローソクの炎のゆらぎの連動
・真正粘菌の集団での移動
・個別に脈動する心筋細胞集団の連動
様々な事象が”振動個体間の相互作用と同期”という概念で説明されています。
Posted by ブクログ
隣り合う振り子が同期する現象からはじまり、メトロノーム、ロウソク、コオロギ、カエル、ホタル、橋、電力ネットワーク、心拍など、様々なところに見られる同期現象について。その道の第一人者が数式をほとんど使わずに語る。中央集権的なコントロールではなく、それぞれのユニットの意志で動いて、全体を統率するという非線形科学の考え方は、組織のコントロールにも通じるのだと思う。
Posted by ブクログ
あらゆる場面で表れる同期振動の数理について,数式を使わずに紹介。著者は「蔵本モデル」で知られるこの分野の第一人者。
個々の振動子の動きが互いに引き込まれ,あるいは反発して揃っていく現象が,物理に限らず化学,生命,社会にまで見出だされることは興味深い。
固有振動数の異なる多数のメトロノームの揺れが揃っていく様を映した人気動画があるけど,あれにおおっ!と思った人は一度読んでみる価値あり。
Posted by ブクログ
メトロノーム、ロウソク、コオロギ、カエル、ホタル、橋、電力ネットワーク、心拍…同期している世界は身近に溢れている。
ミクロな状態の線形和で説明出来ないマクロの世界は非常に興味深い。簡単には説明出来ないにしても、様々な同期によって安定性が成立している事実は揺るがない。
もしかして、、もっと大規模、例えば地球科学規模での同期はないだろうろか。または、人間が社会的であるということも他者との同期を求めるメカニズムに立脚しているのではないかなどと妄想を膨らませるキッカケとなる面白い本である。
Posted by ブクログ
非線形に由来する「シンクロ:同期現象」が、自然、生物、人工システムのいたるところに共通的に見られるという例を多数紹介する本。
リズム(位相)という現象(概念?)が、細胞というミクロから、超マクロなシステムまで存在するのは当然。それが同期ということとどう関連するのかについては、こういった新書では数式を使えないから、「個と場のフィードバック」という表現で、うまく伝えようと苦心されている。
数理科学に関心のある高校生にちょうど良いか。
電力系統についての説明は、少し違和感がある。周波数については、実際にはシステムの外から同期のレファレンスを与え、積極的に制御しているという面もあるのだが、ここの記述は、あたかも自律的に同期するという(まったくのハズレではないが)受け取り方がされる書き方になっているようだ。
Posted by ブクログ
「同期」をキーワードとして,いろいろな自然科学分野の非線形現象を紹介した本.著者自身が提案した蔵本モデルの有効性がわかる.例は多く紹介されているが,もう少し原理的な話題も知りたかったところである.
Posted by ブクログ
いろいろな「同期現象」のしくみを覗きこんでみよう。
メトロノーム、パイプオルガン、ホタルの発光。僕らの身体。いろんなところに同期がある。
不正確なミクロなリズムが集まって正確なマクロリズムを生み出す。
ただそういうことがあるよ、というだけではなくて、それを活かした人為的なシステムも作られている。
著者は数理的に同期現象を研究してきた人だが、この本ではそういう話は出てこない。まあ、わかりやすく書いてもらっているのだと思う。けれど、なぜだか随分読むのに時間がかかってしまった。好きだけども苦手分野、なのだろうか。
本のテンションがずっと平坦というか、一定リズムで書かれていて、僕のリズムが同期してしまったかのようだ、なんていうのはちょっと出来過ぎだけど、自身がバラバラのミクロの一つでもあり、また一方でミクロが組み上がってマクロとなったリズムでもある、と考えると、自分勝手に生きているつもりでもシステムの中、ということに思いが至る。
Posted by ブクログ
メトロノームの振り子、ホタルの明滅、橋を歩く群衆の足取り…。バラバラにリズムを刻むミクロレベルの個体が多数集まると、それが何であろうと自然はマクロレベルの大きなリズムに纏め上げてしまう。これらの同期現象がもつ「全体が個別の総和としては理解されない」非線形の不思議さを、生物学、人体生理学やロボット工学等における事例を挙げながら分野横断的に記述してゆく。
著者によれば、このような同期現象が生じるには、自らの活動が他の個体(部分)の活動を沈静化(or賦活化)し、その結果他の個体の活動が自らの活動を賦活化(or沈静化)するというフィードバックシステムが必要。しかもこのシステムが瞬時に働くのではなく、ある程度のタイムラグを要するとのこと。
これってなんだか投資行動にもアプライできそうだ。すなわち各投資家が資本投下する際、以前行った投資や他の投資家の収益率からフィードバックを受けながら投資先や投資量の選択を行うのだが、このフィードバックにタイムラグが生じるがゆえに過度のブルとベアが生じる。そしてこの両極を行き来する形で投資行動にリズムが生まれ、この各投資家のリズムがマクロレベルで同期して相場の「波」を形成する…。違うかな?