金子拓のレビュー一覧

  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    武田・織田・徳川それぞれの合戦に至る経緯が整理され、それを踏まえた当日の経過や以後の影響が詳細に検討されている。旧来の合戦像を更新する内容であると共に、江戸時代における合戦をめぐる歴史観の変遷過程も興味深かった。

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    2024年05月09日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    信長の歴史本で一番気に入りました

    中世の大名として、将軍を支え、朝廷の権威と天下(=機内)の静謐を守ろうとする行動を徹底したが故に、敵対勢力殲滅の繰り返しがほぼ天下統一につながっただけの、守旧的だけど、性格が狷介な武将が信長

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    2017年04月29日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    池上本以降の信長論レビュー二冊目。こちらの方がより信長を「室町レジーム」の保守派と捉える視点が強調されているか。
     ただし、なぜ信長は室町時代のレジームを使いながら将軍を抜きにしようとしたのか。池上論だと「無計画・無分別」という感じに解釈できそうだが、この本はもう少し信長の新規性の萌芽を見ているのかな。
     いずれにせよ、俄然信長論に興味が湧いてきた。

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    2015年01月26日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    実は保守的だった信長。全国統一の為ではなく、室町幕府が担っていた天下静しつ(畿内周辺の平和)を継承して戦っていた。足利氏ではない信長に反感を持つ周辺大名と戦った結果、領土が広がったに過ぎない。朝廷の先例や義務を重んじ、領土経営は他の戦国大名と変わらない。三好に近いか、感覚的にはもっと土臭い感じ。真面目、几帳面、原理原則に厳しく、反面新しいもの好き。革新性はないが、優秀な戦国大名で、天下人たらんとすり等身大の信長が見えてきそう。天皇や朝廷が頼りにしていてそれに応えるが、適当なことをすると天皇にも叱責する。ただ武田滅亡以降はまだ不明な点が多過ぎる。

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    2014年08月30日
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    ☆☆☆2025年9月☆☆☆

    長篠合戦は歴史上もっとも有名な戦いの一つだろう。天才・織田信長が鉄砲という新兵器を駆使して武田軍を破った、戦術の変換というイメージとして語られることが多い。鉄砲隊を三段構えとして、充填に時間がかかる鉄砲の弱点を補ったという話はあまりにも有名だ。
    しかし、これらの伝説は史実なのか?史実ではない伝説なのか?もし伝説だとしたら、どのようにして生まれたのか?

    まずこの戦争の起きた原因から始まり、同時代人の証言を中心に長篠合戦の真実の姿を浮き彫りにしていく。それによれば、鉄砲の使用というよりも「柵」の活用がもっとも強調されていることが分かる。
    同時代に人にとって鉄砲の活用

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    2025年09月08日
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    鉄砲三千丁三段撃ちの浮説は何故生まれたのか。それは家康が天下を取ったから。つまりは歴史とは勝者の歴史だから。同時代の人が書いた資料の中には三段撃ちも、勝頼の騎馬隊突撃なんてのもないらしい。著者は勝頼の敗因は、会戦を挑むはずだったのに、三重に組まれた馬防柵に行く手を阻まれ、まるで城攻めしているかのような力攻めをするしかなかったから、としている。

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    2024年08月23日
  • 鳥居強右衛門

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    長篠の戦いにおける1エピソードによって後世にまで残った伝承に関する詳細な検討を行った一冊。その象徴とも言える旗指物の分析や、伝説の変遷過程を詳述する内容が、歴史研究の醍醐味の一つという趣で面白かった。

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    2024年05月07日
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    長篠合戦について、よく知られている織田・徳川連合軍の鉄砲による一斉射撃への疑問から、さまざまな資料をもとに研究を行った成果である。

    本書はれっきとした研究書であるが、読み物としても面白い。

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    2024年01月04日
  • 信長家臣明智光秀

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    当時の書簡や記録から明智光秀の実像を浮かび上がらせている。小説やドラマからイメージしていた戦国武将の姿がよりリアルになったように感じる。大河ドラマ「麒麟がくる」を観るのが、また楽しみになってきた。

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    2020年03月14日
  • 鳥居強右衛門

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    忠孝の鏡のように言われた鳥居強右衛門が実際のところ何をどうした人だったのか考証する前半。旗指物というメディアを考える中盤。後半は、飛脚が取り立てられ、故事を残すべく旗指物となり、旗指物の鳥居強右衛門伝説が錦絵になり、錦絵が歌舞伎になり幕末から明治に大衆化し水曜どうでしょうにやってくるまで。
    歴史研究の教科書みたいな本。楽しかった。

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    2018年11月01日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    従来の信長のイメージが覆される。信長は朝廷と対立し正親町天皇に譲位を迫る等、朝廷をないがしろにし、将来的には天皇に取って代わろうとしていたのではないかなどの説がこれまで提出されてきたが、実際はそうではないようです。少なくとも四国攻めを計画する以前は朝廷と上手くやっていたようです。この著書に引用されている神田千里氏の著作がちくま新書から最近出たので、そちらも是非読みたい。

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    2014年10月25日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    先に読んだ「本能寺の変431年目の真実」に触発されて、信長の実像に迫る本を連読。変えるべきものは徹底的に変革し、それ以外のことには拘泥しない人物だったのを、改めて確信できました。
    ただし、論考や文章が硬いので、読むのは難渋すると思います。

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    2014年10月07日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    出だしでやられた。
    「織田信長は本当に全国統一をめざしていたのだろうか」
    「信長権力から「統一」の言葉を切り離して考え直す時がきているのではないだろうか」

    天下統一の目前で斃れた織田信長は、日本国を近世へと切り開いたエポックメイキングな歴史上の人物として語られている。最後も一番の近臣であった明智光秀の謀反による本能寺の変ということで、様々な研究から歴史ifまで喧々諤々歴史ファンを楽しませてくれるネタである。

    本書は、武威による全国統一という面ではなく、足利義昭を奉じての上洛から本能寺の変までの15年間を『朝廷』との関わり、『朝廷』側からの視点から今まで述べられてきた朝廷と信長の関係性を再構

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    2014年10月05日
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    多角的な角度から長篠の合戦を見直し、織田信長が大量の鉄砲を使って革新的な戦術を編み出したという従来の見方がどのように作られてきたかを検証。
    当然歴史的事実というものはすべてがクリアになるものではないが、長篠の合戦の真相はおそらくこうだったんだろうという想像はできるようになった。
    結局長篠の合戦のキーポイントになったのは武田勝頼が織田徳川軍の兵力を過小評価したがゆえに長篠城を離れて近づいて行ったこと、酒井忠次に背後の付城群を奇襲させて成功したことにあったのかなと。そこで勝頼が速やかに撤退していれば損失を抑えられただろうが、織田徳川軍に対する過小評価を前提とすればその段階で一か八かの決戦に出てしま

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    2025年11月05日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    信長の独善的なイメージを改める一冊。天下静謐を求め、むしろ院政の古い体制への復活を求める朝廷から求められていたという。独善的で天下統一を求めたという前提での文書の背景を読むのではなく、文書そのものの文言により近い解釈からより保守的な体制を提示する。
    最後四国攻めによりそれまでの姿勢を変えたことが本能寺を導いたという視点も面白い。

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    2025年08月30日
  • 長篠合戦 鉄砲戦の虚像と実像

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    <目次>
    第1章  織田信長の革新的戦術~これまでの長篠合戦
    第2章  両軍激突~大将たちの長篠合戦
    第3章  鉄砲戦の幻影~つくられる長篠合戦
    第4章  彩られるいくさの記憶~ひろまる長篠合戦
    終章   刷新された長篠合戦像

    <内容>
    東大史料編纂所で長篠合戦期の史料を専門にまとめている著者の。長篠合戦の詳細な分析。近年言われているように、長篠合戦での鉄砲の三段撃ちはなかった、とされる。この本はさらに深めて、信長は周到な準備をしてこの闘いに挑んだわけではない。家康たちも信長との同盟が危うくなっていた状況下で、武田軍がただただ決戦をしたわけでもないことを、周到に説明している。また現在の「長篠

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    2024年03月23日
  • 信長家臣明智光秀

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    確かな記録が無いので、玉石混交の残された資料から類推するしか無いからこそロマンがある。
    謎が多い明智光秀なだけに、色々語られてきたが、本作は比較的論理的に説明がされている。
    それでも謎は謎。

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    2023年09月27日
  • 信長家臣明智光秀

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     NHK大河ドラマに便乗して出版される歴史本は、玉石混交というより大半が「石」だが、厳密な史料批判と研究史を踏まえた本書は数少ない「玉」であろう。著者がアカデミズムの正規のルートを経た専門の歴史学研究者であるから、というだけではもはや信用ならない嫌な御時世だが(実際本書の著者と同じ勤務先の別の研究者は、最近すっかり商業メディアに毒されおかしくなっている)、本書は原則一次史料(文書や日記)に即して、不明な点は深追いせず、確実に判明した史実から明智光秀の人物像や歴史的位置を慎重に考察している。光秀は同時代では例外的に病気や怪我を気遣う内容の書状が多いという指摘など興味深い。ただし「本能寺の変」に関

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    2020年08月05日
  • 信長家臣明智光秀

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    明智光秀について史料に基づいて忠実に書かれているという点では評価に値するが、私が求めていたのとは若干異なっていたのでこの評価に。
    でも、明智光秀が織田信長の家臣としてどのような働きをしていたのかはよくわかった。

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    2020年02月19日
  • 織田信長 〈天下人〉の実像

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    信長が天下統一を目指した訳では無く、将軍や天皇といった旧体制を基本に、専制的ではなく穏当な政治手法をもって事に当たってたという説。
    比叡山焼き討ちとか、長島一向一揆の撫で斬り、朝倉征伐や毛利攻め考えると、あまり納得感はない。

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    2018年02月03日