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武田・織田・徳川それぞれの合戦に至る経緯が整理され、それを踏まえた当日の経過や以後の影響が詳細に検討されている。旧来の合戦像を更新する内容であると共に、江戸時代における合戦をめぐる歴史観の変遷過程も興味深かった。
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長篠合戦について、よく知られている織田・徳川連合軍の鉄砲による一斉射撃への疑問から、さまざまな資料をもとに研究を行った成果である。
本書はれっきとした研究書であるが、読み物としても面白い。
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<目次>
第1章 織田信長の革新的戦術~これまでの長篠合戦
第2章 両軍激突~大将たちの長篠合戦
第3章 鉄砲戦の幻影~つくられる長篠合戦
第4章 彩られるいくさの記憶~ひろまる長篠合戦
終章 刷新された長篠合戦像
<内容>
東大史料編纂所で長篠合戦期の史料を専門にまとめている著者の。長篠合戦の詳細な分析。近年言われているように、長篠合戦での鉄砲の三段撃ちはなかった、とされる。この本はさらに深めて、信長は周到な準備をしてこの闘いに挑んだわけではない。家康たちも信長との同盟が危うくなっていた状況下で、武田軍がただただ決戦をしたわけでもないことを、周到に説明している。また現在の「長篠合戦」のイメージ(信長の鉄砲による革新的戦術と旧態依然した武田軍)とは違うことも証明している。またそういうイメージはどのように我々に植え付けられたかも、「長篠合戦図屏風」などを用いて説明してくれる。やや専門性の高い本だが、読みにくいわけではない。