ローラン・ビネのレビュー一覧

  • HHhH プラハ、1942年
    作者は、この作品がデビュー作とのことだが、信じられないクオリティかつ圧倒的な面白さ。
    翻訳も素晴らしい。
    内容は重厚だが、章立てを長短織り混ぜることでリズムを生んでおり、一気に読ませる。
    歴史を「語る」ことを、「僕」の視点から迷いも含め真正面から挑んでいる。
    この逃げない姿勢、逡巡をそのまま吐露でき...続きを読む
  • 文明交錯
    HHhH、言語の7番目の機能の著者ローラン・ビネによる歴史改編小説。インカ帝国がヨーロッパを逆に征服していたらという歴史ifもの。章ごとに記述方法がことなる年代記風の作品で、第1章をアイスランド人によるアメリカ大陸進出を読んだときは不慣れな歴史をベースにしていることもあり、つらいかと思ったけれど、コ...続きを読む
  • 文明交錯
    いわゆる歴史改変小説で、インカ帝国が滅びずにヨーロッパにやってきて、あれよあれよと、というていでお話は進行する。年代記風の文体で書かれていて、まさに見てきた風な内容で、華麗に逆転の歴史が展開するのは見事としか言いようがなく、まぁ荒唐無稽ではあるのだけど、あながちそうとも言い切れない感が醸し出されてい...続きを読む
  • 文明交錯
    インカ帝国は1533年にピサロ率いるスペイン軍によって滅ぼされた。が、もし、インカ帝国軍が海を渡り、逆にスペインを征服していたらどうなるか?が描かれた歴史改変小説。

    僕は世界史が苦手で知識がほとんどない。歴史の知識があればあるほどこの小説を楽しむことができただろうと思うと、残念で仕方ない。

    ジャ...続きを読む
  • HHhH プラハ、1942年
    歴史小説はどこまでが史実なのかいつも悩みながら読んでいたが、この書き方はそのボーダーラインが明確だったので悩まず読めた。
  • 文明交錯
    自分にとってはHHhH以来のローラン・ビネ作品。とても面白い。

    ラテンアメリカに大型の家畜になる哺乳類や鉄を使う文明が伝わっていたらどうなれたか、という高度な知的遊戯のような歴史改変物語。気高いアタワルパの物語はなんとなしに痛快感がある。それは宗教が多くの人の命を奪った歴史を知っているからだと思う...続きを読む
  • 文明交錯
    「HHhH」の著者の新刊と言うことしか知らないまま読んでみた。大帝国インカが寡兵の探検隊に滅ぼされた理由とされる「銃・病原体・鉄」をヨーロッパによる征服以前からインカ帝国が手にしていたらどうなっていたか、ある種の架空戦記モノ。
    インカから漂着してヨーロッパを制圧したアタワルパの物語が中心でおまけみた...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    ローランビネ「言語の七番目の機能」tsogen.co.jp/np/isbn/978448… ロランバルト暗殺、という設定の一応ミステリ仕立てだけど登場人物は全員錚々たる実名でエピソードは虚実ない交ぜ、虚もいかにもありそうなものばかりでめちゃくちゃ面白かった。 作者はHHhHの人。ビネのメタのスタ...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    1980年の物語。その頃俺は高2か?17才。多感な時期なのにフランス大統領選挙なんか全く知らなかった。
    ロランバルトの死から始まる物語。フーコー、デリダ、ラカン、アルチェシェール、ジルドゥールズ、ガタリなどなど綺羅星の如き面々。終いにはウンベルトエーコまで!そのころ全く知らなかった一時代を築いた思想...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    『「あなたたちフランス人はほんとに議論好きだから…」(You French people are so dialectical...)』―『第四部 ヴェネツィア』

    もし記号論に興味があって、ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」や「フーコーの振り子」や「プラハの墓地」は好きだけれど、ダン・ブラウンの「...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    ※私には難しすぎたので再読予定です。

    大学講師のシモン・エルゾグは、哲学者、記号学者の
    ロラン・バルトの交通事故死の解明のため
    警視ジャック・バイヤールに無理やり駆り出される。

    実際に起こった事件を元に実在の人物が
    様々な事件を引き起こしていく。
    学者には疎いのですがかなりめちゃくちゃな
    書かれ...続きを読む
  • HHhH プラハ、1942年
    チェコスロバキア人の青年2人によるナチ高官暗殺を描いた歴史小説
    あらためてナチスとは何だったのか、そして1世紀も経ってないことに気付かされる

    そして史実を小説にする葛藤をそのまま文章にする奇抜さと、物語とその葛藤が融合していくラストは痺れる
  • HHhH プラハ、1942年
    フランス・パリ出身のローラン・ビネのデビュー作であり、2009年に本国で出版、2013年に邦訳が出版された本作、『HHhH』。この謎めいたタイトルが渦めく装丁に興味を惹かれて書店で購入したのだが、その感覚がは大いにあたり、ストーリーテリングの面白さと、極めて技巧的・意識的な仕掛けに溢れた一作。

    ...続きを読む
  • 文明交錯
    エル・グレコとセルバンテスがモンテーニュの館に居候する件のサイコーなことよ。
    太陽神の九十五か条の提題も良かったなあ。
  • HHhH プラハ、1942年
    ユダヤ人問題の最終的解決問題の実質的推進者で、「金髪の野獣」と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒ暗殺計画のエンスラポイド作戦を描いた小説。

    短い区切りの章が次々と繰り返される、ちょっと面白い形式で書かれています。その短い章も著者の現代や、物語の時間が入り乱れていますが、意外に読みにくくありません。書...続きを読む
  • HHhH プラハ、1942年
    Himmlers Hirn heißt Heydrich.
    訳:ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる。
    タイトルは上記の単語の頭文字をとったもの。

    ヒトラーが生み出したナチという思想を、そのまま具現化したかのような金髪の野獣、死刑執行人、ハイドリヒ。

    ユダヤ人大虐殺の首謀者である彼を暗殺すべくイ...続きを読む
  • 文明交錯
    そもそもの世界史の素地が無いのに読み始めている。
    かつて『銃・病原菌・鉄』を読んだときに、何故、インカ帝国がスペインに滅ぼされたのか、納得していたので、この本がフィクションとは分かっていたけれどうっかり集中してしまって、楽しい読書時間となった。

    何しろ、整合不整合も分からないままの読書なので、本気...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    哲学をちょっとかじっただけの私でも知っているような有名人が次々と!
    登場人物がこれだから、読み始めたときはかなり難解に思えて、私はこの本を最後まで読めるのだろうか…と不安になった。
    そんな思いも杞憂に終わり、物語が大きく動く100頁あたりからは、話のスジがわかりやすくなり、頁を繰る手も速くなっていっ...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    「HHhH」の著者の新刊ってところは気になりつつ、バルトだのフーコーだのの名前に怯えて手を出せてなかったのを遅ればせながら。
    2回読んだけどやっぱり記号学だの現代思想だのはさっぱり。これはもちろん著者や訳者のせいではなくてこちらの知識読解力不足なんやけど。
    それはそれとして、バディものの冒険活劇とし...続きを読む
  • 言語の七番目の機能
    読むのに時間がかかった。軽やかにミステリーを楽しむという感じではなかった。出てくる登場人物について、この人どういう人だっけ?みたいなことをいちいち思い出したり調べたり。そんなことしなくても小説の中である程度説明してあるのだけれど。