ローラン・ビネのレビュー一覧

  • 言語の七番目の機能
    評を書くときには、読者がその本を読む気になるかどうかを決める際の利便を考慮し、どんなジャンルの本かをまず初めに伝えるようにしているのだが、本書についてはどう紹介したらいいのか正直なところ悩ましい。シャーロック・ホームズ張りの推理力を発揮する人物が、ワトソン役の警視とともに殺人事件の謎を追うのだから、...続きを読む
  • HHhH プラハ、1942年
    歴史小説の新しいスタイルで評価は高く、文学的意義もありそうだが、単純に私にはちょっと読みづらかった。没入しづらい。でも終盤は集中して一気に読める展開で面白かった。諦めず頑張って読んで良かったな、という感じ。ナチの歴史ものだが知らなかった史実もあり、興味深く勉強にはなった。
  • 文明交錯
     ヨーロッパ(スペイン)人によるアメリカ大陸発見と侵略の歴史を逆転し、インカ人がヨーロッパを征服するという歴史改変小説で、逆転パロディみたいな話。第一部〜第二部は、前日譚でごく短く、本書のほとんどを第三部の「アタワルパ年代記」が占めている。
     おそらく大半はカール五世の事績をアタワルパに置き換えて語...続きを読む
  • 文明交錯
    新大陸から旧大陸の征服は、疫病の力を使えないので、どうしても現実感に欠けてしまう(新大陸人が免疫を持っていたとしても、その点で対等になるだけで、史実のコンキスタドールのような少人数で多数を征服するのは不可能。)。
  • HHhH プラハ、1942年
    ’14年に単行本で購入(検索したら文庫でしか出て来なかった)。構想を練り、物語を構築する過程も物語の内という奇妙な小説。
    初読時、ナチスドイツへのズデーデン地方割譲の経緯経過が、ロシアのクリミア併合と被って見えたことを思いだした。
  • 文明交錯
    まさにJ・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』への挑戦とでもいうような、インカ帝国がヨーロッパ(キリスト教世界)を侵略していく歴史改編小説。ただ、こちらの歴史の方が、宗教に寛容で、民衆に重税を課すこともなく、実際の歴史よりもマシだったのではないかと思わざるを得ない。
  • HHhH――プラハ、1942年
    うーん…何というか、どちらかと言えば私はこの人の書き方に合わない方だったようです。
    作者の自己主張にウンザリして、途中からそのパートを飛ばして読みました。我慢大会でした。
    事件自体が物凄く読み応えのある出来事なので、そちらだけでも十分に面白かったのに。