ローラン・ビネのレビュー一覧

  • 文明交錯

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    ネタバレ

    200人のインカ軍が欧州を征服してゆく展開が面白いが、世界史の授業では触れられないルターの言動が優れた文明が勝ったとわからせる
    『銃・病原菌・鉄』は読んどくべき

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    2024年08月08日
  • HHhH プラハ、1942年

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    チェコスロバキア人の青年2人によるナチ高官暗殺を描いた歴史小説
    あらためてナチスとは何だったのか、そして1世紀も経ってないことに気付かされる

    そして史実を小説にする葛藤をそのまま文章にする奇抜さと、物語とその葛藤が融合していくラストは痺れる

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    2024年03月16日
  • HHhH プラハ、1942年

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    フランス・パリ出身のローラン・ビネのデビュー作であり、2009年に本国で出版、2013年に邦訳が出版された本作、『HHhH』。この謎めいたタイトルが渦めく装丁に興味を惹かれて書店で購入したのだが、その感覚がは大いにあたり、ストーリーテリングの面白さと、極めて技巧的・意識的な仕掛けに溢れた一作。

    タイトルの奇妙な4文字はドイツ語の「Himmlers Hirn heißt Heidrich」という文章に由来しており、”ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる”という意味になる。そのヒムラー、すなわちナチス・ドイツの親衛隊(SS)のトップであったハインリヒ・ヒムラーにその頭脳として仕えたラインハルト・

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    2023年09月09日
  • HHhH プラハ、1942年

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    ユダヤ人問題の最終的解決問題の実質的推進者で、「金髪の野獣」と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒ暗殺計画のエンスラポイド作戦を描いた小説。

    短い区切りの章が次々と繰り返される、ちょっと面白い形式で書かれています。その短い章も著者の現代や、物語の時間が入り乱れていますが、意外に読みにくくありません。書いた著者が上手いんですね。

    暗殺実行者が立てこもった教会で戦う最後のシーン。「なんかこの描写、何かの映像作品で見た気がするな??」と思ったら、この作品を映画化した『ナチス第三の男』を見ていましたw

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    2023年06月29日
  • HHhH プラハ、1942年

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    Himmlers Hirn heißt Heydrich.
    訳:ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる。
    タイトルは上記の単語の頭文字をとったもの。

    ヒトラーが生み出したナチという思想を、そのまま具現化したかのような金髪の野獣、死刑執行人、ハイドリヒ。

    ユダヤ人大虐殺の首謀者である彼を暗殺すべくイギリスから飛んだチェコ人、スロヴァキア人の青年二人を主人公に据えた史実に基づく小説。

    訳者あとがきに言いたいこと全てが書かれている。僕はその上澄みをここに貼り付けることしかできない。

    いわゆる歴史モノ、ナチモノ、ノンフィクションモノである本書だが、他と一線を画するのはその小説スタイルだ。

    脚色

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    2023年06月14日
  • 文明交錯

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    ネタバレ

    そもそもの世界史の素地が無いのに読み始めている。
    かつて『銃・病原菌・鉄』を読んだときに、何故、インカ帝国がスペインに滅ぼされたのか、納得していたので、この本がフィクションとは分かっていたけれどうっかり集中してしまって、楽しい読書時間となった。

    何しろ、整合不整合も分からないままの読書なので、本気で楽しいとは言い難い、恥ずかしいけれど。
    こういった本が世間の方々にもっと認めて頂けたのなら紙の書物、こんなに危機感を感じることはないのかも~
    老婆心ながら、余計なことまで考えてしまったを

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    2023年04月24日
  • 言語の七番目の機能

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    哲学をちょっとかじっただけの私でも知っているような有名人が次々と!
    登場人物がこれだから、読み始めたときはかなり難解に思えて、私はこの本を最後まで読めるのだろうか…と不安になった。
    そんな思いも杞憂に終わり、物語が大きく動く100頁あたりからは、話のスジがわかりやすくなり、頁を繰る手も速くなっていった。

    言語学、言論、アクション、エロ、複雑に絡まってゆく思惑、言語の七番目の機能という謎。
    総頁数500弱と私にとってはなかなかの長編だけれど、刺激的な展開で最後まで飽きずに読み切ることができた。
    爽快感のあるロゴスのやりとりはまさにファイトクラブさながら!
    シモンの活躍ぶりは目を見張るばかりで、

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    2021年03月08日
  • 言語の七番目の機能

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    「HHhH」の著者の新刊ってところは気になりつつ、バルトだのフーコーだのの名前に怯えて手を出せてなかったのを遅ればせながら。
    2回読んだけどやっぱり記号学だの現代思想だのはさっぱり。これはもちろん著者や訳者のせいではなくてこちらの知識読解力不足なんやけど。
    それはそれとして、バディものの冒険活劇としてオモロい。そしてさっぱりの中で「結局現代思想界ではエーコ最強」ってことでええのかな?

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    2020年12月09日
  • 言語の七番目の機能

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    読むのに時間がかかった。軽やかにミステリーを楽しむという感じではなかった。出てくる登場人物について、この人どういう人だっけ?みたいなことをいちいち思い出したり調べたり。そんなことしなくても小説の中である程度説明してあるのだけれど。

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    2020年11月07日
  • 言語の七番目の機能

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    評を書くときには、読者がその本を読む気になるかどうかを決める際の利便を考慮し、どんなジャンルの本かをまず初めに伝えるようにしているのだが、本書についてはどう紹介したらいいのか正直なところ悩ましい。シャーロック・ホームズ張りの推理力を発揮する人物が、ワトソン役の警視とともに殺人事件の謎を追うのだから、謎解きミステリというのがいちばん相応しいのだろうけれど、ミステリとひとくくりにしてしまうと少々具合が悪いことになる。通常のミステリ・ファンが本書を面白がるとは思えないからだ。

    『黒死館殺人事件』から法水麟太郎の超絶的な博学の披露を取り去ってしまったら、並みの推理小説と大して変わらないという評を読ん

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    2020年10月16日
  • 言語の七番目の機能

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    中身の学問的内容はかなり難しい……がわかりやすく派手なシーンも多く、しかし大山鳴動して判明した真相は といった印象
    真相の大小よりはある観点に気づいた主人公が至った領域こそが真に七番目の機能を活用しているのかもしれない

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    2025年07月18日
  • HHhH プラハ、1942年

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    ネタバレ

    ◼️ ローラン・ビネ「HHhH プラハ、1942年」

    タイトルの奇抜さに気が惹かれ、やがて来るその瞬間に向けて集中力が高まっていく。

    書評と受賞歴で評判はなんとなく分かり、読みたいと思っていた。本を読む前に予備知識はあまり入れない。単純に知らない方が楽しめるから。今回も最初の方のページに書いてある紹介文にはほとんど目を通さなかった。ナチもの、という程度の認識だった。

    ナチスの大物幹部、ハイドリヒ・ラインハルト。天才的な実行能力と、狂気とを併せ持ちドイツ第三帝国領内のユダヤ人を絶滅させようともくろみ実行した男。チェコを統括する地位に就いたハイドリヒを暗殺すべく、ロンドンの亡命政府が刺客を放

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    2025年05月28日
  • HHhH プラハ、1942年

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     1942年のプラハで、ナチのゲシュタポ長官であるハイドリヒを暗殺しようとした「類人猿作戦」を描いた小説、を描こうとした「僕」が何を調べて、何を伝えたくて、何をためらい、何を取り上げたり取り上げなかったりしたのかを逡巡していくうちに、歴史の出来事の記述がコントロールしづらくなっていく様を描く小説。原書はフランス語。
     ある事件を描いた、というだけだったら歴史小説として読めばいいのだけど、「僕」が一体何なのかを理解したり慣れたりするのに少し時間がかかる。なんかこれまでに読んだことのない感じの小説で、割と前半は、「僕」の話と何人かの登場人物の整理がつかなかったり当時の政治状況に関する無知のせいで、

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    2025年05月06日
  • 言語の七番目の機能

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    ちょっと難しすぎたな……。
    ところどころ刺さるフレーズはありつつ、全体として悪い夢見てる感じの展開。
    母国語で、かつ近代史に明るかったらもっと楽しめたのかも?

    以下気に入ったフレーズ。

    自分だって子供の頃は人生は美しく、まるで奇跡か魔法のようだと思っていたのに、今では何もかも変わってしまったけれど、その責任が自分にあるわけでもないし、そんなにやりすぎたわけでもないような気がするんだけどな、と歌詞を反芻しながら眠りに落ちた。

    日本料理がいつも食べる人の前で作られるのは(それがこの料理の基本的な特徴だ)、敬っているものの死を人前にさらすことによって神聖化する、おそらくそれが大切なことだからで

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    2025年03月08日
  • HHhH プラハ、1942年

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    その名はラインハルト・ハイドリヒ
    「第三帝国デもっとも危険な男」、親衛隊将軍、国家保安部長官、ユダヤ人虐殺の司令官。

    強制的に併合されたチェコの総督となったハイドリヒ。
    暗殺すべく、チェコ人、スロバキア人のパラシュート部隊員がプラハに送り込まれる。

    ノンフィクションでありながら、フィクション。
    独特の手法で書かれたディティール。
    作者、ローラン・ピネのデビュー作であり代表作。

    タイトルの「HHhH」は「ヒムラーの頭脳はハイドリヒと呼ばれる」の略だ。(ヒムラーは親衛隊のトップ)

    (ちなみに「ヨーロッパでもっとも危険な男」と当時呼ばれたのは、これまた親衛隊のオットー・スコルツェニー大佐。幽

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    2024年06月26日
  • 文明交錯

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    インカ帝国がヨーロッパを征服する歴史改変小説

    歴史の転換点の多くは偶然性に依るのだから、JDの名著「銃・病原菌・鉄」とは真逆の世界線が起こっていてもおかしくはない

    史実とフィクションが入り混じり、妄想か拡がる
    前作「HHhH」といい、文学界の新鋭だなー

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    2024年05月05日
  • HHhH プラハ、1942年

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    歴史小説の新しいスタイルで評価は高く、文学的意義もありそうだが、単純に私にはちょっと読みづらかった。没入しづらい。でも終盤は集中して一気に読める展開で面白かった。諦めず頑張って読んで良かったな、という感じ。ナチの歴史ものだが知らなかった史実もあり、興味深く勉強にはなった。

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    2024年04月11日
  • 文明交錯

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     ヨーロッパ(スペイン)人によるアメリカ大陸発見と侵略の歴史を逆転し、インカ人がヨーロッパを征服するという歴史改変小説で、逆転パロディみたいな話。第一部〜第二部は、前日譚でごく短く、本書のほとんどを第三部の「アタワルパ年代記」が占めている。
     おそらく大半はカール五世の事績をアタワルパに置き換えて語っているのだと思うけれど、この時代のヨーロッパ史に通暁しておらず、なんとも言えない。詳しければもっと楽しめたのかも。「年代記」というように、記述もわりと淡々としていて、あまり心躍る感じでもなかった。強いて言えば、セルバンテスがメインで、エル・グレコやモンテーニュもでてくる第四部が一番面白かったかな。

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    2024年01月20日
  • 文明交錯

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    新大陸から旧大陸の征服は、疫病の力を使えないので、どうしても現実感に欠けてしまう(新大陸人が免疫を持っていたとしても、その点で対等になるだけで、史実のコンキスタドールのような少人数で多数を征服するのは不可能。)。

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    2023年09月14日
  • HHhH プラハ、1942年

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    ’14年に単行本で購入(検索したら文庫でしか出て来なかった)。構想を練り、物語を構築する過程も物語の内という奇妙な小説。
    初読時、ナチスドイツへのズデーデン地方割譲の経緯経過が、ロシアのクリミア併合と被って見えたことを思いだした。

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    2023年09月07日