唐鎌大輔のレビュー一覧
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経常収支は黒字でもキャッシュフローから見た円の実需はマイナス。インバウンドを打ち消して余りあるデジタル赤字も寄与。当面この流れは変わらない。貯蓄から投資への移行で家計までもが円売りに走る可能性が高い。これらが相まって長期的には円安基調が続く。
実に真っ当な結論で、誰も異論は無いように思える。原因を突き詰めれば人口動態だと思う。シュリンクすることが確実な市場に誰が投資しようとするだろうか。その意味でもう手遅れのように思われる。
この事実を踏まえて、今後我々日本人がどのような社会を選択するのかが問われている。外国企業の直接投資を処方箋として挙げていて、それで経済統計は持ち直すだろうが、当の日本国民 -
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ネタバレ通貨高は先進国の悩み、通貨安は途上国の悩み。
為替の説明変数は多数ある。成長率、金利、需給の3つが基本的なところ。
成長率は、コロナの緊縮度で日本が出遅れている。
金利は日本だけ低い。スイスでもマイナス金利を終了。
需給は、対外純資産国だったため、安全資産として円が買われた。しかし、国際収支の悪化=貿易収支の赤字+所得収支の黒字へ転換。
成熟した債権国へ移行している=所得収支は現地で再投資されるため、需給に表れにくい。
対外純資産は日本がドイツに追いつかれつつある。
日銀は総合的には円安にはメリットが多いと考えているが、各論ではマイナスが多い。
過剰なコロナ対策が、円安の遠因。
REER=実 -
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現在円安が進んでいます、私の世代の人間は20世紀末に同様の円安を経験してから円高を経験しているので、いずれ元に戻ることを期待している人もいるかもしれませんが、今回の円安は前回の時と状況が異なっている様です。
この本を書かれた方の本を読むのは初めてでしたが、私が思っていた20年ぶりではなく、50年ぶりの円安が示唆している原因について解説してくれています。もうお亡くなりになった堺屋太一氏の予測小説「平成30年」に予測されていたことが、少し遅れて進行している様です。
円高と低金利、低価格にこの30年間、慣れてしまった日本、これからが正念場の様ですね。
以下は気になったポイントです。
・202 -
Posted by ブクログ
ネタバレEU=ドイツらしさを強いる「監獄」 と「看守」地経学的な反覇権国
横の亀裂:南欧の債務者と債権者が求める財政緊縮
盾の亀裂:東欧との無制限難民受け入れ問題
斜めの亀裂:大国 独仏と豊かな小国(新ハンザ同盟)の意思決定問題
永遠の割安通貨ユーロ
金融政策を決めているのはドイツではなくECB
世界最大の貿易黒字国
NATO軍事費名目GDP2%以上目標にドイツは1.5% 米国依存で対米黒字で
ドイツ中小企業の厚み 地方経済の厚み
「デュアルシステム」による職業訓練制度
危ない友人
ロシア天然ガスに何十億ドル
ノルドストリーム2 迂回するウクライナや東欧へロシアが侵攻しやすくなる
最 -
Posted by ブクログ
ネタバレ貿易収支の赤字化を境に、円高の歴史が終わった。所得収支は蓄積されて円に戻らないから円高要因にならない。
「新時代の赤字」は米金利の低下では消えない。
国際収支の発展段階説では、成熟国は通貨高になるはずだが、新時代の赤字と、所得収支が戻らないことから赤字は消えない。
新時代の赤字とは、サービス収支の赤字のこと。
デジタル赤字、コンサルティングサービス、研究開発の赤字、知的財産権収支は黒字、著作権使用料はデジタル赤字とともに赤字。
保険、年金も積み上がると積立金の運用、再保険料が円安の一端となっている。
アイルランドは、デジタル貿易が大幅黒字=低法人税のため大企業の本社が置かれている。
研究開