唐鎌大輔のレビュー一覧

  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    分析的な議論で、抑制的な論述にとどまっていたものの、円安が進む未来しかみえないことを理解できた。
    現政権の政策は、弥縫策にとどまり、根治を目指したものではないことに憂いを抱きます。

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    2026年05月19日
  • 世界経済の死角

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    エコノミストの河野龍太郎氏と、みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔氏による対談形式の経済書。

    タイトルからは「世界経済の分析本」という印象を受けるが、本書の主題はむしろ「日本社会の構造変化」にある。そして、単なる経済分析を超えて、政治哲学や文明論にまで踏み込んでいく。

    本書で繰り返し論じられるのは、「なぜ日本人は働いても豊かになれなくなったのか」という問題提起。

    著者たちは、単純な「日本人の努力不足」や「生産性の低さ」を原因としていない。日本企業は90年代の金融危機以降も長期雇用を維持しようとし、そのために人件費を変動費化し、非正規雇用への依存を強め、ベースアップを抑制してきたと説明される。「雇用を守る」ことの代償として、働く側が静かにコスト調整弁になっていったという構図。

    また、実質賃金を決める要素として、労働生産性だけでなく「交易条件」が重要だと指摘する。日本では、生産性自体はそれほど悪くないにもかかわらず、円安や輸入物価上昇によって交易条件が悪化し、それが実質賃金を押し下げているという。

    株価やGDPの数字よりも、「普通に働く人々の生活が実際にどうなっているのか」を重視していることが伝わってくる。企業収益が改善しても、それが家計の豊かさに結びついていないという問題意識は一貫している。

    後半では、AIやグローバリゼーション、移民政策の問題にも議論が広がる。

    特に興味深かったのは、「収奪的イノベーション」と「包摂的イノベーション」という概念。蒸気機関が導入された初期には労働者は低賃金で酷使されたが、その後、鉄道網の整備や労働者保護法制の発展によって、技術革新が広く社会を豊かにする「包摂的」なものへ変化していった。著者たちは、AIによる自動化も放置すれば再び「収奪的」な方向に向かう可能性を示唆している。

    ここで重要なのは、「技術進歩そのもの」が人々を幸福にするわけではない、という視点である。どのような制度や分配の仕組みを社会が持つのかによって、イノベーションは包摂的にも収奪的にもなりうる。

    グローバリゼーションそのものに対してもかなり批判的である。

    とりわけ印象的だったのは、「資本移動の自由化によって本当に人々は豊かになったのか」という問題提起だ。著者たちは、国境を越えた資本移動の自由化によって恩恵を受けたのは主として金融関係者やグローバル企業であり、その一方で、各国の中間層は賃金抑制や雇用不安にさらされてきたと指摘する。

    資本が瞬時に世界を移動できる現代では、国家は常に市場から「評価」され続ける。財政悪化や通貨不安が生じれば、資本逃避や通貨安が起こりうる。その結果、民主国家であるにもかかわらず、各国政府は市場の顔色を見ながら政策運営をせざるを得なくなっている。これは、グローバル資本主義が国家主権そのものを変質させている、という見方でもある。

    移民政策に対する反対的立場も、かなり明確である。

    低スキル移民の流入が、教育水準の高くない自国労働者の賃金に下押し圧力を与えている可能性が論じられる。そして、その恩恵を最も受けているのは、高度専門職や企業、高所得層ではないかと指摘される。

    この論点は非常にセンシティブであり、扱いを間違えると単純な排外主義に接続しかねない。しかし著者たちは、移民そのものを敵視しているというより、「グローバル化のコストを誰が負担しているのか」という分配の問題として論じているように思える。

    「本来、古典的な経済学は、労働力や資本が国境を越えて自由に移動しなくても、財やサービスの自由貿易によって十分な利益を得られると考えていた」という指摘である。ところが現代では、資本も労働力も自由に移動しなければ豊かになれない、という“教義”に変わってしまった。この問題提起には、かなり考えさせられた。さらに本書は、「所有権的個人主義」への批判的考察にまで踏み込む。

    近代以降、「自分が生み出した価値は自分のもの」という考え方が強くなったが、それが行き過ぎることで共同体意識や世代間の責任感が失われたのではないか、という問題提起。エドマンド・バークや鷲田清一の議論を参照しながら、「所有」を単なる権利ではなく「受託」として捉え直す可能性も語られる。

    また、「自由」の定義そのものについての議論も展開される。古代において自由とは「欲望に振り回されないこと」を意味していたが、現代では「欲望を最大限追求できること」へと変化した。経済成長や消費拡大を至上命題とする現代資本主義への違和感は、こうした価値観の転換とも関係しているとされる。

    ただし、本書には読んでいてモヤモヤする部分もあった。

    収奪的イノベーションや知識エリート中心社会を批判している河野氏・唐鎌氏自身が、まさに高学歴でグローバル金融の中心におり、いわゆる「勝ち組」に属する層ではないかと思えるからだ。

    彼らの問題提起には強く共感する一方で、本書は、その構造のどこに立って論じているのかという問いも浮かんでくる。教育や金融知識によって一部の人を“上側”に引き上げることはできるかもしれない。しかし、競争社会そのものが続く限り、どこまで行っても取り残される人々は存在し続ける。

    本書は、その問題に明快な答えを与えているわけではない。

    しかし、少なくとも「自己責任」や「努力不足」といった単純な言葉では説明できない構造が存在すること、そしてそれが単なる経済問題ではなく、人間社会の設計思想そのものに関わる問題であることを、非常に鋭く言語化している。

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    2026年05月06日
  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    前著に引き続き、統計を多く用い踏み込んで分析していて、分かりやすく面白かった。次回作にも期待

    ・円安の原因は金利差だけでなく需給の変化
    ・外貨を稼ぐには観光業だけでは限界があり体内直接投資が必要

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    2026年05月02日
  • 世界経済の死角

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    時間がなければ前書きだけで充分な気がする
    何故賃金が上がらなかったのかを詳しく教えてくれる
    業績が悪くなった時
    銀行がお金を出し雇用を守っていたが
    それが終わり企業は業績が悪い時に雇用を守る為に
    内部留保を貯める為に賃金を上げる事をしなかった
    もう賃上げも息切れ感が半端ないし
    我が社はどうなるのだろうか

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    2026年04月10日
  • 世界経済の死角

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    難しい話題を、一般の方々にも分かりやすく、かつ我々金融のプロまで満足させる内容で展開してくれたのは、やはり河野さん唐鎌さんの高い能力のおかげだと思った。

    日々の薄っぺらいニュース解説に踊らされず、きちんと本質を捉えるよう、留意していきたい。

    給料が増えない理由を「生産性」とする向きもあるが、円安で儲かった輸出企業は内部留保を増やすだけで給料は横ばいだった。どうやって所得分配を増やすかの議論の方が大切!

    内部留保を増やすことでコロナを乗り切れた!と成功体験のように語る経営者が多いので、、、その守りのノルムを変える必要がある!

    モンロー主義からドンロー主義
    名目成長率<長期金利で債務発散

    など、足元のマーケットを賑わしているキーワードを、昨年のうちから予見していた河野さんに、脱帽。。

    日本企業は日本国内では採算が取りにくいと判断し、設備投資を控えて海外への投資を積極的に進め、それが円安を加速させ、、、
    国内の生産性はアメリカには劣るが欧州と比べれば検討したのに、、、海外投資に回してしまい、賃上げに使わなかったから、日本国内で採算が取れず、また海外に投資、、、悪循環だった!

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    2026年03月07日
  • 世界経済の死角

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    経済や金融に関して感じていた点が線として繋がっていくような本だった。為替や金利、債券の話は何度も読み返さないと本当の意味で理解はできないだろうが、この本を読むことで、今の政治や国際環境の理解が一層深まると思う。

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    2026年01月26日
  • 「強い円」はどこへ行ったのか

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    2022年3月以降、急速な円安が進んだが、今回の円安は悪い円安と言われており、またなかなか円高に戻りづらいと筆者は考えている。なぜか。
    その背景は2011年頃から急速に進んだ円高と、その際の対外直接投資が進んだことにある。
    2000年代前半までは日本の対外純資産はその大半が証券投資残高、すなわち米国債や米国株などに代表される海外の有価証券であった。
    しかし、2011年頃から対外純資産は直接投資が大きな割合を占めるようになる。直接投資先はM&Aにより取得した海外企業株式等であり、米国債等と比べて、すぐに手放して円に変えるという行動はとりづらい。つまり円を売り外貨を買い、その外貨で海外企業に直接投資をすると、また再び円に戻ることはなかなかしづらくなる。
    こうして円高に戻りづらい構造ができあがっているのである。

    今後、円高にはなかなか戻りづらいことを想定した方がよい。

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    2025年12月28日
  • 世界経済の死角

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    なかなか読みやすくてよい本なのですが、結構厚いので、「日本経済の死角」を読んだ方が良いように思います。唐鎌さんが遠慮しているみたい。

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    2025年12月23日
  • 世界経済の死角

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    どちらかというと、河野さんの本。『日本経済の死角』を対談形式にした感じ。ボリューミーなので大満足だが、ベースは『日本経済の死角』。唐鎌さんか入ることで、為替要素が強化されているところが特徴。

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    2025年11月16日
  • 世界経済の死角

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    P64

    社会保険料負担の増大と非正規雇用の不安定化

    高齢者社会保障費対策(2001年から2006年 小泉内閣)

    子育て支援(2022年 岸田内閣)

    P92

    アメリカの労働生産性の高さ

    コロナ禍でホワイトカラー含めリストラが増加したものの、その後、人手不足もあいまってより高い給与を得られる会社への転職が進んだ(リシャッフル)

    日本はこのような動きがなく雇用が守られてしまった。

    P98

    ヨーロッパ

    ドイツの停滞

    ロシア、ウクライナ戦争

    原発停止

    中国からの輸入品

    EV

    太陽光パネル

    リチウムイオン電池

    2024年、中国での自動車売上No.1 BYD(フォルクスワーゲンを抜いた)

    失業率は低いがリモートワークで労働時間が減っているだけ。企業収益は下がっている。

    P259

    誤字

    終わた

    P263

    日本のインフレ、不動産価格上昇

    イギリスポンド危機との比較(類似)

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    2025年11月01日
  • 世界経済の死角

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    ネタバレ

    直近の経済事情について学べる良本。特に良かった点は以下
    ・中国経済の評価として社会主義で企業統制が厳しい印象だったが、実際には寡占を防ぎ、スタートアップが活躍しやすい基盤を整えている(GAFAMに買収され続けるような状況を防いでる)
    ・アベノミクスによって株価が上がったのだと思っていたが、実際には金融緩和を強引に推し進め、出口戦略もないままだらだらと緩和し続けていることがわかった。結果今の円安につながっている。賃金は上がらず、企業の内部留保で上がった収益が分配されていない現状がある。日本はインフレ税を輸入しており、それにより経済が恰も良くなったかのように見える。物価が上がっても賃金が増えないので生産余剰は上がっているが、消費余剰は下がっていることになる。
    ・日本人の生産性は低くない。むしろ生産性は向上してきている。ヨーロッパと比較しても高い。ではなぜGDPは横ばいなのか。
    ・メインバンク制がなくなった時、企業が資本調達をしようとしたときの流れは以下。
    ・メインバンク制の撤廃
    ・資本獲得手段が必要になった
    ・ゼロベア+非正規雇用を増やすこと
    非正規雇用に高額な社会保障費を請求する仕組みになっていたりと、日本は特に非正規雇用と正規雇用に差がある。


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    2025年11月01日
  • 世界経済の死角

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    日本のトップエコノミストが、世界経済、日本経済、NISA、インフレなどなど様々な問題に多角的に問題に触れられており、大変参考になりました。
    「インフレになると国民から政府にお金が流れる❗️」という所謂インフレ税と言われる仕組みは、知らなかったので大変勉強になりました。

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    2025年10月27日
  • 世界経済の死角

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    金融機関勤務であるも、特段、経済に関する知識があるわけでもない。また投資を少し齧ってはいるものの、財務分析等もしたことない、どこにでもいるど素人投資家。そんな自身が経済に関する本で久しぶりに脳内にアドレナリンが出た。本当に面白い小説を読んでいる時は、文字通り、大事に大事に読んでいた(読み終わるのが惜しいため)経験が何度かあるが、まさか経済に関する、一見、退屈なテーマでこのような感動が味わえるとは…同著者の他作品も読んでみようと思う。

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    2025年10月19日
  • 世界経済の死角

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    単なるファクトの羅列でなく、お二方のポジションが読み取れる対談形式だからこそ、経済・金融・政治等の様々な世界の重要課題について、解像度が底上げされる貴重な良書だった。
    続演「世界経済の死角2」、シリーズ化を期待したい。

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    2025年09月24日
  • 世界経済の死角

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    新書で450ページ強と、かなり読み応えがあるが、内容の充実さは今年一番だと感じた。日ごろ疑問に思っていたことを専門家から分かりやすく詳細に解説されており、濃密な授業を受けたようだった。

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    2025年08月27日
  • 世界経済の死角

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    経済から哲学まで射程が広くて示唆に富む対談だった。

    対談本ながら
    なんども読み返して吟味していきたい一冊

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    2025年08月18日
  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    最近の円安の要因を、データをもとに上手く説明している。構造的に過度な円高にはなりにくくなったことがよく理解できた。為替から見た日本の立ち位置的なことも分かるので、良い本であった。

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    2025年02月02日
  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    なぜ円が弱くなったのか、構造的にわかる名著。

    海外に4年ほど住んでおり、この4年で大きく円安が進み、コロナ前よりも日本が圧倒的に弱くなった、というのを肌で感じてきた。その中で、要因が一体何で、今後どうなるのかを正しく把握したくて読んだ。
    結論、非常にわかりやすく、また日本人として何をすべきか考えさせられるものだった。

    シンプルに要約すると以下。

    日本の円安は国際収支構造に基づく構造的な円安であり、元には戻らないだろう。
    今の日本は、経常収支は黒字だが、蓋を開けると貿易サービス収支が9兆円と大きく赤字、すでに貿易黒字国ではなくなっている。
    黒字の要因は第一次所得収支と言われるもので、投資や配当金などによる不労所得のため、実はキャッシュフローを見ると円売りが大きく、赤字になっている。
    貿易サービス収支の赤字は、コストカットによる海外生産へのシフトと、デジタル赤字と呼ばれるGAFAMのような外資大企業へ支払うプラットフォーム費用などが大きい。このデジタル赤字はプラットフォーム提供者が言い値でコントロールできるため、今後は肥大すると考えられる。

    元々、日本では為替がFRBの金利施策と相関が高く、FRBの金利利下げ円高、利上げが円安につながってきた。ただし、貿易黒字だった時代は、需要のために結局円買いが発生していた。一方最近は、パンデミック後にFRBが大きく金利を上げており、かつ貿易赤字だったため円売りが加速してしまい、円安が進んでしまっている。
    また、第一次所得収支が黒字でも、投資したお金の多くは海外で金融資産(保険など)として再投資されているため、日本に戻ってきていない。つまり、キャッシュフローでいうと円に戻ってきていない状態である。

    このような背景の中で岸田政権が進めていた政策のひとつが、家計部門の「貯蓄から投資」への政策である。しかし投資先が円建てではなく外資建てになると、さらに円安が進むことになる。NISAなどによる外資投資も円安を誘発する一つの要因である。
    とはいえ日本の家計部門は54%が預貯金であり、圧倒的に流動性がない、ここを動かすために将来は円建てに対する優遇策を考えることもひとつあるのではないか。

    こういった中で日本は何ができるのか?
    インバウンド収支はひとつ大きな施策だが、労働集約的な業務でもあり、人手不足のなかでメインにはならない。
    また日本の対内直接投資はグローバルでみても非常に小さく、北朝鮮以下の水準。
    円安はもう戻らないことを考えると、日本国内への外資からの投資誘致が大きなメリットになるのではないか。地政学的にも直近は友好国かどうかといった点が投資判断に大きくなっている。
    また、投資をしてきている国はもはや欧米ではなくアジアが中心となってきている。アジアからの投資を、非製造業に対して行う、というのがひとつのキーポイントとなっている。

    日本の将来をどうしても憂いでしまうような内容だったが、現実を把握しないと課題解決はできない。また、示唆されている対策が本当にベストかは分からない。とはいえとても勉強になった本だった。

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    2025年01月04日
  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    基礎知識がないとなかなかわかりづらいですが、何とか読み切りました。いいことも悪いことも選択するのは国民を意思だと言う事ですね。選挙行かないとまずいですね。日本の今ある倦怠感がなんとなく説明されてるような気がします。

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    2024年12月16日
  • 弱い円の正体 仮面の黒字国・日本

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    現在日本は経常収支黒字国

    「新時代の赤字」=その他サービス収支赤字のこと。その中には「専門・経営コンサルティングサービス」も入っている

    2023年時点でサービス収支全体で2兆9158億円の赤字。これは旅行収支における3兆6313億円からサービス収支の5兆9040億円を引いた数字。
    2030年には約8兆円に拡大するとの試算。2021年の原油輸入実績は約6.8兆円

    少子高齢化などの人口減少傾向にある世界ではイノベーションの停滞が起こりやすい。
    「研究開発サービス」で劣後する国がデジタル関連収支で黒字を積み上げるのは難しい。

    今まで貿易収支があってその次に過去に行った投資の成果としての第一次所得収支の動向が注目されてきた。
    しかし今後はサービス収支の変化幅が非常に大きくなると思われるので、その動きも追うべき

    CFベースでの経常収支でみると第一次所得収支黒字の4割しか(13.9兆円)円買いに繋がっていないという事実が見えてくる。
    2022年に関して言えば貿易サービス収支赤字が21.1兆円のマイナス、また第二次所得収支は約2.5兆円の赤字だったため、CFベースでは(13.9−21.1−2.5)で9.7兆円の大幅な赤字だった疑いが強い

    2019年ごろから日本の対外純資産残高の半分近くは直接投資で構成されている。
    そのため売られたまま戻らぬ円が増え、円安の進行が進みやすい状況

    2022年から2023年にかけて名目GDPは約560兆円から592兆円に増えたが、実質GDPは549兆円かは559兆円へプラス10兆円分の増分になっていて、残り22兆円なインフレによる上乗せであり、成長とは言えない。
    特に個人消費に着目した場合、名目ベースでは11.2兆円伸びているが、このうちインフレによる上乗せは9.4兆円で実質ベースでは+1.9兆円しか増えていない。

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    2024年07月31日