【感想・ネタバレ】アフター・メルケル 「最強」の次にあるもののレビュー

あらすじ

16年にわたる「女帝」の政治が遺したものは、「一強の経済」と「負の遺産」だった。
世界が混迷を深めるなか、新政権率いる“欧州の巨人”はどこに向かうのか?
そして日本は何を学ぶのか?

本書は、日本を代表するマーケット・エコノミストの1人で、長く欧州を見てきた筆者が、メルケル引退をドイツという一国家のみならず、EU史における1つの節目と捉え、過去を総括し、現状を整理した上で、未来を展望するもの。

「欧州の病人」と呼ばれたドイツ。シュレーダー政権は、労働市場に切り込む抜本的な改革により経済の立て直しを進め、次のメルケル政権にしっかりその果実を引き渡した。その後、メルケルは16年にわたりドイツを、そしてEUを代表する政治リーダ―として君臨。この間に、ドイツ経済はEU(ユーロ)という枠組みにも守られながら輝きを取り戻し、メルケルは世界にその存在感を示し続けた。しかし、その裏側では、欧州難民問題に象徴されるEU内での孤立化、米国(トランプ政権)との微妙な軋轢、中国との接近など、その将来を危うくしかねない様々な芽を生み出してきたのも事実だ。

いったいメルケル政権は、次の時代に向けて何を遺したのか? それは果実か、それとも負債か? そしてドイツ経済の復活に、日本は何を学べるのか?
まさにショルツ新政権が発足したこのタイミングで、「メルケルなきドイツ」「メルケルなきEU」を展望し、英国離脱で岐路に立たされているEUにも鋭く切り込む。

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Posted by ブクログ

経済についての知見に乏しい私には非常に難しい本でした。知らない単語を調べながら読んだりしていたのでかなり時間がかかりました。正直半分も理解できたかどうか怪しいですが、自分なりに学びは多かったと思います。
4〜5章が特に難しいです。

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

EU=ドイツらしさを強いる「監獄」 と「看守」地経学的な反覇権国
横の亀裂:南欧の債務者と債権者が求める財政緊縮
盾の亀裂:東欧との無制限難民受け入れ問題
斜めの亀裂:大国 独仏と豊かな小国(新ハンザ同盟)の意思決定問題

永遠の割安通貨ユーロ
 金融政策を決めているのはドイツではなくECB
世界最大の貿易黒字国
 NATO軍事費名目GDP2%以上目標にドイツは1.5% 米国依存で対米黒字で
ドイツ中小企業の厚み 地方経済の厚み
 「デュアルシステム」による職業訓練制度

危ない友人
 ロシア天然ガスに何十億ドル
  ノルドストリーム2 迂回するウクライナや東欧へロシアが侵攻しやすくなる
 最大の貿易相手国 中国 5年連続1位
  自動車の3台に1台が中国向け

ドイツ一強 多数決で負ける
 90年代から2000年前半 欧州の病人からシュレーダー改革 
 ユーロ 単一金融政策 南欧ユーロバブルと崩壊 債務危機 
 ドイツ以外 物価低迷 失業率上昇 格差拡大 
 難民・移民(自国第一主義)からコロナを経て 環境へ
 危機への金融政策により富の集中へ

欧州の病人 1990年 東西統一 東西マルクの等価交換

シュレーダー改革
 1.ハルツ改革による労働力
  失業者の保護→雇用の促進へ 保険削減・雇用形態多様化(高齢者・女性
 2.欧州債務危機で得た債権者  低金利で過剰な消費投資意欲 南欧に拡大
 3.永遠の割安通貨 ドイツ製品は割安でよく売れる

NGEU コロナ復興資金  独仏共同提案
 補助金5000億ユーロ+融資2500億ユーロ NGEU債権
 倹約4か国 Frugal Four オランダ、オーストリア、スウェーデン、デンマーク

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2022年03月19日

Posted by ブクログ

メルケル政権を支えた「追い風」
①シュレーダー改革で生まれた労働力
規制緩和による働き方改革による、労働コストの低下

②欧州債務危機で得た債権者としての地位
③欧州危機で強化された「永遠の割安通貨」

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2024年08月18日

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