千野帽子のレビュー一覧
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「共感」について考える中で派生的テーマとして「物語」について関心を持っているときに見かけて購入した本。
ストーリーとしての「物語」が持つ構造的な類型や構造がストーリー受容の仕方にどのように影響し得るか、という辺りを考えたかったのだが、結論としてはその辺りの考えはあまり深められなかった。
物語の構造論としては
(平衡状態→)非常事態→あらたな平衡状態
というごくベーシックなものについての解説がなされているぐらい。
後半は、「物語」が私たちの認知スタイルに大きな影響を持っていることや、それがときにマイナスの影響を持ってしまうことに話の中心が移っていく。移っていく、というか元々著者はそうし -
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『物語は人生を救うのか』思ってたよりめちゃ面白かった。プリマー新書だしタイトルからしてライトな自己啓発系かと思ってたけど、意外にしっかりした物語論が展開されてて発見が多かったし取り上げられた本ぜんぶ読んでみたい。自己啓発でもあるけれど学術的入門書としてもとても良い本だった。
ものごとの前後関係はイコール因果関係ではない、「努力したから報われた」というストーリーでは報われなかった人は努力しなかったのかという話になるが決してそういうわけでもない、けれどこの文脈に囚われて自分の首が絞まる人もいる。ストーリーとはある特定の視点から見た物事の一側面でしかない。
この人の前作も読んでみようかな。 -
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ネタバレ久しぶりの新書。
もしかしたら養老孟司さんの『バカの壁』以来か。
一体何年前だよっヾ(--;)
『人はなぜ物語を求めるのか』
新聞の書評欄で紹介されていてこのタイトルが気になり、書店を数件巡ったが置いておらずネット書店で購入。
最近、「なんか世の中って‘物語’だらけじゃないか」と思い、息苦しさを感じていたのでジャストタイミングだった。
自分の頭の中まで‘物語’だらけだもの。
本書を読んで思い返したのは軽い認知症の祖母のこと。
「あれをしてくれないから私のことなどどうとも思ってない」と言ったり、不都合や不具合があると自分勝手に家族を責めたりする。
私の不幸=家族のせい
という強固な‘物語’ -
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ネタバレ印象的な箇所のまとめ
・世界にたいする何故とその回答が物語の物語らしさを生む。
・人は生きる意味を求める。生きている原因より意味(目的)を知りたがる。
・人生に期待すると失望する。期待しなければ希望がもてる
・人生に期待するのでなく誰かの人生の期待に責任を持ってこたえる自覚を持つ。
・物語の前後の因果関係は運命だと言える。物語とは運命を認識する方法。
・自分達が現実たと思っていることの多くは、自分達が無自覚なまま構成させられてしまった物語である。
・無根拠で不適切な一般論から脱する。
・べき論、コントロール願望を捨てる。
・感情行為直結説(こう感じているからこう行動する)から行為選択可能説( -
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ストーリーは人間の認知に組み込まれたひとつのフォーマット(認知形式)
状態と出来事=地と図
筋に逆らってまで隣接連合によって叙述の密度を高めるものを「リアリズム」的な要素と考える(ロマン・ヤコブソン)
世界に対する「なぜ」という問と、それへの回答(原因や理由)とが、ストーリーのストーリーらしい滑らかさを生むのです
因果関係が明示されると、なぜ物語としてなめらかな感じがするのか?それは、できごとが「わかる」気がするからです。どうやら僕たちは、できごとの因果関係を「わかりたい」らしいのです
わけがわかると、ストーリーが滑らかに感じられ、「わかった」という感情が芽生える
人間は時間の中で -
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「将来の夢は?」とか「弊社に入ったら何を(達成)したいですか」とか、そう聞かれて「特にありません」と答えると、つまらない・取るに足りない人だと思われる。その人が物語を持っているかどうかで判断されることは少なくない。それも、聞いた側が納得できる物語を持っているかどうか。
物語をそのまま生きていけるならいいけど、それができないと生きるのはとても苦しくなる。この本が登場するのはここ、その苦しさが現れた時。自分が苦しんでいるのは誰の、何のせいなのか。それは自分が作った物語のせいかも知れないよ、という視点をもたらしてくれる。
もしも、自分を苦しめているこの物語は自分が作ったのではない、周りが要求するもの -
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ネタバレ個人的には読みにくく、内容もタイトルで期待したほどではなかったけど、第4章で書かれていた内容についてはSNS社会の中で思うところが日常的にあり共感した。
人はそれぞれに違う人生のストーリーを持って生きており、それが歪んでしまっている人もいる。他人に自分のストーリーを押し付けたり、攻撃したり。
社会の中で生きて行くことは大変だし、人間関係も面倒なことは多い。自分にとってうまいことばかりではない世の中だけれど、自分の選択だけは、自分で下すことができる。
自分はどうありたいか、どんなストーリーを描いていきたいか。考え直すきっかけにもなった。 -
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ネタバレ男性キャラに焦点を当てた短編集、というところでしょうか?
前半は、ほぼ間違いなく小説、って感じですが、後半に行くにつれて、徐々にエッセイみたいなのが増えていくような印象でした。ま、エッセイ、ではなく、エッセイ風小説、なんだろうなあ、おそらく、とか思いつつ読んでおりました。
感想としては、うーむ。獅子文六さんの作品は、どっちかゆうたら、短編より長編のほうが好きかなあ?と思ったイメージが強いですね。楽しかった、のですが、色んな長編を読んだ時の感動ほどは、あまりグッと来なかったなあ、というイメージでしょうか。
ただ、この短編集のタイトルにもなっている「ロボッチイヌ」は、バリ秀逸だな!って思いま