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Posted by ブクログ
ストーリー化は人間の認知形式として組み込まれているものの一つで、それに固執して苦しんだりしないでストーリーを手放す自由もあるよというお話でした。
2017年発行の本であり、内容は現在の社会的状況を踏まえて書かれた本ではなくて普遍的な話なので、基本的に全編通して知識欲を満たすために楽しく読めます。
『「わかる」というのは知性の問題じゃなくて、「わかる」という“感情“である』という論が、個人的にとても腑に落ちました。
人は「わからない」という不愉快さから逃れたくて「わかる」という納得感や安心感を求めてしまう。そうして「話の正しさや妥当性」よりも「話をわかりたい気持ち」が優先されて、自分にとって手軽に理解できるストーリーに縋ってしまいがちという…。最近読んだ『陰謀論と排外主義』に通ずる話であるなと感じました。
人にこういった側面があるから、(物語には良い作用もあるのに、)物語を悪用したい人にとってはとても有効な手段になり得てしまうんだなと納得しました。
話の信憑性や妥当性より「話の分かりやすさ」「説明·理由がある」ことを求めてしまうという点に限らず、今の社会や自分にも当てはまる考え方が本書の随所にあり、肝に銘じておきたい部分が多かったです。折に触れて読み返したい良書。
また、自分は新書初心者ですが、内容や文章が易しいもので読み進めやすかったです。物語化をする人間の思考について気になっている方にはオススメな一冊です。
(個人的に、ニーチェの言葉がアンパンマンマーチを彷彿させるという話も気に入っており、それで初めて「なんか哲学ってちょっと面白そうかも…?」って気持ちになれたので、知的好奇心を擽られるという意味でも読んで良かったなと思いました。)
Posted by ブクログ
人間が物語、ストーリーの枠組みで世界を解釈しがちである、ということ自体はわかっていたつもりであったが、具体的にどのように、ということについて解像度が上がった気がする。
特に、公正世界の誤謬(中村文則作品で結構出てくる気がする)というフレームワークはまさにそうだな、と。自分が良いことをすれば、良いこととして自分に返ってくるはずである、悪いことをすれば悪いこととして返ってくる。そういう基本的な因果認識。
それがあるから逆に、悪いことが起こった時に、「自分が何か悪いことをしたのが原因なのだ」というストーリーの捏造をしてしまい、自分を苦しめる。
また逆に、一生懸命努力した自分には良い未来がくるはず、という物語予測に合わない現実に苦しむ。
そういうストーリー認識のフレームワークに気付き、手を離すことの価値を教えてくれる本。
また、夜と霧の「自分が人生に何を期待するかではなく、人生が(生きることが)自分に何を期待しているかである」という視点の転換が、ストーリー理解という視点で見ると味わいがまた出てきて興味深い。
誰しもストーリーから完全に自由になることはできないけれど、そんな自分をまずは認識するところから、なのだなあ。
Posted by ブクログ
近頃の僕が漠然と考えていた疑問に答えてくれる内容で、付箋貼りまくりでした。
なかなか簡単にまとめられないのですが、人間には出来事を「物語」として把握する能力があり、独立した前後の出来事を因果関係で結びつけてしまうと。
むしろ「物語」として把握するために個人的な出来事にも理由や意味を求める(「なぜ」このような悲劇的な出来事が「私」の身に起きたのか)。
嘘でもいいから説明が欲しい(因果応報)。
そして何らかの決着をつけて新しい平衡状態に辿り着きたい。
現実世界の理解もフィクションも物語化の構造は同じ。
著者が引用、言及する分野が幅広くて、その圧倒的な読書量に感銘を受けました。
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