千野帽子のレビュー一覧

  • ロボッチイヌ ──獅子文六短篇集 モダンボーイ篇

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    文筆家・千野帽子氏が編者の短編集。表題作は眉を顰める向きもあるかも知れないけど、ナンセンスコメディとして面白い。現代の日本だとあながちジョークになってないかも(オリエント工業とか←小声)。ブラックユーモアや諷刺作品、或いは病床エッセイかと思って読み進めると怪しい展開に向かう「文六神曲編」、過去の作品の作中人物が電話をかけてくるメタフィクション風な「南の男」とか意外なバラエティー性は感じるけれど、「文庫で復刊されている文六作品はウィットと諷刺に富んだコメディ調が主流ですが、ちょっとテイストの違う作品をご賞味ください」って感じの、編者の気取った意図が何となしに透けて見えるのがマイナス。

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    2018年11月14日
  • 人はなぜ物語を求めるのか

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    人が生きていることや、何かが起こることに原因はあっても、必ずしも意味や目的があるとは限らない。人はそこに意味や目的があると思いたい。この行為が物語化なのだ。
    「前後即因果の誤謬」
    「わかる」と思う気持ちは感情以外のなにものでもない。「わかった気になる」と「わかる」のあいだには本質的な線引きができない。
    「出来事が君の欲するように起ることを望まぬがいい、むしろ出来事が起るように起ることを欲し給え、そうすれば君はゆとりを持つことになるだろう」ギリシア ストア派哲学者エピクテトス「提要」『人生談義』下巻、岩波文庫
    物語、ストーリー、世界解釈。

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    2018年04月15日
  • 人はなぜ物語を求めるのか

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    物語消費の話を想定していたが、そうではなくて人間の認知の話が主軸。認知、認識する上での因果関係の推定、それによるいわゆる「物語」の構築、依拠が発生するというような論旨。ソフトな文体で読みやすくありつつ、種々の文献を引いて印象論に終わっていないのが好感だが、認知という側面では物足りなさも感じるので、認知科学あたりの本を並行で読んでみると理解が深くなりそう。本書で引かれていた『生ける屍の結末』は読んでみたい。

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    2018年02月17日
  • 人はなぜ物語を求めるのか

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    物語つながりで続けてこの本を手にしましたが、物語を通じてものごとを伝える不思議さや難しさを語る内容。何となくはわかった気がしますが、それ自体が物語の陥穽に落ちている感があります。

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    2018年02月11日
  • 人はなぜ物語を求めるのか

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    私達が生きる意味や理由づけ。

    なぜ生きるのか。どうしたら良く生きられるのか。タイトル『人はなぜ物語を求めるのか』から単純に得られる答えだけでなく、「物語る動物」である人間、私がどうして生きるうえで、色々と思考や感情が動くことを説明している。因果関係を作ってみたり、すっきりする決着を求めたり、目的や意味に振り回されたり、考えてみれば思い当たることばかり。物語に振り回されるのでなく、良く生きるために物語ろう。

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    2017年09月21日
  • 人はなぜ物語を求めるのか

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    136頁「人はできごとの理由を自分の知っているパターンに無理やり落としこみたい」と思っているというくだりで、なんだか自分が信じられなくなってきました。だれかと会話をしていてもその中身はFAQになっているのではないかしらんと思うと。これでは、あまり新しいアイディアも解決策も生み出されないような気がしてきました。

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    2017年05月02日