永井孝志のレビュー一覧
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仕事で基準値をよく使っていたので読んでみた。
ド文系なので計算式とか全然頭入ってこないこともあったけど、どういう考えで作られるかがよくわかった。
天才たちがすんごい緻密にやってるかと思いきや、
ざっくり100掛け(でもそれなりに考えられた10×10)
みたいなこともしてることにも驚いた。
定量的に評価できるものって、
(基準値つくるのには大変な苦労もあるだろうけど)
基準値と比較できて判断が楽になるけど
問題は未知の分野だよなあって
(こんなアホそうな感想しかもてなくて反省)
一オリンピックの性別判断とトライアスロン水質のところが
特におもしろく読んだ
数値的に問題ないけど嫌なんよって -
Posted by ブクログ
基準値がどのようにして決まったのか、基準値による線引きの意味するところはなんなのかについて、様々な事例を使って説明がなされ興味深い内容でした。定番の放射線、原子力発電所、新型コロナの基準値に加え、男と女の基準値、トライアスロンの水質の基準値、コオロギ食の基準値など、なじみのない分野もあり、それぞれ丁寧に解説されているので面白く読んだ。そして、11章の「AIと個人情報の基準値」は、特に興味を持った内容であった。新しい技術、未知のリスクにどう向き合うか、参考になる。開発者あるいは利用者が、みずから線引きをすることによって、リスクがないところを示し、前に進んでいくというアプローチが示されている。
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Posted by ブクログ
安全のために設けられた基準値。科学的なようでいて実は根拠があいまいなものや複数の基準が混在しているものもある。普段耳にしつつもあまり気にしない基準値設定の謎に迫る一冊。
お酒は二十歳になってから、優先席付近では携帯電話の電源をお切りください、消費期限と賞味期限など実は身近な基準値。安全はどのように数値化されたのか、そもそも安全とは何か。ゼロリスクと許容できるリスクなど。
10万人に1人がガンにかかって、死ぬレベル
10年連続で年末ジャンボ宝くじを買い続け一等が1回出る確率
実はこの二つは同じ程度だという。
数字のマジック、人間の心理、認知についても分かりやすい例が多く示されている。
正 -
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放射能汚染物質やPM2.5等タイムリーな話題をからめつつ、各種基準値の設定の背景等を説明。結構マニアックではあるが、自分は「やむをえない点は多いが、結構アバウトなところ多いな」という感想を持つ。驚くのは多くの規制値、規格が海外の臨床結果なり、実験結果なりのそのままパクリであること。あきらかに基準として使用不能なものにもそのまま流用していることがあるのには驚く。検証には10年単位の地道なデータ集めと分析が必要なのは確かだろうが、それこそ国税を持ってしっかり実施してほしい、と読後思った。環境関連ばかりではなく、JISなども多くはIEC、ASME等のまるごとコピーというのが結構ある点からも、日本は
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知らなかったことやウンチクがたくさん書かれていて、面白かった。
少し長いまえがきP14
『この世界に存在する多種多様なリスクについて、それを「許容できるか否か」を突きつめていけば、最後には「私たちはどのような世界に生きたいのか?」という問いにたどりつく。』
まえがきを読んでいた時には、「どのように生きたいのか?」とは大きくでるんだなーと、漠然と思ったのだけど、最後まで読んでみて、この文の解像度があがった、というか、筆者がこう表現した意図がより伝わってきたように感じる。
第11章AIと個人情報の基準値
『リスクアセスメントの最初のステップは「守りたいもの」の検討である』(P349)
基準 -
Posted by ブクログ
リスク管理の3つの原則
・ゼロリスクに基づく基準値:その物質が一定量までは健康を害さない閾値がある場合
・受け入れられるリスクに基づく方法:生涯の発がん確率が10万人に1人以下などと定める方法。大気環境基準、水道水質基準などで用いられている。
・費用との兼ね合いで決める方法
食品中の一般生菌数が1gあたり1000万~1億個に達すると、味や見た目から腐敗が認められる。弁当や総菜は、加熱食品では1g当たりの上限値が10万個だが、非加熱食品では100万個まで認められている。保存できる期間に安全係数を掛けて消費期限や賞味期限が決められる。安全係数は0.7としている場合が多いが、農水省は2008年に食 -
Posted by ブクログ
私たちの身の回りにはいろいろな基準値があります。食品の消費期限や、大気汚染の基準、そして放射性物質による被爆基準など。でもこれらの基準が守られていても「本当に安全なの?」と疑問に思うことはよくありますよね。福島第一原発事故の後、枝野官房長官(当時)が「ただちに健康に影響はありません」とよく言ってましたが、「じゃあ長期的にはどうやねん」と疑問に思った方も多いのでは。
本書は様々な基準値がどのような根拠で決定され(非科学的な決め方が多くて驚きます)、それを私たちがいかに受け止めるべきかの指針を与えてくれます。「基準というのは 考えるという行為を遠ざけてしまう道具である」という本書にある言葉どおり、