無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
基準値と呼ばれると、学者など賢い方々が様々な科学的根拠をもとに設定した値で守った方がよい値なのだろう、と思ってました。
ましてや、そもそも基準値が適切なものなのか?と疑問すら抱いたことがなかったです。
本書では、基準値がどのように定められているか具体例を示しながら、専門知識がなくとも何となくわかるように解説してくれています。
すると、苦難のすえ何とか絞り出した値で設定されていたり、安全面に偏って設定されていたり、と裏事情が様々あります。
確かに基準値を定め妥当性を説明する立場になったと考えると、説明根拠に頼りたいものが出てくることは想像できますので、美しくはないけど致し方ないというものがあるのだろうと感じました。
考えさせられた内容として、
リスクとは提示された物差しを踏まえて、各々が受け入れられるものなのか?と考えることが大切。基準値があるから、何も考えずに一喜一憂するのは必ずしも正しくない
と感じました。これは基準以外でも、様々なことで共通することで重要なことだと思います。世界をただ傍観せず、一歩踏み出して視野を広くするためのヒントになると思います。
最後に著書で紹介されていた言葉です。
Standards are devices to keep the lazy mind from thinking
基準というものは、考えるという行為を遠ざけてしまう格好の道具である
米国の疫学者であり、衛生工学者のウィリアム・セジウィック氏が述べたもの
Posted by ブクログ
安全のために設けられた基準値。科学的なようでいて実は根拠があいまいなものや複数の基準が混在しているものもある。普段耳にしつつもあまり気にしない基準値設定の謎に迫る一冊。
お酒は二十歳になってから、優先席付近では携帯電話の電源をお切りください、消費期限と賞味期限など実は身近な基準値。安全はどのように数値化されたのか、そもそも安全とは何か。ゼロリスクと許容できるリスクなど。
10万人に1人がガンにかかって、死ぬレベル
10年連続で年末ジャンボ宝くじを買い続け一等が1回出る確率
実はこの二つは同じ程度だという。
数字のマジック、人間の心理、認知についても分かりやすい例が多く示されている。
正に「科学をあなたのポケットに」のキャッチフレーズに相応しい良著。
Posted by ブクログ
放射能汚染物質やPM2.5等タイムリーな話題をからめつつ、各種基準値の設定の背景等を説明。結構マニアックではあるが、自分は「やむをえない点は多いが、結構アバウトなところ多いな」という感想を持つ。驚くのは多くの規制値、規格が海外の臨床結果なり、実験結果なりのそのままパクリであること。あきらかに基準として使用不能なものにもそのまま流用していることがあるのには驚く。検証には10年単位の地道なデータ集めと分析が必要なのは確かだろうが、それこそ国税を持ってしっかり実施してほしい、と読後思った。環境関連ばかりではなく、JISなども多くはIEC、ASME等のまるごとコピーというのが結構ある点からも、日本は標準、規格設定が得意ではない国なのかも。
しかし、色々勉強になった。根拠を求めてあまりにマニアックな追求をする必要はないと思うが、視点が大きく変わる場合があることを今回知ったので、今後、ある指針が出たときに、その根拠を問うてみたいところ。
Posted by ブクログ
リスク管理の3つの原則
・ゼロリスクに基づく基準値:その物質が一定量までは健康を害さない閾値がある場合
・受け入れられるリスクに基づく方法:生涯の発がん確率が10万人に1人以下などと定める方法。大気環境基準、水道水質基準などで用いられている。
・費用との兼ね合いで決める方法
食品中の一般生菌数が1gあたり1000万~1億個に達すると、味や見た目から腐敗が認められる。弁当や総菜は、加熱食品では1g当たりの上限値が10万個だが、非加熱食品では100万個まで認められている。保存できる期間に安全係数を掛けて消費期限や賞味期限が決められる。安全係数は0.7としている場合が多いが、農水省は2008年に食品ロスを削減する観点から、0.8以上を設定することを勧告した。日本では、賞味期限までの期間を製造業者、販売業者、消費者が3分の1ずつ分け合うという商慣習があり、これが廃棄される食品を増やす原因にもなっている。
アメリカでは、食品中の発がん性物質がどの程度までなら安全とみなすかについて何度も裁判が繰り返されるうちに、生涯でがんが生じる割合として受け入れられるレベルは、1万人に1人から100万人に1人の範囲に落ち着いた。がんの原因の3分の1は、普通の食品に天然に含まれている物質。
1993年に施行された水道水質基準値では、閾値がない発がん性物質については、WHOの飲料水質ガイドラインにならって、生涯発がん確率が10万人に1人のレベルで設定された。閾値があるホルムアルデヒド等では、動物実験で毒性影響がみられなかった量(NOAEL)に種差、人間の個人差それぞれに10倍ずつ合計100倍の不確実性係数を用いて、基準値が設定される。
化学物質の基準値には、環境基準型の基準値と残留農薬型の基準値の2種類があった。残留農薬型の基準値は、農薬のラベルに記された使用基準を守って使用していれば超えない範囲でできる限り低く設定される。この基準値を超えた場合、農家が農薬を適正に使用していないことを意味するが、健康リスクが発生することを意味するものではなかった。2003年の食品安全基本法制定時に、農業規範としての基準値が安全かどうかの基準値として統一されてしまった。
日本の大気汚染対策の対象は、SO2、NO2、PMと変遷した。1980年代までに、疾病の発症は工場排煙に起因するSO2を原因とすることが認められていた。1995年の西淀川公害訴訟判決によって、NO2と道路沿線住民の健康被害との因果関係認められたが、2000年の尼崎公害訴訟判決で否定され、ディーゼル排気微粒子などのPMによる健康被害が認められた。
生態系保全の視点からの化学物質の規制は、2002年のOECDによる勧告を受けて水質目標が導入された。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。