ユーザーレビュー 基準値のからくり 安全はこうして数字になった 村上道夫 / 永井孝志 / 小野恭子 / 岸本充生 安全のために設けられた基準値。科学的なようでいて実は根拠があいまいなものや複数の基準が混在しているものもある。普段耳にしつつもあまり気にしない基準値設定の謎に迫る一冊。 お酒は二十歳になってから、優先席付近では携帯電話の電源をお切りください、消費期限と賞味期限など実は身近な基準値。安全はどのように...続きを読む数値化されたのか、そもそも安全とは何か。ゼロリスクと許容できるリスクなど。 10万人に1人がガンにかかって、死ぬレベル 10年連続で年末ジャンボ宝くじを買い続け一等が1回出る確率 実はこの二つは同じ程度だという。 数字のマジック、人間の心理、認知についても分かりやすい例が多く示されている。 正に「科学をあなたのポケットに」のキャッチフレーズに相応しい良著。 Posted by ブクログ 基準値のからくり 安全はこうして数字になった 村上道夫 / 永井孝志 / 小野恭子 / 岸本充生 基準値は同じ分野でもいろんな基準がある 基準値の根拠が科学的な安全性とは限らない 基準値の根拠は主に安全性か受け入れられるリスクかコスト面から決められる 基準値の根拠はなし崩し的に適当に決めている場合が存在する 基準値を越えた越えないだけで一喜一憂するのは危険 基準値を絶対視すると思考停止に陥る危...続きを読む険があるというのは確かにそうだと思った 基準値の用途やその根拠まで気に掛けるよう注意していきたい といっても面倒なんだよな・・・ Posted by ブクログ 基準値のからくり 安全はこうして数字になった 村上道夫 / 永井孝志 / 小野恭子 / 岸本充生 「基準値マニア」の著者が語る、基準値にまつわるあれやこれや。本書では、日本では飲酒できる年齢が20歳なのはなぜ?健康に害を及ぼす化学物質の基準値の決め方とは?…様々なトピックを科学的な知見と基準値の制定に関する経緯などに展開しながら説明していく。この手の本は、読んでみると同じことに繰り返しが多く、途...続きを読む中で飽きてしまうことが多かったが、本書に限っては一度読み出すと止まらない!文系・理系にかかわらず、特に大学1年生には読んで欲しい本。おすすめです。 Posted by ブクログ 基準値のからくり 安全はこうして数字になった 村上道夫 / 永井孝志 / 小野恭子 / 岸本充生 放射能汚染物質やPM2.5等タイムリーな話題をからめつつ、各種基準値の設定の背景等を説明。結構マニアックではあるが、自分は「やむをえない点は多いが、結構アバウトなところ多いな」という感想を持つ。驚くのは多くの規制値、規格が海外の臨床結果なり、実験結果なりのそのままパクリであること。あきらかに基準と...続きを読むして使用不能なものにもそのまま流用していることがあるのには驚く。検証には10年単位の地道なデータ集めと分析が必要なのは確かだろうが、それこそ国税を持ってしっかり実施してほしい、と読後思った。環境関連ばかりではなく、JISなども多くはIEC、ASME等のまるごとコピーというのが結構ある点からも、日本は標準、規格設定が得意ではない国なのかも。 しかし、色々勉強になった。根拠を求めてあまりにマニアックな追求をする必要はないと思うが、視点が大きく変わる場合があることを今回知ったので、今後、ある指針が出たときに、その根拠を問うてみたいところ。 Posted by ブクログ 基準値のからくり 安全はこうして数字になった 村上道夫 / 永井孝志 / 小野恭子 / 岸本充生 リスク管理の3つの原則 ・ゼロリスクに基づく基準値:その物質が一定量までは健康を害さない閾値がある場合 ・受け入れられるリスクに基づく方法:生涯の発がん確率が10万人に1人以下などと定める方法。大気環境基準、水道水質基準などで用いられている。 ・費用との兼ね合いで決める方法 食品中の一般生菌数が1...続きを読むgあたり1000万~1億個に達すると、味や見た目から腐敗が認められる。弁当や総菜は、加熱食品では1g当たりの上限値が10万個だが、非加熱食品では100万個まで認められている。保存できる期間に安全係数を掛けて消費期限や賞味期限が決められる。安全係数は0.7としている場合が多いが、農水省は2008年に食品ロスを削減する観点から、0.8以上を設定することを勧告した。日本では、賞味期限までの期間を製造業者、販売業者、消費者が3分の1ずつ分け合うという商慣習があり、これが廃棄される食品を増やす原因にもなっている。 アメリカでは、食品中の発がん性物質がどの程度までなら安全とみなすかについて何度も裁判が繰り返されるうちに、生涯でがんが生じる割合として受け入れられるレベルは、1万人に1人から100万人に1人の範囲に落ち着いた。がんの原因の3分の1は、普通の食品に天然に含まれている物質。 1993年に施行された水道水質基準値では、閾値がない発がん性物質については、WHOの飲料水質ガイドラインにならって、生涯発がん確率が10万人に1人のレベルで設定された。閾値があるホルムアルデヒド等では、動物実験で毒性影響がみられなかった量(NOAEL)に種差、人間の個人差それぞれに10倍ずつ合計100倍の不確実性係数を用いて、基準値が設定される。 化学物質の基準値には、環境基準型の基準値と残留農薬型の基準値の2種類があった。残留農薬型の基準値は、農薬のラベルに記された使用基準を守って使用していれば超えない範囲でできる限り低く設定される。この基準値を超えた場合、農家が農薬を適正に使用していないことを意味するが、健康リスクが発生することを意味するものではなかった。2003年の食品安全基本法制定時に、農業規範としての基準値が安全かどうかの基準値として統一されてしまった。 日本の大気汚染対策の対象は、SO2、NO2、PMと変遷した。1980年代までに、疾病の発症は工場排煙に起因するSO2を原因とすることが認められていた。1995年の西淀川公害訴訟判決によって、NO2と道路沿線住民の健康被害との因果関係認められたが、2000年の尼崎公害訴訟判決で否定され、ディーゼル排気微粒子などのPMによる健康被害が認められた。 生態系保全の視点からの化学物質の規制は、2002年のOECDによる勧告を受けて水質目標が導入された。 Posted by ブクログ 村上道夫のレビューをもっと見る