狐塚冬里のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
廃棄パンの告白
一部ご紹介します。
・「俺は昔、人が羨むほど出来のいいストロベリージャムパンだった。
肌の白さ、つや、ふくらみ、もちもち感、きめの細かさ・・・・・・
どれをとっても俺にかなう奴はいなかった。もちろん一番に買い手がついたよ。
俺は最高の瞬間を迎えて、天寿を全うするはずだったんだ」
「ところがだ。あのくそったれ店主が!うっかり並べ直す時に落としやがったんだ!!」
「・・・・・・そいつのせいで、俺は床をスライディングする羽目になった。
俺は傷物になり・・・・・・俺が並べられるのを今か今かと待っていた客は俺ではなく、
俺の次にうまそうな奴を買っていった。俺は・・・・・・廃棄を宣告された・・・・・・」
「わかっているよ。どんなに出来が良くても泥にまみれたパンは売り物にならない。
俺たちはそういう存在だ。だけど、俺は諦めきれなかった」
「あんなささいなことでどうして全てを否定されなきゃならない!?
あんなたった一回の事故で・・・・・・どうして俺は存在意義さえ失わなければならない!?」
「俺たちはパンだ。俺たちは食われるために生まれたんだ」
「俺は必ず食われてやる・・・・・・!そう誓った俺は廃棄回収車が来るたびに、暴れまくった」
「廃棄回収車に乗ることは免れた。だが、俺を食べたいという人は現れなかった・・・・・・。
それでも俺は待った。いつか必ず、俺を食べたいと言ってくれる人が現れるって」
「待って、待って、待って・・・・・・気が付けばこんな姿になっていた」
「カビが生え、干からび、異臭を放つ。自分でも寒気がする。
わかっていたよ。もう誰も迎えになんか来ないってことくらい・・・・・・わかっていた」
「俺・・・・・・明日の廃棄回収車に乗るわ」
「ま、ここらが潮時だろ」
「そうやって俺の代わりに泣いてくれたからさ、なんかもういいかって」
「きっかけを待っていたのかもな。諦めるきっかけを」
「ま、結果的にアリスに会えたわけだし。俺の悪あがきも少しは無駄じゃなかった、よな?」 -
Posted by ブクログ
ゲームありきの小説だ。
だからかもしれないけれど、元々のストーリーを極端にいじくりまわしていないのはよかった。
でも、ゲームにあった独特の世界観というか、「歪んだ国のアリス」の世界に埋没していくような感覚は持てなかった。
ゲームシナリオに忠実に小説化するとこうなるのか…と。
浅いところで物語が進んでいくような、物足りなさのような思いを抱いた。
きっとゲームだと、プレイしながらいろいろな想像をしているからだと思う。
何気ないシーンも強烈に覚えていたり。
妙に忘れられないセリフがあったり。
そこまでは求めちゃいけないのかもしれない。
ゲームをやったことのない人はどんなふうに感じるのだろう。
「歪んだアリス」の世界を堪能できるのだろうか…。
何となくだけれど、難しいような気がした。 -
Posted by ブクログ
シンルートをただ書籍化したのではなく彼目線になっているところがポイントですね。
あのときこんなことを考えていたんだなぁ~と考えさせられました。
あのAMNESIAの世界観や雰囲気が小説でもしっかり持続していて
セリフなども忠実に再現されているのでまさにシン目線でリプレイしている感覚!
細かい動作まで忠実なのでプレイ後に読むと再確認にもなって楽しいです。
ちょっとした仕草にシンの優しさを感じたり、
ゲーム中に萌え転がったシーンをシン目線でもう一度楽しめたりと大満足でした!
これは是非他のキャラも読んでみたいな~!
ちなみに表紙はゲーム同様花邑まいさんが描かれていますが
数箇所あった挿絵のほうは別の方が担当されているのでちょっと顔は違う印象でした。
それならモノクロでもいいからそのシーンのスチルが挿入されているほうが
よりリプレイ感を楽しめたのかもしれませんが好みの問題ですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ知らぬまに、あらゆるものが逆さになっている鏡凪町。それは、地蔵の首だったり看板だったりと一貫性はない。少しずつではあるが、鏡凪町は変化し続けている。その昔、御神体の鏡が割れてしまったその日から……。
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昨日読み終えたシリーズ「世にも奇妙なストーリー」の第二弾。今回は前回の百壁町から舞台を移し、海辺にたたずむ鏡凪町。この町には鏡をご神体として祀っている神社がいくつか存在していた。その神社には邪なものをうつし浄化する鏡や、良くないものを跳ね返す力のある鏡などがあり、大切に保管されていた。しかし、ある日、友人の病を治そうとその鏡の一枚が持ち出され、謎の力で破損してしまったその日から、この町では物が気づかぬうちに逆さになったり、変なはやり病や妙なことが起こり始めた。それは想像を絶するような恐怖体験ばかり。今回は全体的に恐怖度が上がっていたような気がする。人間が怖い話もあったし、色々な怖い話が詰まっていた。 お気に入りの話は「集合写真」「ドアの向こう側から」「ボーリング場」「サカサのサカサ」。「集合写真」は母親の中学生の頃に顔がそっくりだといわれ続けており、本当にそっくりなのか確かめることに。かつて語り手と同じ中学校に通っていた母親はアルバムを見せてくれないので、仕方なく図書室で過去のアルバムを閲覧する語り手。該当するであろう学年の集合写真を調べていると、背景となっている校舎の窓に奇妙な影を発見する。この学校の生徒がどうやら映り込んでしまったらしい。横顔なのでどんな人物か分からないが、気にも留めず次のページをめくると映り込んだ人物がこちらに笑いかけているように感じた。予想外の展開に、驚く語り手。たまらず次のページをめくると、そこには映り込んだ人物はいない。やはり映り込みなのだと、安心してページを元に戻すと、そこには……。 写真と現実が共鳴するホラー。写真に写る少女と思しき影が語り手に迫る。この幽霊は人間的な実体を持たないようで、『足が横を向いたときに消えた』、という描写は最高。写真に写るそのままが来たという事なのか!と一人で感動した。隠れたはいいものの、うっかり見つかってしまった語り手。失神の後這う這うの体で帰宅するも、そこにもアルバムが……。 なんでこの幽霊はこんなにもこの語り手に執心するのか不思議だったが、理由はすでに話されていた。過去にこの幽霊と母親の間に取り交わしがあったのは構わないのだが、勘違いで巻き込まれた方の身にもなってほしい。「ドアの向こう側から」はなかなか恐ろしい展開だった。この町にある噂に否定的な態度をとる語り手。サカサの世界の住人。つまりあの世の人間なんかいないと否定したところ、玄関のドアの方からノックの音が。時刻は午前二時、草木も眠る丑三つ時。そんな時にノックをしてくる物なんて、人間だったにせよそうじゃないにせよ、ロクなものじゃない。異様な雰囲気に自室に逃げ帰る語り手であったが、翌日から更にエスカレートし、恐ろしい目にあうことになってしまう。 最後の展開もさることながら、そこに至るまでの話も結構怖い。サカサの世界の住人を否定してしまった事により引き起こされた悲劇。であるのだが、幽霊否定派はかなりこの世にいるのに、ピンポイントで攻撃されるっていうのはひどい。この町でその手の発言をすることがNGなのかしら……。それにしても、得体のしれないものがノックしてくる怪奇現象というのはなぜこんなにも恐ろしいのか。しかも、勇気を振り絞って立ち向かったのに、火に油を注ぐ結果となってしまった。でも、あのまま大人しくしていても同じことになっていたのかしら……。ラストは語り手の変わり果てた姿を発見した人間からどうなったかが知れたが、凄まじい最期だった。「ボーリング場」は心を抉られるようなホラー。語り手のクラスメイトが失くしたと思っていた算数のノートをどこからか拾ってくる。何処にあったのかと聞くと、廃業したボーリング場の前に落ちていたらしい。なんでそんな所に落ちていたのかと訝しみつつ、ノートを開くと、中には語り手宛ての手紙がつづられていた。読んでみると、どうやら語り手の友人からのものらしい。しかし、覚えがない。手紙を読み進めていくと、廃業したボーリング場で手紙の差出人が体験した、異様という言葉ですら生易しすぎる恐怖体験が克明につづられていた。この話は異様の一言に尽きる。脳で理解しようとしても理解が及ばない。何故そんなことが起こるのか全く分からない。人間の理解の範疇を超えている。非常に悪意のある超常現象だった。たまたまそこに行ってしまった人間がこの怪異の毒牙にかかるのだろう。しかし、その怪異の本質がまったく見えない。何のためにそんなことをしているのか、因果関係は何なのか。そこにある物体たちはいったい何なのか。何一つとして明かされないからこそ、恐怖度が増す話だった。「サカサのサカサ」は苗字に鏡の字が入る男子だけが得られる特権。誰もが一度は憧れる異世界の冒険。それは、この町にあるサカサの祟りを利用した遊びだ。町の表札がひっくり返る時、神社の鳥居が異世界の扉となる。鳥居をくぐった先は、自分たちが住む町と左右が逆さになった不思議な世界。その先には特に化け物がいるわけではなく、地形も含め左右が逆さになる。時間内に出れば特に危険があるわけでもなく冒険にはもってこいだ。ある日、いつもの通り冒険に出かけると、いつもより制限時間が過ぎるのが早い。一緒に冒険に入ったうちの一人が突っ走っていってしまい、呼び掛けてもなかなか帰ってこない。一同は焦っていたが、寸でのところで帰ってきた。安心したのも束の間、最後に帰ってきた友人のキーホルダーが入った時とは左右逆さについていた……。この話は、最後に絶望した。途中不穏な空気のシーンはあったのだが、最後が絶望的過ぎて嫌だった。途中別グループとの摩擦は感じていたが、まさかそんなことをするとは。しかも相手はあんまり重大なことをしたという意識がないようだ。相手は単になんでもない悪戯だと思ってやっているので明るい雰囲気だが、仕掛けられたほうは今も恐ろしい目にあっている。その対比がより絶望を掻き立てた。最後絶望のまま終わっていったが、悪戯を仕掛けた相手が真実を知った時どう思うのだろう。一生悔やむだろうなぁ。今回の感想には取り上げなかったが、海辺が近いからか海洋生物系のクリーチャーが多く出てきた。深海でじっとしている生き物のように、ぬらぬらとしてテロテロとして気持ち悪い感じのクリーチャーが多い。 -
Posted by ブクログ
気が付けば誰もいない教室で出会った変な人。
逃れるため廊下に出れば、どこまでも続くもの、に
変化していた。
場所がどうのという前に、突如として出てきたのが
怪しすぎる人。
逃げたいのはよく分かります。
しかも進んだ先にいたのは普通(?)かも知れませんが
抱いていたものが…ですし。
ホラーゲームのノベライズだそうですが、知らなくても
普通に怖い状態で読めます。
何だかこう…ヒシヒシと迫ってくるような怖さが。
不思議の国の、を当然ベースにしているのでしょうが
大きくなるのと小さくなるための薬(?)が…。
これを予備知識なく、あっても食べろと言われても。
何か他に方法ないですか? と探しまくってから
最後の手段として残しておきたいです。
わけの分からない世界で、頼れるものは
最初に遭遇したフードの人のみ。
いやでもその人信じていいのか、という疑問は
この怪しい世界でブレーキにもならない状態。
一体何が起こって、どうしたら帰れるのか。
思い出していくものは、今までの妙な世界と違って
完全なる現実なのが、更なるリアルを呼び込みます。
しかし最後まで読んで、ものとしては解決してますが
解決していないところも多々。
何故養子縁組を申し込まれたのか、とか
結局どこに消えてしまったのか、とか。
その辺りは、ゲームの中の他の分岐点で
語られているのでしょうか?