沢村浩輔のレビュー一覧

  • 夜の床屋

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    久しぶりの再読。
    ミステリーの醍醐味は一見関係ないように見える物事が実は意外なところで繋がっていたり、ありえないようなことがサラリと行われていたり、それが後に分かって驚くと同時に腑に落ちる快感が味わえることだと個人的には思っている。
    ただこの『ありえない』または意外性というものと、『そんなバカな』『それはやり過ぎだろう』というボーダーラインを越えないように表現するかというのは、これはもう作家さんの腕によると思う。
    この作品も扱いによってはこのやりすぎ感、荒唐無稽な感じを『ありえないけれど納得出来る』というところに収めることが出来たのではないかと思うのだけど、読み終えるとやっぱり荒唐無稽な感じの印象が強く残ってしまった。
    特にこれまでの色んな事件を繋げるところも強引な印象だったし、ちょっと残念な感じ。
    ただ様々な事件に出会う人間は同じでも、謎解きをするのは毎回違う人間というのは面白い趣向だなと思った。

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    2018年06月13日
  • 砂漠を走る船の道 ミステリーズ!新人賞受賞作品集

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    ネタバレ

    ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    ・漂流巌流島 高井忍
    ・殺三狼(しゃさんろう) 秋梨惟喬
    ・田舎の刑事の趣味とお仕事 滝田務雄
    ・夜の床屋 沢村浩輔
    ・砂漠を走る船の道 梓崎優

    印象に残ったのは、「砂漠を走る」。一番しょうもないと思ったのは「田舎の」。新人さんだもんね。どれもぐいぐいその世界に入るということはできなかった。

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    2018年04月02日
  • 夜の床屋

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    ほっこりするかと思えばギクッとして、
    奇妙だと思えばほっこりして、
    いろいろな短編が味わえる…と思ってたら、
    小説内小説でいきなり外国が舞台になって?
    と思ってたら、すべてがいきなり繋がって!!?
    素晴らしい構成力に脱帽でした。

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    2018年02月16日
  • 週末探偵

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    お気楽な2人の探偵コンビかと思ったら、終盤、意外とハードな展開にびっくり。
    私としては、前半の雰囲気の方が好みかな。
    2人のコンビがすごくいい感じで、彼らの掛け合いが楽しい。
    お気楽な事件限定でシリーズが続いたら嬉しいな。

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    2017年02月24日
  • 週末探偵

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    ネタバレ

    【収録作品】最初の事件/桜水の謎/月と帽子とひったくり/探偵たちの雪遊び/夏の蟬/ちょっと変わった依頼人/週末探偵事務所へ、ようこそ!  
     ささやかな日常の謎、のはずが・・・・という第二話と第六話は犯人が相当危ない人で、探偵事務所のコンセプトとややちぐはぐ。第二話の真相も第六話の「ゲーム」も作り話感が否めない。第四話は他人が関われるのはこのくらいか、という常識的な範囲に収まっていて爽快感は小さいが腑に落ちる。

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    2016年12月06日
  • 夜の床屋

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    ネタバレ

    総合評価
     沢村浩輔のデビュー作を含む連作短編集。大学生の佐倉と高瀬が探偵役となる5編(「葡萄荘のミラージュ」は前後編)と、作中作『眠り姫』を売る男、そしてエピローグから成る。
     各短編は独立した日常の謎・小事件として読めるが、エピローグで全作品に共通する「人魚」という真相が明かされ、それまで何気なく描かれていた出来事や伏線が一本につながる構成になっている。
     個々の短編は「謎は魅力的だが真相は平凡」という印象が強い。一方で、人魚の存在へ収束する連作構成には意外性があり、作品全体の雰囲気もよい。ただ、伏線の回収は「見事」というより、やや後付け・こじつけに感じる部分もあった。
     世界観は好きだが、本格ミステリとしてはもう一歩。総合では★3。
    夜の床屋
     シリーズの表題作。晩秋の山中で道に迷った佐倉と高瀬は、無人駅で一夜を明かそうとする。すると閉まっていた床屋が夜11時頃から営業を始める。主人は「昼間は閉店しているが、予約した常連だけ夜に散髪している」と説明する。
     翌日になって冷静に思い返すと、その説明と店内の様子に矛盾があることに気付き、新聞記者に話した結果、床屋の主人と店員は誘拐犯だったことが判明する。
     「なぜ夜だけ営業する床屋なのか」という導入の謎は非常に魅力的。ただ、真相自体は比較的平凡。一方、店員の女性の強い香水が、終盤の連作全体につながる重要な伏線になっている。
    空飛ぶ絨毯
     佐倉は、イタリアへ留学する友人・八木美紀から二か月前の出来事を聞く。
     自宅に泥棒が入り、絨毯だけ盗まれたという奇妙な事件だった。さらに、美紀は小学生時代、霧の濃い夜に海辺で出会った少年の思い出を語る。
     真相は、その少年が成長してストーカーとなり、美紀宅へ侵入していたというもの。友人の後藤がその事実に気付き、事故の末ストーカーを死なせたと思い込み、血痕の付いた絨毯だけ持ち去った。ところが最後に、そのストーカーは生きていたことが判明する。
     このストーカーや「霧の夜に海から何かが上がってくる」という噂が、終盤の人魚の伏線になっている。
    ドッペルゲンガーを捜しにいこう
     佐倉は、小学生たちからドッペルゲンガー探しに誘われ、街外れの廃工場へ向かう。
     ドッペルゲンガーは本当に存在するのか、それとも子供たちのいたずらなのか。
     真相は、小学生の一人が、離れて暮らす父親に会いたい一心で騒ぎを起こしていたというもの。
     ミステリとしては小品だが、廃工場という場所が後の人魚の設定につながる伏線になっている。
    葡萄荘のミラージュⅠ・Ⅱ
     初代当主の遺言により、外観・内装・調度品まで一切変えられない洋館「葡萄荘」を巡る物語。佐倉と高瀬は友人に誘われ宝探しに向かうが、友人は既にヨーロッパへ旅立っていた。
     二人は宝探しに成功し、「ミラージュ」という香水を発見する。友人は香水のレシピを求めてヨーロッパへ渡ったのではないかと推理する。
     その後、友人から「パーカー博士に『眠り姫はなぜ目覚めたのか』と聞いてほしい」と頼まれ、博士を訪ねる。
     博士は、写真に写る女性こそ本当の宝だと語り、『眠り姫』を売る男を読むよう勧める。
     連作全体の核心へつながる橋渡しとなる重要な一編
    『眠り姫』を売る男
     スコットランドの監獄を舞台にした作中作。元美術商クィンは共同経営者殺害の容疑を装い、殺し屋から逃れるため自ら監獄へ入る。
     そこで密室同然の殺人事件が起こり、被害者は「女がいた」と言い残す。
     女など出入りできない監獄で、どうやって殺人が行われたのか。
     真相は、女の正体は人魚であり、霧に紛れて現れたという幻想的なものだった。
     クィンは眠っている人魚を売買する美術商だったことも明かされる。
     SF・幻想小説色が強く、本格ミステリとして読むと好みは分かれる。
    エピローグ
     ここで連作全体の真相が明かされる。この世界には人魚が実在していた。
     人魚は人間社会で暮らすため、消臭剤を香水「ミラージュ」として販売していた。
     ローランド(=囚人ダン)は人魚と協力していたが、反対派の人魚に海へ沈められる。彼が遺した財産とは、「眠り姫」として眠る人魚だった。
     パーカー博士は、男の人魚が絶えた以上、眠り続ける理由はなくなったと推理する。
     ここから佐倉は、パーカー博士=人魚の肉を食べて不老となったパットではないか。
     八木美紀を待ち続けた男も人魚の肉を食べたのではないか。
     廃工場は人魚由来の成分を扱っていたのではないか。
     夜の床屋の店員の香水はミラージュだったのではないか。
    と、それまでの短編を一つずつ結び付けていく。
     最後は、佐倉がその仮説を確かめるため、「ミラージュ」の香りを嗅ごうとしたところで物語は幕を閉じる。

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    2022年09月18日