沢村浩輔のレビュー一覧
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ネタバレ海洋冒険小説と推理小説の要素を合わせたエンタメ小説。
海賊が主人公となるわけだが、多島斗志之さんの海賊モア船長シリーズのように、海賊が商船を襲ったりというようなシーンはほとんどない。
ただ、キャラクター、雰囲気、そしてロマンという点では申し分ない。
そして推理小説要素の方はどうかというと、帯やタイトルからは"本格"という雰囲気が漂っているが、本格推理ではない。
連続殺人の犯人はアッサリと特定され、主となるのは「謀略」。
誘拐され、幻影島の宝を処分することがバロウズの計略だった、というのはとても驚いた。
また、首を持ち帰るためにジーナの酒甕を盗んだというのもしっかり納得 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれは、途中で大化けする物語。
冒険小説ではないですが、期待以上にわくわくさせて貰いました。連作短編小説ということもあり、さらっと軽く読めそうと手に取った一冊です。
男子学生が二人旅の途中で山道に迷いちょっと不思議な体験をした話から始まり、どこかほのぼのとした空気が続きます。
ミステリーというよりは現実にほど近いファンタジーでしょうか。
実は、最初は油断して…これはもう良いかな…と思ってしまったり。
それでもどうにかページめくりを止めずに中盤に差し掛かると、「これ何の本読んでたっけ?」と急に面白くなってきます。
気づけば、目覚めた人魚?体臭?逃げる美術商の男?と物語の中から新たな物語へと連 -
Posted by ブクログ
何と言えばよいのでしょう。3時間、私を没頭させて、異世界へ連れて行ってくれました。後味も悪くないです。
もともとミステリーは一種のファンタジーだと思っている口です。読者が大喜びするようなトリックとか謎って、非現実的な気がするからです。その点、この短編集は、ファンタジーに寄せることで、違和感を少なくしているというか・・・
この主人公が経験する数々の不思議な小事件は、今ひとつ掘り下げ方が足りない感があるのですが、主人公自身の情報も、ほとんど無くて、語り手について読者は大学生で、海辺の街から大学に通うために東京に出てきて、下宿していることくらいしかわかりません。それは、ミステリーにはよくあるのか