斎藤成也のレビュー一覧
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ニュースでは、日本の科学技術の衰退が取り沙汰されているが、このように素晴らしく、面白い研究者の方々がいらっしゃるんだ、と感動すらしてしまった。中高生にもわかりやすい、多分習ってる範囲の知識で理解できるように書かれているのでぜひ読んでもらいたいなと思った。
この本は、文部科学省の資金で5年間行われた新学術領域研究「ヤポネシアゲノム」をまとめたものである。こんな研究がされていたのを私は知らなかった!ニュースとかでやっていたのかな?もっと世に知られてもいいのでは?(単に私の知らないだけ?)
研究は淡々と地道に努力を積み重ねるイメージがあったが、他の分野の人との関わりやつながりも大事なんだと思った -
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ネタバレ第3章「アズキはどこで生まれたのか」だけ読んだ。日経サイエンス2024/2「アズキ 日本から大陸に渡った作物」記事での物足りなさからこちらの記事へ移動した。
栽培種アズキと野生種ヤブツルアズキ(アズキと比べて黒くて小さい)との遺伝子配列、特に実が赤色になる遺伝子を特定して比較し、栽培種アズキと類似の遺伝子配列を持つ野生種を見つけたと。それが長崎県の野生種。とはいえ鳥が運んでしまうこともあるので、西日本のどこかでこの野生種の先祖が居て、それが栽培種アズキへと分岐したと考えられる。つまり栽培種アズキは日本産との結論。なお他にも「栽培種アズキの起源が日本列島である強い証拠」を発見していて、いずれ論文 -
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「中立進化論」という考え方に初めて触れたかもしれない。目から鱗がバラバラ落ちた一冊。
上論は即ち、「突然変異が進化に寄与すると考えられています。突然変異はなんの脈絡もなく起こるため、進化に有利なものもあれば不利なものもあります。」(p19)「たまたま運よく生き残って受け継がれた結果」(p20)という論旨であります。
私の中学高校時分より’人類が直立二足歩行をなし得たのは何故か?それは〜’ともっともらしい説を聞いては’そうだな、そうだ’と一生懸命覚えてきたものですが、森を出て草原で暮らし始めたら二足歩行が有利、ってよく考えたら確かに果たして本当にそうなんだろうか?…と、懐疑主義的視点から教科 -
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・一回通読。ベストセラー「人類の起源」の篠田謙一さんと双璧をなす日本人起源の研究者、斎藤成也さんが、研究グループの近年の研究成果を紹介するかたちで、日本人の源流について語る。核ゲノム解析による研究のイメージが素人にも伝わるように書かれてるなと感じたのだけれど、分かりやすさの評判はあまり良くない。自分が一応理系研究者だったからとっつきやすかったのか
・縄文人の古代ゲノム解析、現代人の広範なゲノム解析から、二重構造モデルやアイヌ琉球同系説を支持する結果を導き出し、更に内なる二重構造、三段階渡来モデルの可能性を示唆。本分野の最新の研究動向を知ることが出来て満足な一方で、アップデートの速さとアプローチ -
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人類が優れているから生き残った訳ではない。環境に適応できたから生き残った。果たしてそれは本当なのか?
実は「そうでもない」というのが、著者の新説。これは本当に面白い。
著者の論は非常にシンプル。
結局、人類が今生き残っているのは「単なる偶然」という説なのだ。
面白いのは、「進化」という考え方がそもそも無くて、あくまでも「変化」しているだけ。
進んでいる訳ではない。ただその場所で「変わって」いるだけ。
そして、変わっていく中でも、たまたま生き残れているだけ、という説明なのだ。
これはこれで、一定の説得力がある。
そもそも遺伝子の複製とは、ある一定の割合で「突然変異」が普通に起こるものなのである。 -
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日本人の祖先はどこから来た集団なのか。島国である日本には、必然的に何らかの形で海を渡って彼らはやってきたはずだ。従来は日本人の祖先集団は、縄文時代、弥生時代といった遺跡から出土された土器から区別され、それぞれに呼びならわされてきた。最新の遺伝子解析技術が利用可能となった現在、過去の日本人に関して遺伝子解析を通して詳しい分析がなされている。本書は、その結果と今後にまだ残されている課題について解説したのものである。
本書は、700万年前にアフリカ大陸で原人が生まれて以降、人類が世界へ拡がっていった過程をまずは論じている。おそらくは20万~30万年前に旧人から新人の祖先が誕生し、そして7~8万年前 -
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ずばり日本人の起源とは何か。周辺各地域の人々とのDNA解析比較を通じてほぼ確立しつつある学説はざっくりいうと以下、ということらしい。
1 源日本人とでもいうべきひとびとが日本列島に入ってきたのが4万年前~4千年前。周辺の人々とDNAの特徴が一致せず「謎の一群」。漁業、採集に秀でる。
2 中国南部・朝鮮半島と類似の特徴を持つ人々が農耕とともに流入。源日本人は東北、沖縄、出雲など列島の周辺部に押しやられる。今のアイヌ人などはDNA的にこの子孫といえる特徴を有する。東北弁と出雲弁は似ている・・・
3 列島内で混血が進み「ヤマト民族」が形成される
源日本人=漁業、狩猟を営む人々、いいかえれば「縄文 -
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出だしは面白かったのですが、同じような説明の繰り返しで、クドかったです。
しかも最終的な結論は出ず…。
この分野については、昔に比べれば、随分と技術が進歩し、知見は増えたものの、結論に近づいたか、というと、案外そうでもないのが、何とも歯がゆいです。
いずれ、もっと技術が進歩して、もっと個人情報に関するセキュリティの意識が高まれば、すべての日本人のDNAが解析され、真実に近づけるかもしれません。
が、その一方で、次の世代に伝わることなく絶えてしまったDNAもたくさんあるので、真実に近づくのは、案外、難しいことなのかもしれません。
いずれにしても、まだまだ発展の余地の大きい分野のようなので、 -
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日本人の起源はこれまで二重構造説というのが主流だったようだ 縄文人系≒アイヌ系と渡来人系≒ヤマト系(オキナワ系) 縄文人が日本に大陸から渡ってきたのが4万年前〜四千年前、そして渡来人(弥生人)がやってきたのが4千年前〜4世紀ごろのようです。この本の主張は二重構造は基本的に正しくさらに ヤマト系とオキナワ系の内なる二重構造で結局3源流節を唱えている
ネットニュースでも3源流節が発表されてた 古墳時代人が4世紀ごろ合流して完成したという節だった
いずれにせよ色々と刺激的な内容で良かった
政治的な支配側・被支配側というのはあるだろうがDNA的にはアイヌとオキナワ系は遥か古代から日本人の根幹を構成して