米代恭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ一度目、読み終わった時は「結局くっつくんかい!」と思って終わった。
だけど二度目を読み終わったとき、なんだか涙がボロボロ出た。
皆さんは一目惚れというのをしたことがあるだろうか。
私はある。その人は私にとってとても美しい人で、その人は既婚者だった。私は20でその人は29で、私はあの時ほどの恋を知らない。なんにも相手にされなかった。その人は奥さんのことが大好きで、その奥さんは見た目も性格も私と正反対の人だった。そりゃ相手にされない。相手にはされないが、優しくはされた。
それが救いだったし、呪いだった。今もまだ執着のようにその人のことを思うことがある。なぜなら一目惚れだったから。一目惚れというのはまったく厄介だ。だって頭じゃなくて心で恋をするのだ。本当に心が踊るし、その人から溢れ出る美しさに救われる。作中に出てくる先輩はまさに美形だったけど私が一目惚れした人はそうではなく、太っていたし目は細かった。一般的には美形ではないだろう、でも一目惚れだった。電流が走るというのはたぶんああいうことをいうのだろう。
私はもう29になる。あの時のあの人と同じ年だ。それでもまだ思い出す。呪いがとけていないのだと勝手に感じる。
でも中学生の時に一目惚れした相手のことは20のときの恋で忘れられたので(たまにTwitterで現状確認してるけどそんなもんは可愛いもんなので許してほしい)、やっぱり必要なのは新しい一目惚れなんだと思う。恋じゃない。一目惚れ。婚カツが上手くいかない理由がよく分かる。だって一目惚れなんて中々しないから。そう簡単に心に電流は走らない。
私もカノンと同じストーカータイプなのでよく分かる。分かるんだよなぁ。狂気でしょ、もう。自分は第三者目線で見るとこんな怖いんだと知ったんだよ、この漫画で。気持ち悪いほどの執着。周りの意見聞かないし。自分のことばっかりだし。何か才能があるわけでもない。だから距離を置くしかない。私も一目惚れの人と離れる為に仕事やめてその人着信拒否したし。物理的措置。
だからこそラストで泣いてしまったのかな。一度目で泣かなかったのは自身の一目惚れの過去を忘れていたからだ。二度目でそれを思い出した。すると涙が出てくる。理由は分からない。あのラストに自分は救われたのか、それとも死ぬほど羨ましいのか。ただ心がえぐられるように泣いてしまった。
この作品が刺さった人には綿矢りさの「勝手に震えてろ」も読んで欲しい。小説だけど。そっちはカノンより現実的だ。でもどっちも読んでる時に恥ずかしくて死にたくなる。共感性羞恥ってやつかもしれない。
私たちのような人間は本当に生きづらく、人を好きになりにくく、いざ好きになったら気持ち悪くなる。それでも死ぬまで生きていかなくちゃならないんだから大変だ。私のあげくの果てを早く見たい。楽になりたい。 -
Posted by ブクログ
キャラクターのギラギラした目元だとかアングルの付け方とかが河内遙の作品を連想させる絵柄。
ストーリーのほうはへんてこな(?)テーマです。「友達代行サービス」の会社で働く主人公がある日担当することになったクライアントは「引きこもり」のお嬢様。「私のペットになって」という依頼に主人公の青年の生活はめちゃくちゃになってしまいます。しかししつけに厳しい父親への服従にひとつの「安心」を抱いていた彼──そして父親の再婚とともに父親の支配が弱まり不安を抱いていた主人公はそこに、新しい代替となる主従関係を見出す。その飼主-ペット関係は実のところお嬢様が大好きな青年のために、彼の鬱屈を読み取った結果たぶんに意図的に演出したものでもあるらしく…という感じ。ある種の「救い」がないわけでもないですが、とりあえず「課題解決型」(?)のストーリーではないです。
『あげくの果てのカノン』もそうですが屈折のある主人公たちが屈折しっぱなしで身を破滅させていくストーリーは見ていてはらはら愉しいものですね。 -
Posted by ブクログ
本当に簡単に言ってしまえば、「性に悩む二人の青年の葛藤と成長を、みずみずしく描いた」作品。お互いがお互いに影響されあって、話は進んでいく。一冊読み切りなので、あっという間に読み終わる。確か5話か6話くらいの構成だった気がする。
紙幅の関係からか、比較的展開が早くて二人の感情の動きとか、考え方の変化があまり読みとれないように私は感じたかな(登場人物の性格上、あまりやりすぎると設定が壊れるのかもしれないけど)。
それと、二人を二項対立的に捉えるのは安易にすぎる気もするけど、後半の修次はとっても素敵だったなー。この手の本ではよくある展開なのかもしれないけど、でも憧れる。
ついでに『青い花』『放浪息子』で有名な志村貴子さんが、帯で絶賛していた。だいたいこの本の内容はその系統、という感じではあるかな。