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片思いは、一方的で独善的で暴力的。
なのに、よくある少女マンガは片思いの美しさばかり描いている。
リアルに片想いを突き詰めれば、ファンタジーでグロテスクでバイオレンスなマンガになってしまうはずなのに。
などと思っていたら、『あげくの果てのカノン』が現れた。
舞台は、エイリアンに侵食されつつある東京。
主人公のカノンが8年間思いを寄せているのは、高校時代の先輩であり今は特攻部隊の一員の境。
イケメンで、少しチャラくて人気者の彼は、巷のヒーローでもあり、既婚者でもある。
それでも気持ちを抑えきれないカノンは、ストーカーレベルで彼を想い続けていた。
少しずつ接近していく二人だったが、それをきっかけに世界は崩れ始め…。
この世界での特攻隊員は、体を損傷しても「修繕」されて戦い続ける。
しかし「修繕」には、性格や思考なども変化してしまうという副作用がある。
変わってゆく自分に戸惑う境に対し、何も知らないカノンは「ずっと好き」と告げる。
救いでもあるはずの言葉だが、果たしてそれは本当に信じてよい気持ちなのか。
ファンタジーの世界でなくても、人間の細胞は数年ですべて入れ替わる。
年を取れば性格も変わっていく。それでもなお、一人の人を好きでいる気持ちは正しいものなのか…?
世界の状況がどうであれ、恋する気持ちは常にエゴイスティックに暴走していく。
SFマンガを敬遠しがちな、少女マンガファンにこそ読んでほしい、痛々しい作品です。
Posted by ブクログ
読みながら、いろんな歌の一節が頭を過ぎった。例えばaikoだったり西野カナだったり、つまりこの漫画の中で語られているセリフや描かれている場面それ自体は少しも新しいものではないのだと思う。
異世界SF×不倫、という設定は新鮮だけれど、根底にあるテーマ(おそらく悲恋とか、「心変わり」ということとか)が普遍的なところまで落とし込まれているのだと思う。だからこんなに歪な世界でも、物語がグサグサと刺さってくるのだろう。
漫画だけでなく、文学作品としても読んでみたい物語だと思った。勿論、村田沙耶香さんの冷たく冴えた刃のような筆致で。
1巻から通して読んだのでそちらの内容も含んでいるんだけれど、
例えばホクロを見付けた時の驚きだとか、ポテトの食べ方にさえ反応してしまうところだとか、冷たい声すら「新しい」一面だと思ってしまうような些細なディテールに、
「ああ、本当にこの子は、彼のことを長い間想い続けてきたんだな」と納得させられてしまった。
「恋は盲目」って言うのは間違いで、それはある場面では世界の見え方をがらりと変えてしまうのだと思う。
それを「盲目」と言うのはすごく矛盾していて、
まるで「恋なんてしてはいけない」という戒めか、
それとも暗に諫めているみたいに聞こえる。
SF +サスペンス
ゼリーの経緯がぼかされたまま話が進み、修繕の人格への影響などSF的な謎が一つの読みどころになっている。絵柄と恋愛要素のせいで若干のとっつきにくさは残っているが、読み始めの頃よりは緩和されてサスペンス的な要素もあって面白さが分かってきた。
Posted by ブクログ
主人公・かのんは、唯一の生きがいを「先輩」に求め、依存し、崇拝する。相手の立場を気にする素振りは見せるけれど、結局は相手の人格を理解しようとはしない(一巻で、「ゼリー」に切り飛ばされた「先輩」の右頭部を見て、彫刻みたいに格好いい、と感想を漏らす場面、または二巻で、接ぎ合わされた顔から神々しささえ感じる場面などにそれは顕著だ)。
それでも、かのんが可愛く見えてしまったり、ときには応援したくなってしまうのは、もちろんキャラクター造形のせいもあるけれど、その感情に見覚えがあるからかもしれない。描かれているのは身勝手な恋であったり、未熟な初恋であったりするけれど、これはすべての恋や愛、もしくは他者への執着そのものの比喩なのだろうと思う。
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少年・青年マンガ
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