木下古栗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの小説はなんと表現したら良いのだろう?
難しいことは私にはわからない。
ただ、また読みたい。もっとこの木下古栗という人の作品を読んでみたい。
そう思わせるこの気持ちは、…たぶん…アレ。
表題作『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』を含む、それぞれに個性的な3作品が収められている。
『IT業界 心の闇』
「今ではすっかり浮世の荒波に揉まれ(勿論、その間には幾人もの殿方に~)」で、心を掴まれた私は変態かもしれません。
えぇ~!さ、咲子!そうだったのか!ってか、えっ!えっ!どうした、時江ぇぇ…!
『Tシャツ』
…ハワードいつのまにか帰国。
『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』
ツ -
Posted by ブクログ
やばい…この人はやばい……小説を読んで「やばい」しか感想がない、ってなかなかないことだけど、しかしやばい。
前から「頭のおかしそうな人いるな」と思って気にはなっていたのですが、やっと読みました。結果、樋口毅宏からかっこよさを抜いたかんじというか。舞城王太郎からさわやかさを抜いたかんじというか。会田誠の再来というか(まだ生きてます)。
まちがいなく馬鹿なんだけど、これこそが文学かも。とかいって違うかも。ただ、すごいくだらないことを書いてるのに上品なかんじがするのが見どころかなと思う。
友達が「こんなの書いた」と言ってもしこれを持ってきたなら「うん、いつか大物になる気がする!でもちょっと、店におけ -
Posted by ブクログ
饒舌でめくるめく作品世界の毛布を纏える文体かと思えば、ジャン=リュック・ゴダールの編み出した「ジャンプカット」の手法を取り入れたかのような『Tシャツ』まで。読者は著者が描く物語の眩しすぎるほど荒々しく輝く断片を両の目に叩きつけられるように提示され、軽い盲状態に陥るかのよう。しかし目が慣れてきた後に眼前に広がる作品世界に驚きと喜びを持って受け入れるのだ。
著者の持ち味である不条理な設定と現実の世界とは、もうあまり差異がないように思えてくる。木下古栗が作り出した世界の裂け目はすぐそこにあり、もはや我々読者は裂け目から向こう側へ移住している。救いようのない茫漠たる荒野が広がっていようとも、この本の -
Posted by ブクログ
「もしかしたら、現生人類の意識や文化が高度に発展したのも、前戯のせいかもしれませんよ。」
「全自動前戯機ペロリーノ」を開発した関ヶ原修治は、脳科学者の茂木山健多郎と意気投合、湯河原へ温泉旅行に行ったのをきっかけに新たなアイディアを思いつく。
(「サピエンス前戯」)
短編3作にそれぞれ「その後の展開」を書き下ろした「長編小説集」。
収録作品は
「サピエンス前戯」
「オナニーサンダーバード藤代」
「酷暑不刊行会」
どれも下ネタに関する話だが、それぞれAIや意識、村上春樹、文芸界や編集社に対する造詣の深さがうかがえる。
「オナニーサンダーバード藤代」は村上春樹の文体で下らないことを書いてい