あらすじ
「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?
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わかろうとしなくてよい、という意味で、大変読みやすい。
考えさせられる読書に疲れた時におすすめしたい。
脈絡がないので文章に改行がなく、ページにみっちりと文字が並ぶ。強烈な内容の割に、読み終わったあとに何も残らない。私は一体何を読んだのだろう?
執筆にあたり推敲はあったのかと疑わしいし(もちろん推敲されてると思います。思いつくまま吐き出してるかのような書き方、という意味で)、それなりに下品な単語やぶっきらぼうな展開で構成されているので、苦手な部類に入りそうだけども素直に受け入れられたのは、作品の良さなのか私の懐がふかくなったのか笑
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全体的に好みがわかれそうなヘンテコな話ばかりなのに、Twitter文学賞2014年第1位はすごい。個人的にはたいへん好み。ハマりそう。
「IT業界 心の闇」3…アシンメトリーでアンバランスでとりとめのない不思議な駄話。
「Tシャツ」5…時間や場所を無視した超圧縮文体の中毒性たるや。
「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」4…失踪した上司を捜索する部下たちの優しき悪ふざけと悪趣味な結末。
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この小説はなんと表現したら良いのだろう?
難しいことは私にはわからない。
ただ、また読みたい。もっとこの木下古栗という人の作品を読んでみたい。
そう思わせるこの気持ちは、…たぶん…アレ。
表題作『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』を含む、それぞれに個性的な3作品が収められている。
『IT業界 心の闇』
「今ではすっかり浮世の荒波に揉まれ(勿論、その間には幾人もの殿方に~)」で、心を掴まれた私は変態かもしれません。
えぇ~!さ、咲子!そうだったのか!ってか、えっ!えっ!どうした、時江ぇぇ…!
『Tシャツ』
…ハワードいつのまにか帰国。
『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』
ツラツラツーラとひとつの文章が長かったり(しかし、なんだろうこの読み心地の良さは)、2ページの間に、同じ文章が2度使われていたり(重要だから2度言った?)、一人だけ名前の出ない、いるのかいないのか存在感の薄~い人物が語り手(?)だったり(だからといって、その存在感の薄さに理由はないようだ)、なんとも奇妙な、感覚を刺激する文章。
作品どれもが深いのか浅いのか、皆目見当がつかない。が、心にガツンとくるものがある。
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やばい…この人はやばい……小説を読んで「やばい」しか感想がない、ってなかなかないことだけど、しかしやばい。
前から「頭のおかしそうな人いるな」と思って気にはなっていたのですが、やっと読みました。結果、樋口毅宏からかっこよさを抜いたかんじというか。舞城王太郎からさわやかさを抜いたかんじというか。会田誠の再来というか(まだ生きてます)。
まちがいなく馬鹿なんだけど、これこそが文学かも。とかいって違うかも。ただ、すごいくだらないことを書いてるのに上品なかんじがするのが見どころかなと思う。
友達が「こんなの書いた」と言ってもしこれを持ってきたなら「うん、いつか大物になる気がする!でもちょっと、店におけるかどうかは…店長にきいてみないと…ちょっと場所がないかも…ちょっと今忙しいから…」って逃げたくなるような、でも友情を誇りたいような、捨てたいような、でも次の日なんか気になってゴミ箱から拾っちゃうような作品。
いや、面白かったです。
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全国の書店員を苦笑させた「本屋大将」作家・木下古栗、その新刊。
今作も全く人間性を感じさせない淡々とした描写を駆使して、IT社会に潜む闇、薄れ行く人々の繋がり、そして消費税増税という現代日本が直面する社会問題に、ギンギンに研ぎ澄まされた言葉のナイフでズカズカと斬り込んでくる。しかし斬り込むだけ斬り込んで切りっぱなしなので、こちらの傷口はもう、膿んで爛れてグッチャグチャである。
前作から2年半、待った甲斐があったというもの。と言うか、早く全集とか出してくれ。消費税10%でも買うから(多分)。
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饒舌でめくるめく作品世界の毛布を纏える文体かと思えば、ジャン=リュック・ゴダールの編み出した「ジャンプカット」の手法を取り入れたかのような『Tシャツ』まで。読者は著者が描く物語の眩しすぎるほど荒々しく輝く断片を両の目に叩きつけられるように提示され、軽い盲状態に陥るかのよう。しかし目が慣れてきた後に眼前に広がる作品世界に驚きと喜びを持って受け入れるのだ。
著者の持ち味である不条理な設定と現実の世界とは、もうあまり差異がないように思えてくる。木下古栗が作り出した世界の裂け目はすぐそこにあり、もはや我々読者は裂け目から向こう側へ移住している。救いようのない茫漠たる荒野が広がっていようとも、この本のこんな一文が乾いた希望を持たせてくれる。
「どう生きたって結局は苦しいことしか残らない世の中、たとえ束の間の夢であれ、こんなに気持ちのいいことがある。これがあればどうにか絶望をごまかしごまかし、余生を全うできそうだ。」
まだまだ木下古栗とは切っても切れそうにない生活が続きそうだ。
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「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。
失踪した男をその本人が探しに行く、社長の浮気相手になりすまして謝罪する、新しい挑戦を求めて国内外をかけまわる……
人を食ったようなストーリーに独特な言葉遣い、意外というより突飛な結末。呆気にとられて笑わずにはいられない。筒井康隆ファンにも刺さりそう。
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Twitter文学賞受賞作ってことで。中編×3編収載。最後に表題作なんだけど、最初の2編はあまりピンとこず。①は、結局男っていうどんでん返しがなんだか受け入れ難かったし、②は、最後の怒涛の繰り返し部分は圧巻とはいえ、意図的に読みづらく書かれた文体から受けるネガティブ印象の方が個人的には勝った。でも、①と②の良いとこどりみたいな表題作は秀逸だった。あ、ひょっとしたら①、②は、だんだんと慣れさせるための策略だったか?としたらまんまと引っかかっちゃいました。
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なにこれ(笑)って感じかな。テレ東のドラマや鳥肌実を楽しく見れる人はきっと楽しい。真面目な人はダメかもしれない。でも、丁度いい感じだと思う。逆に。逆にとはいえいい感じで描けていると思う。どれもスッとグッと一気に読み通せた。とりあえず三作品楽しく読ませてもらったという感じ。
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相変わらずのナンセンス、不条理、アバンギャルドが全編にわたって炸裂だが、他の作品集より読みやすい感じがした。
収録作「Tシャツ」の「まち子が~」のくだりが最高。
木下作品も一種の「アール・ブリュット」であると改めて感じた。
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『急接近の気配がして目の前の光沢液晶画面に人影が映り込んだ。振り返ると米原が立っている。「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った』
理屈で何かを理解しようとすることを木下古栗は猛烈に拒否する。とは言え、全ては単なる言葉遊びのように並べられはするが、その一つ一つにどこかで聞いたフレーズが、皮肉な響きを伴いながら木霊する。その元のフレーズの意味を手繰り寄せてから次の言葉へ進むべきなのか? 愚かにもそんなことを思いつくが、その答えは直感的には否である。たが、ピンチョンの「重力の虹」のように夥しい脚注が、後世出版されるであろう木下古栗全集の中に挿入されることがないとは言い切れない。その時になって、分かっていたのに、と叫んでも始まらない。cautiously optimisticに読み飛ばす、それが精々出来ること。
それにしてもこの作家は何かに憤っているのだろうか? だとしたら何に?
現代社会全般に対するもどかしさ。日々目にする理不尽さ。公共交通機関の中で起きるちっぽけな無言の小競り合い。なんだか知らない内に自分たちの身の回りは小さな諍いだらけになって、それをやり過ごす内に何かがすり減っていく。そんなことに対する憤り。
ナンセンスな文章の中に秘めた毒性。これを面白がれなければイケてないことになり、単純に面白がれば皮相的な笑いとなる。木下古栗は悩ましい。
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表紙的確。ちょっとずれてる、世界が。古栗ワールドとかじゃないよ。世界が、よ。帯で、頭が柔らかくないと読めないって書いてあったの、そうだと思う。わたしは表題作が好きです。ほかのはきついです。話題だったから。グローバライズの順番待ちで先にこちら。
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「IT業界心の闇」どころの騒ぎじゃない話、神話的叙事詩のようで正反対なような「Tシャツ」、米原が米原を探してみんな巻き込んで右往左往する「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」の3作所収。なんだこれ? 「ポジティヴシンキングの末裔」も読んでみるつもり。
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強烈!
先日「群像」で、「わかるだろう? 云々なやつは云々されて然るべきだ」という唐突な展開にくらくらさせられて気にかかっていた著者。
この本でも、くっだらないことくっだらないことを積み上げて積み上げてガラガラと崩落させる!
「IT業界 心の闇」
「Tシャツ」
「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」
どれにも社会情勢への怒りという観点をほのかにただよわせながら、実はそんなんどうでもいいというあっけらかんさ。
どこからどうしてこんな作者が生まれてくるものやら。
たぶんよく言われるように中原昌也の系列。文体は筒井康孝か。
しかしもっと突き抜けた感触もあって、帯で岸本佐知子のいうとおり、パースペウティヴの狂いが変な読後感をもたらす。
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今まで読んだことのないタイプの小説。激しすぎるストーリー展開に、完全に置き去りにされているにも関わらず、気が付くと逆に引き込まれていました。帯にあった「中毒します」は本当でした。
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戦慄に嗤た。最初、戸梶圭太ぽいとおもったがもっとタチ悪いわ!
「IT業界~」がスキ。あたしも時々、場違いなオンナをあぁしてやりたくなるから、とってもスッキリ♡ 妄想飛び越え、いつか自分もやってしまうんじゃないかって後味残る。いろんな意味で、マジ戦慄小説。
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考えるな、感じろの世界。頭を空っぽにして読むのが正解なのだと思う。文章の意味を考え出したら先へ進めなくなる。自分の感性にははまらず読み進めるのが困難だったが唯一無二と言っていいほど尖った実験的な文章、文学的価値のある一冊ではないか。
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人づての人づてで薦められて読んだ作品。しかしわたしはこの作品を誰かに薦めることはないだろう。
内容は3つの短編集で、表題の作品は3番目に位置する。
感想としては、ここまで読んでいる側の気持ちを考えていない作品に初めて出会った、になる。よく言えば個性的だが、悪く言えば著者の自己満。
最初の2編だけならば、何が言いたいのかわからないということで★2だったが、表題の短編は独特の雰囲気が素直に楽しめたので、★2.5。
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いちいちうっとうしい文体、語り口、読みづらいリズム、ふざけるなと思いつつ読み進めて、終わるころには癖になったかもしれない。脱税といえば茂森さん、ハワードさんのTシャツ、米原正和を探しに行くぞ。
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簡潔な文が矢継ぎ早に畳み掛けられ、驚くほどポンポンと強引に話が進行。置いてけぼりにされないようテンポに乗りつつ、笑いを楽しむ感じの本でした。まち子の連発面白い。ただ個人的には物語がある方が好きで、ナンセンスというのもよく分かっていないので、特に表題作は内容のなさに途中で飽きてしまった。好みが分かれそうな本。
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正しいかわからないけれど、アバンギャルドという印象。松田青子さんとか日本の現代文学の文字・世界の混沌な感じ。(アメリカの創作課程系が20cm浮いた世界なら、日本は言葉・文字のカオスだと思う)
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刺激的な題名に惹かれて手に取りました。
独特のテンポで進む話し。最初は小気味いいって思ったけど、ちょっとついていけなくなちゃった。やっぱ、年はとりたくないね。