あらすじ
「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?
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Posted by ブクログ
この小説はなんと表現したら良いのだろう?
難しいことは私にはわからない。
ただ、また読みたい。もっとこの木下古栗という人の作品を読んでみたい。
そう思わせるこの気持ちは、…たぶん…アレ。
表題作『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』を含む、それぞれに個性的な3作品が収められている。
『IT業界 心の闇』
「今ではすっかり浮世の荒波に揉まれ(勿論、その間には幾人もの殿方に~)」で、心を掴まれた私は変態かもしれません。
えぇ~!さ、咲子!そうだったのか!ってか、えっ!えっ!どうした、時江ぇぇ…!
『Tシャツ』
…ハワードいつのまにか帰国。
『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』
ツラツラツーラとひとつの文章が長かったり(しかし、なんだろうこの読み心地の良さは)、2ページの間に、同じ文章が2度使われていたり(重要だから2度言った?)、一人だけ名前の出ない、いるのかいないのか存在感の薄~い人物が語り手(?)だったり(だからといって、その存在感の薄さに理由はないようだ)、なんとも奇妙な、感覚を刺激する文章。
作品どれもが深いのか浅いのか、皆目見当がつかない。が、心にガツンとくるものがある。
Posted by ブクログ
強烈!
先日「群像」で、「わかるだろう? 云々なやつは云々されて然るべきだ」という唐突な展開にくらくらさせられて気にかかっていた著者。
この本でも、くっだらないことくっだらないことを積み上げて積み上げてガラガラと崩落させる!
「IT業界 心の闇」
「Tシャツ」
「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」
どれにも社会情勢への怒りという観点をほのかにただよわせながら、実はそんなんどうでもいいというあっけらかんさ。
どこからどうしてこんな作者が生まれてくるものやら。
たぶんよく言われるように中原昌也の系列。文体は筒井康孝か。
しかしもっと突き抜けた感触もあって、帯で岸本佐知子のいうとおり、パースペウティヴの狂いが変な読後感をもたらす。