【感想・ネタバレ】サピエンス前戯 長編小説集のレビュー

あらすじ

身長、寿命、インターネット、XVideos―21世紀、ピークに達した人間の能力と文化。だが、それはまだ人類史にとって前戯にすぎなかった。壮大なシンギュラリティSF含む長編3編。

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Posted by ブクログ

「もしかしたら、現生人類の意識や文化が高度に発展したのも、前戯のせいかもしれませんよ。」

「全自動前戯機ペロリーノ」を開発した関ヶ原修治は、脳科学者の茂木山健多郎と意気投合、湯河原へ温泉旅行に行ったのをきっかけに新たなアイディアを思いつく。
(「サピエンス前戯」)

短編3作にそれぞれ「その後の展開」を書き下ろした「長編小説集」。

収録作品は
「サピエンス前戯」
「オナニーサンダーバード藤代」
「酷暑不刊行会」

どれも下ネタに関する話だが、それぞれAIや意識、村上春樹、文芸界や編集社に対する造詣の深さがうかがえる。

「オナニーサンダーバード藤代」は村上春樹の文体で下らないことを書いていて非常に笑える。


「意識が脳に局在するという考えは誤りといえます。そもそも脳という独立した器官などなく、それはそれを生かす環境と切り離せませんから。 (中略) このように考えてみると、意識は究極的には私やあなたにおいて、あるいはその脳において生じているのではなく、宇宙において生じていると言えるでしょう。そこから私やあなた、その脳や意識、あるいは地球、そういう何かを個別に切り出すことはできないわけです。なぜならそうした個物、あるいはその構成要素でもなんでも、それらが単独で存在した例などなく、すべては根本的に境界なく連続しているからです。」
(「サピエンス前戯」p.25-26)

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2022年09月22日

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