木下古栗のレビュー一覧
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『急接近の気配がして目の前の光沢液晶画面に人影が映り込んだ。振り返ると米原が立っている。「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った』
理屈で何かを理解しようとすることを木下古栗は猛烈に拒否する。とは言え、全ては単なる言葉遊びのように並べられはするが、その一つ一つにどこかで聞いたフレーズが、皮肉な響きを伴いながら木霊する。その元のフレーズの意味を手繰り寄せてから次の言葉へ進むべきなのか? 愚かにもそんなことを思いつくが、その答えは直感的には否である。たが、ピンチョンの「重力の虹」のように夥しい脚注が、後世出版されるであろう木下古栗全集の中に挿入されることがないとは言い切れない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ強烈!
先日「群像」で、「わかるだろう? 云々なやつは云々されて然るべきだ」という唐突な展開にくらくらさせられて気にかかっていた著者。
この本でも、くっだらないことくっだらないことを積み上げて積み上げてガラガラと崩落させる!
「IT業界 心の闇」
「Tシャツ」
「金を払うから素手で殴らせてくれないか?」
どれにも社会情勢への怒りという観点をほのかにただよわせながら、実はそんなんどうでもいいというあっけらかんさ。
どこからどうしてこんな作者が生まれてくるものやら。
たぶんよく言われるように中原昌也の系列。文体は筒井康孝か。
しかしもっと突き抜けた感触もあって、帯で岸本佐知子のいうとおり、パー -
Posted by ブクログ
大変賛否ありそうな本。多分ソローキンの某作を下敷きにされていると思うのだが、漂って充満するのは紛い物な筒井康隆の匂い。筒井を読めばいいじゃんって人もいるであろうし、いいぞもっとやれとよだれを垂らす人もいるだろうし、金払ったんだから殴らせろと怒る読者もいるだろう
「Tシャツ」という作品が入っている。この作品を読めたというだけで僕は満足している。
読めばきっと、まち子という名前が脳裏に焼き付けられる
僕はこの本を読む。僕はこの本を捲る。僕は文字を追いかける。僕は喉が渇く。僕は立つ。僕は冷蔵庫へ向かう。僕は冷蔵庫を開ける。僕は中を覗く。僕はビールを探す。僕は酒がないと気付く。僕はソファーへ戻る。僕