弘中惇一郎のレビュー一覧
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この事件は、いまから44年前のことである。この本にあるように当時の報道の過熱ぶりは度を超えた、プライバシーの心外、名誉毀損のオンパレードで個人の尊厳など無視したマスメディアの姿勢には辛辣を極めた。
私は三浦和義という人物に興味を覚え、島田荘司の書いた『三浦和義事件』を当時読んで以来ずっと頭の隅に事件の真相を知りたい気持ちがあった。島田荘司の本も素晴らしかったが、もっと直接、三浦和義と繋がりがあり真実を見極めた本を探していたのである。著者は三浦和義の主任弁護人であり信頼関係も強固に築き上げた人である。私はこの本を読んで確信した。三浦氏は、殴打事件も銃撃事件も無実であった。
ひとつ驚いたのは、ある裁判長が銃撃事件の審理中に「これだけ世間が大騒ぎしているのだから、彼が無実のはずがない」と言ったとされる記述である。公明正大に真実のみを追究し、合理的な理論に沿って判断しなければいけない立場にありながら、この裁判長は思い込みとバイアスに満ちている。
後半部分で、著者はコンビニでのサプリメントの万引きについても疑問を呈している。そもそも万引きというのは現行犯逮捕なのに、店長が店のビデオを見ている内、三浦氏の行動が怪しいと判断して警察に通報しそのまま逮捕に至ったのだ。映像には三浦氏が盗んだ瞬間はなかったのである。彼は生来の重度の腰痛持ちでサプリメントの前をしゃがんだり立ったりしただけなのある。それを怪しいと決めつけたのだ。警察も、ネームバリューのあるあの三浦和義かということでよく調べもしなかった。勿論、サプリメントは所持していなかったし、家の中まで探しても見つからなかった。
皆で寄って集って三浦氏を犯人に祭り上げたこの一連の壮大な事件は、本人も去ることながら、その影響は妻の良枝さん、一女のHさん、ご両親の不遇を考えると言葉もない。
世の冤罪事件を私なりに観察し考察してきたが、権力と言葉の暴力(メディア)によってどれだけ精神的苦痛と屈辱感に苛まれることか。
三浦氏はサイパンで逮捕され、ロサンゼルスに移送後、刑務所内でTシャツで首を吊って亡くなったとされている。死亡解剖の結果、検視医は首にできた血腫から言って自殺ではなく他殺であるとした。しかし、警察は刑務所内で誰かが殺害したという証拠はないとして自殺を主張した。
そして、さいごに誠に残念なことは、三浦氏の冤罪を舗道に立って運動してきた娘のHさんが30歳で自死されたということである。その事情は謎のままである。
しかし、この本と出逢えたことは本当に良かったと思う。 -
Posted by ブクログ
とある方にお勧め頂き本書を手に取る。
弘中弁護士とは、厚生労働省の官僚だった村木厚子さんの「郵便不正事件」はじめ、三浦和義氏の「ロス疑惑」他、カルロスゴーン氏、小沢一郎氏、鈴木宗男氏、堀江貴文氏等の弁護人として著名である。
誰しも聞いたことがあるような事件であるが、それらの事件における検察側と弁護側の泥臭いやりとりの数々。
読んでいて気分が悪くないような、国策捜査の背景やマスコミによる決めつけ・印象操作の実態。
世の中は決して綺麗事ではないということを改めて考えさせられる一冊。
『事件を日常的な感覚で事実関係を丁寧に見ていくと、犯罪とみなされた行為も私たちの日常と地続きの場合が少なくない。
警察が摘発し、マスコミが「悪い」と決めつけるから、「悪くなる」のであり、普通に暮らしているときの価値観からすると、いろいろあるのではないか』
・・・第五章 刑事司法の現実より -
Posted by ブクログ
弘中弁護士。
知らない人はいない弁護士ですね。
すぐ思い浮かぶだけで、カルロスゴーン、ホリエモン、村木厚子、鈴木宗男、小沢一郎氏等の弁護人を務めてきた方。。
(冤罪事件を取り上げた内容という意味で)
やや不適切かもしれませんが、
めっちゃ面白いです。
よく、検察は先ずはストーリーを作り、そのストーリーを完成させるために証拠を作り訴訟手続きを進める、と言われますがさもありなん、と。。
有名な事件における検察側の問題点をわかりやすく解説、指摘した内容で、面白いのですが、こうやって冤罪は作られる的な内容で怖くなってきます。。。
注意点は、グレーな部分での訴訟というのは、裁判官が正しいのか、検察が正しいのか、弁護人が正しいのか微妙ですよね。
したがって、この本の中で取り上げられた事案の全てについて弘中氏の主張が本当に正しいのか、という事は読み手が考えないといけない事ですかね。
本の内容とは直接関係ないのですが、
学生時代、刑法(実体法)の授業が嫌いでした。
(刑事訴訟法(手続法)は好きでしたが)
思うに、構成要件やら違法性やら理論から教える順序とか、ずいぶん昔の判例等を学ばせる教育方法がおかしかったのではないかと。
この本のような、記憶に新しく、話題になった事案をたくさん取り上げた本をまずは読んだ上で、理論に取り組むという順序であればもっと関心を持てたのではないかと思いましたね。
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Posted by ブクログ
2分冊になっている、弘中弁護士の「生涯弁護人」の2巻目。1巻目、2巻目ともにボリュームがあり、本書は460ページを超える。2冊で、1,000ページ近くなるが、とても面白く短期間で読むことが出来た。
1巻目も興味深い事件が取り上げられていたが、この2巻目も面白い事件が取り上げられている。安倍英医師の薬害エイズ事件。野村沙知代事件。そして、カルロス・ゴーン事件。その他にも興味深い事件が多く取り上げられている。安倍医師の事件、カルロス・ゴーン氏の事件は、これまで新聞やテレビの報道などで知っていた内容、感じていた印象が大きく変わった。安倍医師、ゴーン氏に対しての検察起訴・逮捕は、全くの冤罪だという考えに変わった。弘中弁護士は、本書の中で、実際の事件での弁護団の弁護方針・戦略、更には、証拠等の具体的な内容についても触れており、本書に描かれているストーリーは信ぴょう性が高い(実際に安倍医師は無罪になっている)。また、ゴーン氏の逮捕・起訴・裁判の進行に関しては、「日本の司法制度は前近代的である」との批判が外国から多く寄せられていたことも、あらためて思い出したし、本書を読めば全くその通りだと思う。
ひとつひとつの事件に真摯に取り組む誠実さ。事件の核心を理解し、それを弁護方針・戦略に生かす弁護士としての腕の良さ。実際の弁護の場面での労力のかけ方や実務的な能力など、実際に事件に巻き込まれて弁護士が必要になった場合には、是非とも弘中弁護士にお願いしたいと感じた。
本書のあとがきに、ご本人が書いている自分に関しての描写は下記の通り。1,000ページ近い本の中で読者が感じるであろうイメージと全く異なるが、こういったつもりで「生涯弁護人」を務めておられたのであろう。
【引用】
私は、そんな考え方なので、とりたてての主義主張もなく、誇るべき専門領域も著書もなく、地位名誉にも縁遠く、財をなすこともなかったが、半世紀の間、そのときどきの事件に首を突っ込んで、私なりに好奇心を満足させてきた。そのうえ、このような形で、それらをひとまとめにできて、一人悦に入っている次第である。
【引用おわり】
とても格好良い。 -
Posted by ブクログ
数々の大事件の容疑者の弁護を引き受け無罪を勝ち取ってきた著名弁護士の回顧録。事件ファイル1としては最大のページを割いたロス疑惑のほか、村木厚子氏、鈴木宗男氏、小澤一郎氏の政治絡みの事件、その他薬害訴訟やベトナム反戦運動を背景としたマクリーン事件や東大裁判を取り扱う。
それぞれの事件につき事件概要を述べた上で著者の受任の経緯、相手側の主張する事件の筋書きがあればそれを取り上げた上でその訴訟にどういう戦い方をしたか、またその判決の結果、それによる社会的影響、その他受任した関連事件の紹介、事件の思い出などを振り返る。500ページ超のボリュームだが、章ごとに異なる問題意識があり、飽きさせない。
第1章の村木厚子氏、鈴木宗男氏、小澤一郎氏の事件においては地検特捜部が捜査・起訴することの構造的な問題点やその捜査方法の問題点が記される。具体的には特捜自身が捜査を始めるプレイヤーであり、かつ起訴・不起訴を決める決裁官であるので、警察がした捜査の正当性を判断して起訴・不起訴するのと異なり、特捜のした捜査やその捜査方法の正当性を中立的に判断することを特捜自身に期待するのは無理があると述べる。
その結果捜査体制を組んで一旦捜査を始めた以上、何が何でも有罪に持っていきたがってしまうというのである。特に取り調べ結果を纏めた調書を証拠の骨格とする場合、調書自体は検察が臨場感溢れる表現で書いた架空のストーリーでも、劣悪な環境の拘置所での長時間の拘束の下、容疑者にそれにサインをさせれば一見そのストーリーが成り立ってしまうのである。
また、本人の自白を取るための第三者の証言や調書でさえ、検察は自らのストーリーに合わせるため、犯罪事件から最も遠い事実を最も遠い関係者からそのストーリーがさもあったように捜査に入るため、捜査を受ける関係者は記憶が不確かな場合や自らにあまり関わって欲しくない場合、検察に都合の良い事実を認め易くなってしまうのである。
また、世間の耳目を集める事件の場合、容疑者取り調べの段階から得た情報のうち、検察側に有利な情報のみマスメディアにリークできるので、そういったマスメディアのバイアスがある中で検察は捜査で事件関係者に自己に有利な証言を取り易くなる側面もあると述べる。
第4章のロス疑惑においては検察ではなくメディアが創り始めたストーリーとの戦いとなるが、ストーリーの切り崩しの面では政治絡みの事件と同様である。しかし、ロス疑惑では一度日本で無罪が確定した事件と同じ容疑でアメリカで逮捕されるという一事不再理の問題も生じ、それに対して国家として抗議しない政府への問題意識も提起される。
第2章のマクリーン事件とは日本滞在中にベトナム反戦運動に参加した外国人に在留更新許可を与えなかったことが問題となった事件であるが、こちらでは裁判における法廷戦術の重要性が語られる。つまりこの裁判ではその事件において何が争点か。外国人の表現の自由か、単なる法務大臣の自由裁量の幅の問題か、法律上どちらの問題と設定するかで結論としてのマクリーン氏の扱いが大きく変わってしまうのである。他にも行政訴訟の訴え方に技術的な工夫をした事にも触れられている。
東大裁判では主に当時の社会背景や著者の思い出、現在とかなり異なる当時の裁判風景が描写される。
第3章の医療過誤訴訟においてはその専門性故の訴訟の難しさが語られる。つまり、事件となった医療行為が違法であるためには単にその医療行為と事件との繋がりが証明できれば良いわけではなく、その医療行為がその時の医療水準からみて通常より劣り、故意・過失があったといえるまで立証しなくてはならない。そして医者は皆医療過誤訴訟のリスクを潜在的に抱えているので被害者の証人として協力してくれる医者の証人を確保しづらいとの問題も指摘される。
今までは裁判は何となく公正な証拠に基づいてプロとしての裁判官に公正に裁かれていると漠然と思っていたが、現実動いているのは様々な思惑や得られる証拠の差や能力差を抱えた人同士である事を実感した。自分が犯罪を行っていても平然と無実を主張する者もいるので、逮捕・拘留した後もあまり自由にするのも良くないが、強引に捜査・起訴するのも免罪を生み、本当の犯人が野放しとなり裁判の意義が問われよう。逮捕・起訴などそれぞれの権限を異なる組織に分け、相互に抑制・均衡させたり、時には事後検証する仕組みを入れたりして、この国にとって何がベストな訴訟のあり方なのかを常に議論し、修正していかねばならないと感じた。 -
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筆者の弘中さんはベテラン弁護士。1945年10月生まれなので、現在76歳。大学卒業と同時に弁護士になられているので、弁護士業務を50年以上続けておられる方だ。弘中さんは、世間の注目を浴びた事件での弁護人を数多く務められている。本書で取り上げられているのは、村木厚子氏・小澤一郎氏・鈴木宗男氏・三浦和義氏のケースであり、2分冊の第2巻で取り上げられているのは、安倍英氏・野村沙知代氏・カルロスゴーン氏のケース等である。2分冊の第1巻にあたる本書は、500ページを超える大部の作品であるが、一気に読んだ。
筆者の著作としては、「無罪請負人」という本を読んだことがあり、このブログにも感想を書いている。「無罪請負人」で、筆者は、日本の刑事司法の国際的に見た場合の後進性について、強く訴えていた。本書でも、各事件で同趣旨のことを訴えられているが、本書は、基本的にそういった司法の後進性を訴える本ではなく、ご自身が担当された事件についての事実関係をレポートする本である。本書の中で、そのようにご本人も述べられており、だから、題名が「事件ファイル」なのだという説明もされている。
私は本書を抜群に面白いノンフィクションとして読んだ。村木氏・小澤氏・鈴木氏の事件、筆者はそれらを検察特捜部による「国策捜査」と呼んでいるが、それらの事件の弁護人として、事件の細部まで知り尽くした筆者が語る事件の真相と裁判の経緯・結果は手に汗握ると言っても大げさではない。ジョン・グリシャムやスコット・トゥローが描くリーガル・サスペンスも面白いが、本書はそういった面でも、それに匹敵する、あるいは、それ以上に面白い話が続く。
第2巻を読むのが楽しみだ。 -
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衝撃的だなー。正義はどこにあるのだ。国策捜査は冤罪の温床だと!?(((( ;゚Д゚)))
P79 その意味で刑事事件では、当人がそれまで送ってきた全人生、人間性のすべてが試される
P85 国策捜査とは検察、なかでも得喪検察が、ある政治的意図や世論を動かすために進める捜査を指す。たまたま犯罪があることが発覚したので犯人を逮捕・起訴するのではなく、何かの理由をつけて特定の人物を逮捕・起訴することを前提にすすめるのである。このため、恣意的な法律の適用や権力乱用的な操作を招きやすく、冤罪の温床となりうる。標的は政治家に限らない。官僚、経済人、学者、弁護士など、社会の中枢に位置する人物が対象となる。
P107 検察側が作成した調書に署名しなければ返してもらえなかった。「この場で一応サインして、法廷でいいたいことを話せばいい」と言いくるめられ、最後は疲れ果ててサインするーーーこれまでの冤罪事件と構図は同じである。 -
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カルロス・ゴーン氏逃亡により一気に注目を浴びている弘中弁護士による著書。ゴーンで悪いイメージがついてしまったけれど、この方は正しい弁護活動をしてらっしゃってきた。村木さんはその代表例。ゴーン逃亡で落ちた印象が世間にはあるだろう、が、この著を読むと、この人が根底に持つ信念がよくわかり、この人のぶれない魂は尊いもので、このような弁護士がいることで世の不正は正されるのだろうと思う。彼の主張は一貫しているし、そもそも謙虚だ。無罪請負人と呼ばれることに違和感を感じていて、すべての事件で無罪を目標にできるわけではないと現実的で、ケースによって何が何でも無罪獲得というものでもない。無罪獲得の数を競うものでもない。彼は依頼人とよく話して、この人は真実を話している、そう思ったときに依頼を引き受ける。嘘をつかない、人を陥れない、というごく普通のことを掲げている。が、その普通のことが普通に行われないのが刑事事件における検察のやり方で、彼はここに異議を唱える。この著に出てくる話は彼の実体験ではあるものの、彼の視点でしか語られていないため、検察側の主張を聞く必要があるが、彼のような検察に鋭く対峙する弁護士は必要であるしがんばってほしいと思う。シンプルに、この先生は、人間として信頼できる、と思った。また、刑事事件は真相究明が目的ではない。被告を処罰するかどうかと言う証拠集めをする。一人の人間がターゲットとなり裁いて解決するケースがどれほどあるか。仕組みを改良するという選択肢がない矛盾を指摘し、気づかせてくれた。これから刑事事件が起きた時、それはそもそも一人の人間の問題か、という目線で見ることができるようになったのが、この本での学びである。
また、誠実に、強く生きること。万が一自分が冤罪に巻き込まれ拘束されるようなことがあったとしても、検察のストーリーを否定し続ける気力と勇気を持つこと。それには周りのサポートが欠かせない。一人で戦っていると心が折れる。サポートが得られる人というのは、それまでの生き方に嘘がなく、いろんな人がサポートをくれる人だ。いざという時助けてくれる人がいるかどうか。自分を振り返った。
ただ一方で、やはりゴーン逃亡のインパクトは大きい。ゴーンが逃亡した今、弘中氏のいくつかのコメントに、著者はどう思うんだろう。
・「無罪判決を得るには、弁護士が無罪を確信出来るかどうか。少しでも疑問を持てば事件を新たな角度から見たり有利な証拠を探したりする意欲がなくなる。」…著者はゴーンの無罪を確信して弁護の仕事を受けたのだろう。逃げたゴーンに今何と思うか。
・「逃亡すること合理的に推測する出来るケースは稀ふ」…その稀な逃亡をしたゴーンに何を思う… -
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圧巻の内容であった。
刑事弁護についてはもちろん、この国の歪みについて深く考えさせられる一冊だった。
時間がない人は第5章だけでも読むことをオススメしたい。この国でどうやって生きていくのがよいのか、他国との比較など、実務に基づく深い知見が凝縮されている。
個人的に特に次のものは印象深い。小沢氏陸山会事件の石川議員女性秘書が検察に呼び出され10時間以上拘束し、夜になって「保育園に預けた子供の迎えに行かなければならない、せめて夫に連絡をさせてほしい」と懇願しても、検察官が「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」と迫った…との検察の取り調べの方法を述べている箇所に、身震いした。 -
Posted by ブクログ
郵便不正事件、小沢一郎と鈴木宗男、ロス疑惑事件と薬害エイズ事件、これらの事件の被告弁護人をつとめたのが著者。
これらの事件のうち第1の事件だけは、完全に検察のチョンボであったが、その他の事件は、起訴された当時はさんざんの疑惑報道ばかりだったので、そうかもしれないと思わされ、とはいうもののモヤモヤの状況になってきて、そのうちに報道もなくなって忘れられて・・・結局どうだったのか? というのが自分の認識でした。
本書を読むと、これらの事件すべてにおいて被告は無罪であるとしか言い様がなく、検察やマスコミの非道に憤りを感じられずにいませんでした。
とかく検察は非常に強力な権力を持っているので、その暴走を許してはいけない。これらの事件に対して自分と同じような認識しか抱いていない人には是非読んでもらいたい本でした。
(2014/7/7) -
Posted by ブクログ
○弁護士の弘中氏の著作。
○村木事件や小沢陸山会事件など、数々の刑事事件の弁護を担当した著者による、刑事裁判の真実について、検察の捜査や取り調べの実態を通じて明らかにしたもの。また、弁護士の職域の拡大に伴う副作用やマスメディアを中心とする「つるし上げ」社会について警鐘を鳴らしている。
○著者の経歴や有名事件ばかりを担当していることから、「目立ちたがり屋」という偏見を持っていたが、それが間違っていることに気づき、恥ずかしい。著者の弁護士としての真摯な仕事ぶりや取り組み方、全体を見通す姿勢は、(本書だけで判断するのは早計だが)尊敬に値するもの。
○数々の事件をみると、いつ自分も「無実の罪」に問われるか分からないし、マスコミや世間から「悪者」にされるかが分からないという現実に、恐怖を覚える。そんなときに、自分の見方になってくれる弁護士が身近にいるのかも不安だ。(小沢事件やロス疑惑、ミドリ十字事件などは、自分もマスコミと同じく、「悪者」のイメージを持っていた。)
○本書では、様々な提言もなされており、一般市民としても、読む価値がある。取り調べの可視化や司法取引の解禁などは現実にも実現しつつあるが、さらなる司法改革、刑事裁判、検察行政の改革を望みたい。