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1980年代、『週刊文春』の連載「疑惑の銃弾」を機に日本中が注視したロス疑惑事件。あらゆるメディアから追われた三浦和義氏は、その後無罪となるも2008年にロサンゼルス市警の留置場で亡くなった。この時代に三浦氏の弁護士を担当したのが本書の著者である弘中惇一郎氏である。なぜいまロス疑惑について書くのか。なぜ三浦氏は完全なる無罪が確定しながら、アメリカの警察に逮捕されたのか。
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Posted by ブクログ
この事件は、いまから44年前のことである。この本にあるように当時の報道の過熱ぶりは度を超えた、プライバシーの心外、名誉毀損のオンパレードで個人の尊厳など無視したマスメディアの姿勢には辛辣を極めた。 私は三浦和義という人物に興味を覚え、島田荘司の書いた『三浦和義事件』を当時読んで以来ずっと頭の隅に事件...続きを読むの真相を知りたい気持ちがあった。島田荘司の本も素晴らしかったが、もっと直接、三浦和義と繋がりがあり真実を見極めた本を探していたのである。著者は三浦和義の主任弁護人であり信頼関係も強固に築き上げた人である。私はこの本を読んで確信した。三浦氏は、殴打事件も銃撃事件も無実であった。 ひとつ驚いたのは、ある裁判長が銃撃事件の審理中に「これだけ世間が大騒ぎしているのだから、彼が無実のはずがない」と言ったとされる記述である。公明正大に真実のみを追究し、合理的な理論に沿って判断しなければいけない立場にありながら、この裁判長は思い込みとバイアスに満ちている。 後半部分で、著者はコンビニでのサプリメントの万引きについても疑問を呈している。そもそも万引きというのは現行犯逮捕なのに、店長が店のビデオを見ている内、三浦氏の行動が怪しいと判断して警察に通報しそのまま逮捕に至ったのだ。映像には三浦氏が盗んだ瞬間はなかったのである。彼は生来の重度の腰痛持ちでサプリメントの前をしゃがんだり立ったりしただけなのある。それを怪しいと決めつけたのだ。警察も、ネームバリューのあるあの三浦和義かということでよく調べもしなかった。勿論、サプリメントは所持していなかったし、家の中まで探しても見つからなかった。 皆で寄って集って三浦氏を犯人に祭り上げたこの一連の壮大な事件は、本人も去ることながら、その影響は妻の良枝さん、一女のHさん、ご両親の不遇を考えると言葉もない。 世の冤罪事件を私なりに観察し考察してきたが、権力と言葉の暴力(メディア)によってどれだけ精神的苦痛と屈辱感に苛まれることか。 三浦氏はサイパンで逮捕され、ロサンゼルスに移送後、刑務所内でTシャツで首を吊って亡くなったとされている。死亡解剖の結果、検視医は首にできた血腫から言って自殺ではなく他殺であるとした。しかし、警察は刑務所内で誰かが殺害したという証拠はないとして自殺を主張した。 そして、さいごに誠に残念なことは、三浦氏の冤罪を舗道に立って運動してきた娘のHさんが30歳で自死されたということである。その事情は謎のままである。 しかし、この本と出逢えたことは本当に良かったと思う。
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