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多くの著名事件を手がけ「無罪請負人」の異名を取る辣腕弁護士が、日本の刑事司法の問題や特捜検察の腐敗ぶり、世論を真実から遠ざけるメディアの問題点などを提起する。
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Posted by ブクログ
とある方にお勧め頂き本書を手に取る。 弘中弁護士とは、厚生労働省の官僚だった村木厚子さんの「郵便不正事件」はじめ、三浦和義氏の「ロス疑惑」他、カルロスゴーン氏、小沢一郎氏、鈴木宗男氏、堀江貴文氏等の弁護人として著名である。 誰しも聞いたことがあるような事件であるが、それらの事件における検察側と弁護側...続きを読むの泥臭いやりとりの数々。 読んでいて気分が悪くないような、国策捜査の背景やマスコミによる決めつけ・印象操作の実態。 世の中は決して綺麗事ではないということを改めて考えさせられる一冊。 『事件を日常的な感覚で事実関係を丁寧に見ていくと、犯罪とみなされた行為も私たちの日常と地続きの場合が少なくない。 警察が摘発し、マスコミが「悪い」と決めつけるから、「悪くなる」のであり、普通に暮らしているときの価値観からすると、いろいろあるのではないか』 ・・・第五章 刑事司法の現実より
一度は聞いた事ある有名な事件に関与されてきた中で、一般には知られない検察の実情や弁護士からの視点など、とてもリアルな話が面白かったです。
弘中氏の記述をそのままは信じられないけれど 反対側の記述ばかり見てきたから混乱する 両方知っておきたい
衝撃的だなー。正義はどこにあるのだ。国策捜査は冤罪の温床だと!?(((( ;゚Д゚))) P79 その意味で刑事事件では、当人がそれまで送ってきた全人生、人間性のすべてが試される P85 国策捜査とは検察、なかでも得喪検察が、ある政治的意図や世論を動かすために進める捜査を指す。たまたま犯罪があ...続きを読むることが発覚したので犯人を逮捕・起訴するのではなく、何かの理由をつけて特定の人物を逮捕・起訴することを前提にすすめるのである。このため、恣意的な法律の適用や権力乱用的な操作を招きやすく、冤罪の温床となりうる。標的は政治家に限らない。官僚、経済人、学者、弁護士など、社会の中枢に位置する人物が対象となる。 P107 検察側が作成した調書に署名しなければ返してもらえなかった。「この場で一応サインして、法廷でいいたいことを話せばいい」と言いくるめられ、最後は疲れ果ててサインするーーーこれまでの冤罪事件と構図は同じである。
カルロス・ゴーン氏逃亡により一気に注目を浴びている弘中弁護士による著書。ゴーンで悪いイメージがついてしまったけれど、この方は正しい弁護活動をしてらっしゃってきた。村木さんはその代表例。ゴーン逃亡で落ちた印象が世間にはあるだろう、が、この著を読むと、この人が根底に持つ信念がよくわかり、この人のぶれない...続きを読む魂は尊いもので、このような弁護士がいることで世の不正は正されるのだろうと思う。彼の主張は一貫しているし、そもそも謙虚だ。無罪請負人と呼ばれることに違和感を感じていて、すべての事件で無罪を目標にできるわけではないと現実的で、ケースによって何が何でも無罪獲得というものでもない。無罪獲得の数を競うものでもない。彼は依頼人とよく話して、この人は真実を話している、そう思ったときに依頼を引き受ける。嘘をつかない、人を陥れない、というごく普通のことを掲げている。が、その普通のことが普通に行われないのが刑事事件における検察のやり方で、彼はここに異議を唱える。この著に出てくる話は彼の実体験ではあるものの、彼の視点でしか語られていないため、検察側の主張を聞く必要があるが、彼のような検察に鋭く対峙する弁護士は必要であるしがんばってほしいと思う。シンプルに、この先生は、人間として信頼できる、と思った。また、刑事事件は真相究明が目的ではない。被告を処罰するかどうかと言う証拠集めをする。一人の人間がターゲットとなり裁いて解決するケースがどれほどあるか。仕組みを改良するという選択肢がない矛盾を指摘し、気づかせてくれた。これから刑事事件が起きた時、それはそもそも一人の人間の問題か、という目線で見ることができるようになったのが、この本での学びである。 また、誠実に、強く生きること。万が一自分が冤罪に巻き込まれ拘束されるようなことがあったとしても、検察のストーリーを否定し続ける気力と勇気を持つこと。それには周りのサポートが欠かせない。一人で戦っていると心が折れる。サポートが得られる人というのは、それまでの生き方に嘘がなく、いろんな人がサポートをくれる人だ。いざという時助けてくれる人がいるかどうか。自分を振り返った。 ただ一方で、やはりゴーン逃亡のインパクトは大きい。ゴーンが逃亡した今、弘中氏のいくつかのコメントに、著者はどう思うんだろう。 ・「無罪判決を得るには、弁護士が無罪を確信出来るかどうか。少しでも疑問を持てば事件を新たな角度から見たり有利な証拠を探したりする意欲がなくなる。」…著者はゴーンの無罪を確信して弁護の仕事を受けたのだろう。逃げたゴーンに今何と思うか。 ・「逃亡すること合理的に推測する出来るケースは稀ふ」…その稀な逃亡をしたゴーンに何を思う…
圧巻の内容であった。 刑事弁護についてはもちろん、この国の歪みについて深く考えさせられる一冊だった。 時間がない人は第5章だけでも読むことをオススメしたい。この国でどうやって生きていくのがよいのか、他国との比較など、実務に基づく深い知見が凝縮されている。 個人的に特に次のものは印象深い。小沢氏陸山...続きを読む会事件の石川議員女性秘書が検察に呼び出され10時間以上拘束し、夜になって「保育園に預けた子供の迎えに行かなければならない、せめて夫に連絡をさせてほしい」と懇願しても、検察官が「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」と迫った…との検察の取り調べの方法を述べている箇所に、身震いした。
素晴らしい本だと思った。当たり前のように、ニュースや、新聞に書かれている事が事実だと思い、無罪判決が出ても、本当は悪い事したのに、いい弁護士に、無罪にしてもらったみたいな感じで、ニュースを見ている人がたくさんいると思う。 無罪判決の重み、マスコミの恐ろしさ、権力との戦いを詳細に分かりやすく書いている...続きを読む。
郵便不正事件、小沢一郎と鈴木宗男、ロス疑惑事件と薬害エイズ事件、これらの事件の被告弁護人をつとめたのが著者。 これらの事件のうち第1の事件だけは、完全に検察のチョンボであったが、その他の事件は、起訴された当時はさんざんの疑惑報道ばかりだったので、そうかもしれないと思わされ、とはいうもののモヤモヤの...続きを読む状況になってきて、そのうちに報道もなくなって忘れられて・・・結局どうだったのか? というのが自分の認識でした。 本書を読むと、これらの事件すべてにおいて被告は無罪であるとしか言い様がなく、検察やマスコミの非道に憤りを感じられずにいませんでした。 とかく検察は非常に強力な権力を持っているので、その暴走を許してはいけない。これらの事件に対して自分と同じような認識しか抱いていない人には是非読んでもらいたい本でした。 (2014/7/7)
○弁護士の弘中氏の著作。 ○村木事件や小沢陸山会事件など、数々の刑事事件の弁護を担当した著者による、刑事裁判の真実について、検察の捜査や取り調べの実態を通じて明らかにしたもの。また、弁護士の職域の拡大に伴う副作用やマスメディアを中心とする「つるし上げ」社会について警鐘を鳴らしている。 ○著者の経歴や...続きを読む有名事件ばかりを担当していることから、「目立ちたがり屋」という偏見を持っていたが、それが間違っていることに気づき、恥ずかしい。著者の弁護士としての真摯な仕事ぶりや取り組み方、全体を見通す姿勢は、(本書だけで判断するのは早計だが)尊敬に値するもの。 ○数々の事件をみると、いつ自分も「無実の罪」に問われるか分からないし、マスコミや世間から「悪者」にされるかが分からないという現実に、恐怖を覚える。そんなときに、自分の見方になってくれる弁護士が身近にいるのかも不安だ。(小沢事件やロス疑惑、ミドリ十字事件などは、自分もマスコミと同じく、「悪者」のイメージを持っていた。) ○本書では、様々な提言もなされており、一般市民としても、読む価値がある。取り調べの可視化や司法取引の解禁などは現実にも実現しつつあるが、さらなる司法改革、刑事裁判、検察行政の改革を望みたい。
被告人の利益を護ることだけを考える。弘中先生のおっしゃる「正義」というものがよくわかった。知識も能力も経験も,何一つ弘中先生に勝てるところはないけれど,せめて刑事弁護についての「気持ち」は負けたらあかんなと思いました。修習生時代に教官から言われた「刑弁魂」という言葉を思い出しました。
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