【感想・ネタバレ】無罪請負人 刑事弁護とは何か?のレビュー

あらすじ

多くの著名事件を手がけ「無罪請負人」の異名を取る辣腕弁護士が、日本の刑事司法の問題や特捜検察の腐敗ぶり、世論を真実から遠ざけるメディアの問題点などを提起する。

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Posted by ブクログ

とある方にお勧め頂き本書を手に取る。
弘中弁護士とは、厚生労働省の官僚だった村木厚子さんの「郵便不正事件」はじめ、三浦和義氏の「ロス疑惑」他、カルロスゴーン氏、小沢一郎氏、鈴木宗男氏、堀江貴文氏等の弁護人として著名である。
誰しも聞いたことがあるような事件であるが、それらの事件における検察側と弁護側の泥臭いやりとりの数々。
読んでいて気分が悪くないような、国策捜査の背景やマスコミによる決めつけ・印象操作の実態。
世の中は決して綺麗事ではないということを改めて考えさせられる一冊。


『事件を日常的な感覚で事実関係を丁寧に見ていくと、犯罪とみなされた行為も私たちの日常と地続きの場合が少なくない。
警察が摘発し、マスコミが「悪い」と決めつけるから、「悪くなる」のであり、普通に暮らしているときの価値観からすると、いろいろあるのではないか』
    ・・・第五章 刑事司法の現実より

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

一度は聞いた事ある有名な事件に関与されてきた中で、一般には知られない検察の実情や弁護士からの視点など、とてもリアルな話が面白かったです。

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2024年07月27日

Posted by ブクログ

弘中氏の記述をそのままは信じられないけれど
反対側の記述ばかり見てきたから混乱する
両方知っておきたい

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2022年01月23日

Posted by ブクログ

衝撃的だなー。正義はどこにあるのだ。国策捜査は冤罪の温床だと!?(((( ;゚Д゚)))

P79 その意味で刑事事件では、当人がそれまで送ってきた全人生、人間性のすべてが試される

P85 国策捜査とは検察、なかでも得喪検察が、ある政治的意図や世論を動かすために進める捜査を指す。たまたま犯罪があることが発覚したので犯人を逮捕・起訴するのではなく、何かの理由をつけて特定の人物を逮捕・起訴することを前提にすすめるのである。このため、恣意的な法律の適用や権力乱用的な操作を招きやすく、冤罪の温床となりうる。標的は政治家に限らない。官僚、経済人、学者、弁護士など、社会の中枢に位置する人物が対象となる。

P107 検察側が作成した調書に署名しなければ返してもらえなかった。「この場で一応サインして、法廷でいいたいことを話せばいい」と言いくるめられ、最後は疲れ果ててサインするーーーこれまでの冤罪事件と構図は同じである。

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2020年02月16日

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カルロス・ゴーン氏逃亡により一気に注目を浴びている弘中弁護士による著書。ゴーンで悪いイメージがついてしまったけれど、この方は正しい弁護活動をしてらっしゃってきた。村木さんはその代表例。ゴーン逃亡で落ちた印象が世間にはあるだろう、が、この著を読むと、この人が根底に持つ信念がよくわかり、この人のぶれない魂は尊いもので、このような弁護士がいることで世の不正は正されるのだろうと思う。彼の主張は一貫しているし、そもそも謙虚だ。無罪請負人と呼ばれることに違和感を感じていて、すべての事件で無罪を目標にできるわけではないと現実的で、ケースによって何が何でも無罪獲得というものでもない。無罪獲得の数を競うものでもない。彼は依頼人とよく話して、この人は真実を話している、そう思ったときに依頼を引き受ける。嘘をつかない、人を陥れない、というごく普通のことを掲げている。が、その普通のことが普通に行われないのが刑事事件における検察のやり方で、彼はここに異議を唱える。この著に出てくる話は彼の実体験ではあるものの、彼の視点でしか語られていないため、検察側の主張を聞く必要があるが、彼のような検察に鋭く対峙する弁護士は必要であるしがんばってほしいと思う。シンプルに、この先生は、人間として信頼できる、と思った。また、刑事事件は真相究明が目的ではない。被告を処罰するかどうかと言う証拠集めをする。一人の人間がターゲットとなり裁いて解決するケースがどれほどあるか。仕組みを改良するという選択肢がない矛盾を指摘し、気づかせてくれた。これから刑事事件が起きた時、それはそもそも一人の人間の問題か、という目線で見ることができるようになったのが、この本での学びである。
また、誠実に、強く生きること。万が一自分が冤罪に巻き込まれ拘束されるようなことがあったとしても、検察のストーリーを否定し続ける気力と勇気を持つこと。それには周りのサポートが欠かせない。一人で戦っていると心が折れる。サポートが得られる人というのは、それまでの生き方に嘘がなく、いろんな人がサポートをくれる人だ。いざという時助けてくれる人がいるかどうか。自分を振り返った。

ただ一方で、やはりゴーン逃亡のインパクトは大きい。ゴーンが逃亡した今、弘中氏のいくつかのコメントに、著者はどう思うんだろう。
・「無罪判決を得るには、弁護士が無罪を確信出来るかどうか。少しでも疑問を持てば事件を新たな角度から見たり有利な証拠を探したりする意欲がなくなる。」…著者はゴーンの無罪を確信して弁護の仕事を受けたのだろう。逃げたゴーンに今何と思うか。
・「逃亡すること合理的に推測する出来るケースは稀ふ」…その稀な逃亡をしたゴーンに何を思う…

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2020年02月08日

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圧巻の内容であった。
刑事弁護についてはもちろん、この国の歪みについて深く考えさせられる一冊だった。
時間がない人は第5章だけでも読むことをオススメしたい。この国でどうやって生きていくのがよいのか、他国との比較など、実務に基づく深い知見が凝縮されている。

個人的に特に次のものは印象深い。小沢氏陸山会事件の石川議員女性秘書が検察に呼び出され10時間以上拘束し、夜になって「保育園に預けた子供の迎えに行かなければならない、せめて夫に連絡をさせてほしい」と懇願しても、検察官が「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」と迫った…との検察の取り調べの方法を述べている箇所に、身震いした。

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2019年12月17日

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素晴らしい本だと思った。当たり前のように、ニュースや、新聞に書かれている事が事実だと思い、無罪判決が出ても、本当は悪い事したのに、いい弁護士に、無罪にしてもらったみたいな感じで、ニュースを見ている人がたくさんいると思う。
無罪判決の重み、マスコミの恐ろしさ、権力との戦いを詳細に分かりやすく書いている

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2016年08月21日

Posted by ブクログ

郵便不正事件、小沢一郎と鈴木宗男、ロス疑惑事件と薬害エイズ事件、これらの事件の被告弁護人をつとめたのが著者。

これらの事件のうち第1の事件だけは、完全に検察のチョンボであったが、その他の事件は、起訴された当時はさんざんの疑惑報道ばかりだったので、そうかもしれないと思わされ、とはいうもののモヤモヤの状況になってきて、そのうちに報道もなくなって忘れられて・・・結局どうだったのか? というのが自分の認識でした。

本書を読むと、これらの事件すべてにおいて被告は無罪であるとしか言い様がなく、検察やマスコミの非道に憤りを感じられずにいませんでした。

とかく検察は非常に強力な権力を持っているので、その暴走を許してはいけない。これらの事件に対して自分と同じような認識しか抱いていない人には是非読んでもらいたい本でした。




(2014/7/7)

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2014年08月10日

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○弁護士の弘中氏の著作。
○村木事件や小沢陸山会事件など、数々の刑事事件の弁護を担当した著者による、刑事裁判の真実について、検察の捜査や取り調べの実態を通じて明らかにしたもの。また、弁護士の職域の拡大に伴う副作用やマスメディアを中心とする「つるし上げ」社会について警鐘を鳴らしている。
○著者の経歴や有名事件ばかりを担当していることから、「目立ちたがり屋」という偏見を持っていたが、それが間違っていることに気づき、恥ずかしい。著者の弁護士としての真摯な仕事ぶりや取り組み方、全体を見通す姿勢は、(本書だけで判断するのは早計だが)尊敬に値するもの。
○数々の事件をみると、いつ自分も「無実の罪」に問われるか分からないし、マスコミや世間から「悪者」にされるかが分からないという現実に、恐怖を覚える。そんなときに、自分の見方になってくれる弁護士が身近にいるのかも不安だ。(小沢事件やロス疑惑、ミドリ十字事件などは、自分もマスコミと同じく、「悪者」のイメージを持っていた。)
○本書では、様々な提言もなされており、一般市民としても、読む価値がある。取り調べの可視化や司法取引の解禁などは現実にも実現しつつあるが、さらなる司法改革、刑事裁判、検察行政の改革を望みたい。

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2014年07月09日

Posted by ブクログ

被告人の利益を護ることだけを考える。弘中先生のおっしゃる「正義」というものがよくわかった。知識も能力も経験も,何一つ弘中先生に勝てるところはないけれど,せめて刑事弁護についての「気持ち」は負けたらあかんなと思いました。修習生時代に教官から言われた「刑弁魂」という言葉を思い出しました。

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2014年05月24日

Posted by ブクログ

カルロス・ゴーンの弁護人としてテレビで取り上げられ、
「そんなに有名な人なの?」と気になっていた。
ネットで調べてみると、なんと郵便不正事件や陸山会事件など、テレビで連日報道されていたあの刑事裁判の弁護人ではないか。
無罪請負人なんて、この人は一体どんな弁護活動をする人なのかと、無知のまま本書を読んでみたけれど、
真実を追い求め複雑な権力構造に立ち向かう姿に
なんと気骨がある人なのだろう、と心打たれた。
現場主義を貫き、仮説の実証や証拠集めのため奔走する姿は泥臭く、まるでジャーナリストのようで、
記者会見やニュース番組で流暢に解説する姿からはとても想像つかない。

本書では、弘中さんが担当した事件を基軸に、
事件の背景にある刑事裁判の問題点や国家権力の不正・不当について述べられている。
テレビで刑事裁判の報道を見ても、
「どちらが正しい・悪いのか」という二元論で物事を見がちで、その事件が権力にどう利用されてきたのか、その利用目的は何なのか、なんてことは考えない。
だけど、刑事事件の中には、その時の歴史的背景やなんらかの社会体制の転覆を狙って「刑事事件化」されているものがある。
検察によって作られたストーリー、隠滅させられる証拠、司法の現場は歪められ利用されていることを、
私のような一般人も知っておいた方が良いのだろうと思う。
刑事事件において弁護人が立たされる不利な立場、
さまざまな組織、人間の立場や利益に目を向けることが、情報の受け取り手として最低限必要なことなのだろう。

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

筆者の弘中惇一郎氏は弁護士。著名な刑事事件の弁護を多く担当。例えば、ロス疑惑の三浦和義氏、厚生労働省官僚の村木厚子さん、小沢一郎・鈴木宗男といった政治家、薬害エイズ事件の安倍英氏、ライブドア事件の堀江貴文氏、等、枚挙にいとまがない。このうちのいくつかの事件で、無罪を勝ち取ったので、「無罪請負人」と呼ばれ、それが本書の題名にもなっている。
本書では、それらの個々の事件の紹介もされており、それはそれでとても面白い物語であるが、一番興味をひかれたのは、日本の刑事司法の後進性について筆者が紹介している部分である。
2013年の話なので、かなり前のことであるが、国連で「日本の刑事司法は中世に近い」との指摘を受けたというエピソードが紹介されている。実際に筆者から見ても、日本の刑事司法の現実は前近代的であり、国際基準に照らしても相当に遅れていることは確かであるらしい。どういったところが前近代的なのかは、個々の事件と関連づけて本書の中で紹介されている。例えば、取り調べに弁護士の立ち合いが許されていない、自白主義、実質的に無制限で検察側の恣意的なコントロールの利く拘留期間、等である。これらの話を読むと、冤罪事件が起こっても全然不思議ではないなと思うし、実際に冤罪が起きるメカニズムも紹介されている。
本書で筆者が問題提起していることは、おそらく、随分と以前から多くの弁護士から指摘されていることだと思うのだが、そういったことが変わらない、あるいは、変わる兆しすら見えないこと自体が「中世的」なのだろうと感じた。

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

多分に筆者の反体制のイデオロギーが反映されているが、
多くは納得できることであり、検察への権力集中という構造的な問題や、人質司法、検察の誘導脅迫による自白を元にした供述調書偏重主義など、日本の司法制度の闇が理解できる。

こういった構造的な歪みを問題視することも重要だし,もっと身近な問題に置き換えて理解するのも重要だと思う。

たとえば、検察がマスコミと手を組んで、被疑者の段階である罪を確定的に報道することで、民意をコントロールできる。そしてマスコミの悪意のある報道に飲まれた国民もその人物を叩き始める。

この構造はいじめの構造と同じである。
自分と違う他者を規程し,バッシングをしまくる。
いじめも単純な悪意以外に、自分以外のものに対する嫌悪や、何か嫌なことをされた人を罰するという正義感から始まっていることも多く、構造が同じ。

つまり日本人はいじめをする社会体質個人体質があり、
個人体質だけでいじめ問題を議論しても意味がなく、もっと構造的な根深いことであろうと思う。

それは日本人のリテラシーの低さ、思考力の低さ,問題意識の低さ、それに伴う感情優先の判断が原因となっていると思った。

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2022年02月27日

Posted by ブクログ

今の人間社会において「法」というものが存在する中、「法学」については、固く陰険で、警察・検察の右向け右・これがルールだ的な秩序思想がどうも苦手で...、目をそらしてました。

そんな中、本書は「法」に堂々と向き合いつつ信念にブレが無いと感じた。検察、すなわち国家権力の不正・不当に明確な異議を唱えている。
(犯罪者を弁護するわけではないが)刑事立件されたら一般人は勝てる訳がないルールなのが本当によく分かり、腹が立つ。供述での弁護士立ち合いと可視化、こんな当たり前のことが実現されない現実に悲しくなってくる...。

しかし何といってもやるべきことは目を背けず知っていく努力をすることだろう。「次は我が身」の可能性は”ある”のだから...。

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2020年04月04日

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ゴーンハズゴーンで有名な弘中弁護士。
この本はその事件に関わる前の著述。
書いてあることはいちいち納得。
裁判所は酷いが、やっぱり検察がひどい。
何時もではないと思う。やっぱり有罪率90%以上は、綿密な事前捜査に基づくものなんだろううが、所詮は官僚組織、上部組織の見込み違いが修正できない。
裁判は真実を争うところではなく、証拠の正否を争うゲームだってのは判るが、官僚組織が無辜の市民を、圧倒的な有利な条件の下でゲームを仕掛けて有罪にして、何が残るのか。

怖いわ。

ただ、国策調査って言葉は引っかかる。国ではなく、検察でないの?

で、この後ゴーンさんの事件でああなってしまったわけだが、それについての著書をぜひ書いて欲しいと思っている。

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2020年04月04日

Posted by ブクログ

優秀な人は自分の先入観に自覚的だ、と思った。
弘中弁護士から見た、安田弁護士や中坊公平に関する記述もとても面白かった。

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2016年07月25日

Posted by ブクログ

「弁護士には情報収集の力や論理的な思考力がもちろん求められるが、それとともに欠かせないのは、想像力と想像力だ。目の前にあるものだけでなく、事件全体をイメージして「何が足りないか」を常に考えなくてはいけない。」(136頁)

「おそらく人々は「かわいそうな被害者」を引き受けたくないのだと思う。被害者に同情を寄せながら、ではその被害者を自分たちが受け入れるかといえば、それはしないのだ。被害の原因・責任の追及、制度改善に向けた努力など、その被害の全体を社会で引き受けること避け、「悪者」を叩くことを自分たちを免責する。それ以上、被害の本質に近づかなくてすむ言い訳を自分にできるよう「悪者叩き」を繰り返すのだと思う。」(243頁)

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2016年03月26日

Posted by ブクログ

郵政不正事件。一般には厚生労働官僚の村木厚子氏が冤罪に陥れられた事件を指す。もとは郵便割引制度を悪用した罰金刑レベルの事件。手柄を焦る大阪地検特捜部が政官に及ぶ大事件にしようと関係者の供述をでっちあげ、あろうことか、重要証拠書類であるフロッピーを検察官が改ざんしていたというもの。有罪率99。9%、日本最強の捜査機関。裁判では完全無罪を出さない不敗神話さえ謳われていた検察の信頼を地に貶めた事件である。ドキュメンタリーなのに、さながら心躍る勧善懲悪劇。水戸黄門を見るような爽快感があった。とりわけ村木さんの言葉には泣いた。「私にとって犯罪者にされるかどうか、ゼロか百かの大問題。公務員として30年間やってきたことの信用を全て失うかどうかの問題。」保釈という甘い餌の誘惑に負けた公務員が続出する中で一貫して容疑を否認し、自白調書を一本も作らせなかった。起訴されても執行猶予がつくからとの検察の甘言に最後まで揺るがなかった。見事なまでの信念にただただ敬服するばかり。
小沢陸山会事件、ロス疑惑三浦事件、薬害エイズ安倍事件を通して日本の刑事司法の現実を炙り出す。人を有罪にするための仕組みはますます巧妙化される一方、救出する仕組みはほとんど整っていない。代用監獄、自白の強要、独房への監禁、死刑・・・・・警察・検察の力はあまりに強大すぎる。

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2015年12月21日

Posted by ブクログ

弁護士として活動されて45年を振り返りまとめられた本である。
序章 刑事弁護とい仕事
第1章 無罪判決まで ― 郵政不正事件
第2章 国策捜査の罠 ― 小沢一郎と鈴木宗男
第3章 メディアとの攻防 ― 薬害エイズ事件とロス
               疑惑事件
第4章 弁護士が権力と手を結ぶとき
第5章 刑事司法の現実

という内容である。
権力が束になって弱い者いじめ、また、マスゴミも同調。そのような日本の刑事司法に独特な感覚で立ち向かう弘中惇一郎氏。
不勉強で、知らなかった事実、法の適用の仕方。
勉強になりました。 

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2015年11月08日

Posted by ブクログ

特捜部による捜査の酷さを説く。
厚生労働省 村木事件、小沢 陸山会事件 などの内情
最も興味を持ったのは、池田弁護士(オウム弁護を担当)の逮捕についてRCCの中坊公平に質問状を送ったこと。
弁護士が権力と結託する危険性に警鐘を鳴らしている。

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2015年09月13日

Posted by ブクログ

冤罪、国策捜査、検察のストーリーに沿った供述の強要、自白するまで保釈しない人質司法等々、刑事弁護の経験豊富な著者による検察や司法制度に関する批判の数々。そして、こういうことは決して他人事ではないと著者は警告する。
確かに、こういう事例を並べられると、検察は怖い、日本の刑事司法はめちゃくちゃだという気にさせられるが、他方、犯罪が裁かれ、これにより社会に秩序がもたらされていることも事実であり、これに関する評価は本書には書かれていないが、そういう事実も踏まえて本書を読む必要があるだろう。
たしかに、検察に不利な供述調書の隠蔽のように、冤罪を生みかねない行動はよくないが、かといって、検察官は国家権力と大勢の人員を使っていて、徒手空拳の弁護人と対峙するのは不公平という主張は正しいのだろうか。立証責任は検察官にあり、疑わしきは罰せずとの原則によれば、検察官の方が有利とは一概には言えないように思える。
それはともかく、記憶に新しく、生々しい事例が多いので、ドキュメントとしても面白く読めることは間違いない。

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2014年07月03日

Posted by ブクログ

政治家、官僚のお家芸の記憶にございません。はあれど、手帳に自分の予定を記録しておくのも自分を守るの必要なんですね。

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2022年08月30日

Posted by ブクログ

厚生労働省・村木事件、ロス疑惑三浦事件、小沢一郎氏の弁護等著者の弘中氏の語りくぐさわよくわかるけろども、この国日本の司法がこれほど病んでいるとは・・・。
検察の行政はもう、無きに等しい。なら、弁護士、判事は何を基本に判断しているのか。
この本に書かれている通りの司法であるならこの国は終わりだ。テレビ等に出ている「元東京地検特捜部」の奴らイイカゲンニしろ。

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2014年09月03日

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