アリストテレスのレビュー一覧
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上巻では人柄に関す徳の話が続いたが、
下巻では下記の内容でバラエティに富んでいる。
6章「知的な徳」7章「欲望の問題」
8~9章「愛について」10章「幸福論の結論」
6章では魂自身の性向として
「技術」「学問的知識」「思慮深さ」「知恵」「知性」
の五つの性向に分けてそれぞれ解説している。
正しい行動のためには「思慮深さ」が必要だが、
「思慮深さ」は全てを支配下に置くわけではなく、
各々の性向は別物であるという結論を出している。
7章では抑制のなさと快楽を追及して、
抑制の無い人の快楽には苦痛が伴うが、
美しいものを愛したり、立派な行動をしたり、
という快楽には苦痛が伴わないと結論を出してい -
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アリストテレス先生「幸せって何だっけ」の巻
「幸せとは何か?」というテーマの講義だが、
早々に「徳に基づいた魂の活動」と結論を出している。
徳とはある性向における中間性のことであるとし、
例えば「勇気」なら超過すると「向こう見ず」になり、
不足すると「臆病」中間が「勇気」であるとしている。
「向こう見ず」は勇気に似ているが、
必要の無い時は勇敢に振る舞い、
本当に恐ろしいものに耐えられない。
「勇気」は普段は穏やかだが、
必要な時は恐れるべきものにも立ち向かう。
「臆病」は恐れる必要の無いものでも恐れる。
このように様々な性向に関して検証していっている。 -
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アリストテレスの説明の仕方は、当時の文化、価値観に即したものであるが、読んでいくと、「現代と一緒じゃん」となる価値観がほとんどだ。「人は愛するよりも愛されることの方が嬉しいと思っている」とか「友人こそ最も重要である」とか。
「もっとも」と言う単語を多用しすぎている気がしていて、何が最も(1番)大切なのかが明確になっていない。加えて、少し説明が細かすぎて冗長でもある。本書は哲学本と言うよりは自己啓発本に近いのかなと感じており、もし哲学本だとするならば、相当読みやすいなと感じた。
「アリストテレスもそう言ってた」という引用の仕方で、自分の主張の正しさを補強するのもありなのかもしれない。 -
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創作に関する世界最古のハウツー本。本書はアリストテレスが、古代ギリシア悲劇を定義したうえで、ホメロスやギリシア悲劇を分析して、そこから詩作においてポイントとなる要素を抽出する。特に第6章「悲劇とは、真面目の行為の、それも一定の大きさを持ちながら完結した行為の模倣であり、作品の部分ごとに別々の種類の快く響く言葉を用いて、叙述して伝えるのではなく演じる仕方により、憐れみと怖れを通じ、そうした諸感情からカタルシス(浄化)をなし遂げるものである」(p50)は、詩学に限らず、あらゆるストーリーに当てはまる普遍的な要素ではないだろうか。人間とは生まれた時代に関わらず、感情を持つ生き物であり、それを揺さぶ
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ネタバレ国家とはどういうもので何を目指しているのか、そして最高の国家とはどういうものか、先人の見解も紹介しつつ考察していく本。
国家を「人が善く生きることを目指す共同体」と位置付けて、その発生過程や基礎となる家庭の運営について考えるところからはじめ、プラトンなど先人の国家観を検討・批判する。そして国家を構成する市民を「任期の限られない仕方で公職に就ける人々」として細かく検討し、さらに国制を「どのような人々が権力を持つか」に着目して王制・貴族制・共和制・独裁制・寡頭制・民主制の6種類に分ける。当時初期の小規模国家の体制ととらえられていたらしい王政について考察してから、現実的に成立できそうな中での最高の国 -
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ネタバレ上巻は「人柄の徳」の説明で終わったが、下巻はもう一つの徳「知的な徳」の分類と説明から始まる。そして幸福と善に関連して愛や快楽の問題に取り組み、観想的な生活を称揚する結論で終わる。
「究極の目的はそれぞれの事柄を理論的に考察して認識することではなく、むしろそれらの事柄を実践することなのである」とアリストテレスが述べているとおり、あくまで徳を実践することにこだわった内容になっていてすごく地に足がついている感じ。この印象は下巻でも一貫していた。しかし徳を身につける方法は全くお手軽なものではなく、幼少から習慣にして地道にコツコツ頑張るしかないというもので、自己啓発的な読み方を寄せ付けないところがある。 -
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ネタバレさすが光文社の古典新訳、とても読みやすくて解説も丁寧で助かった。
アリストテレスは最高の善=幸福とは何か、と問いを立て、「徳に基づく魂の活動(徳を身につけ、優れた活動を行うこと)」と定義する。さらにそこから、徳とは何か、という問題に入っていくのである。徳を「知的な徳」と「人柄の徳」に二分し、「人柄の徳」を習慣によって身につく「中間性を示す選択を生む性向」であると定義して、実際の個々の徳がどんなふうに「中間性」を示しているのか考察していく(例えば、勇気は臆病と向こう見ずの中間である)ところまでが上巻。
相変わらずひたすら分類と考察を繰り返していくことに終始していて、アリストテレスって感じがする。 -
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ネタバレ「悲劇(叙事詩)はどのようなもので、どんなストーリーが素晴らしいのか、どう作ればいいのか」を説いたアリストテレスの創作論みたいな話。訳が分かりやすくて、ホメロスやギリシア悲劇全集、プラトンを読んでいたのもあって前に読んだ「心とは何か」より格段に楽な読書だった。さらに解説がものすごく充実していて至れり尽くせりといった感じ。プラトンの詩人追放論との対比や、カタルシスの解釈の解説が特にありがたかった。
「悲劇とは、真面目な行為の、それも一定の大きさを持ちながら完結した行為の模倣であり、作品の部分事に別々の種類の快く響く言葉を用いて、叙述して伝えるのではなく演じる仕方により、憐れみと恐れを通じ、そう -
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のっけから、悲劇や喜劇を作ること(すなわち詩作)は総じて「模倣」である、とくる。模倣?訳注によれば、ストーリーの中で登場人物の行為を描くことは、言葉を駆使して行為を真似ること、すなわち模倣だと。ちなみに絵を描くのもアリストテレスにとっては模倣であるらしい。人は模倣が好きなのだと。言われてみればそんなものかとも思うが、現代人とはすこし違う観念を持ったひとが書いていることがよく分か
そんな違う観念を持ったアリストテレスであるが、丁寧に理詰めで論じていくので、訳注の助けもあり十分に読み進められる。そのうち、その理詰めぶりがなんだかおかしくなってくる。例えば、大きすぎて視野に収められないような生き物