アリストテレスのレビュー一覧
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ネタバレ国家とはどういうもので何を目指しているのか、そして最高の国家とはどういうものか、先人の見解も紹介しつつ考察していく本。
国家を「人が善く生きることを目指す共同体」と位置付けて、その発生過程や基礎となる家庭の運営について考えるところからはじめ、プラトンなど先人の国家観を検討・批判する。そして国家を構成する市民を「任期の限られない仕方で公職に就ける人々」として細かく検討し、さらに国制を「どのような人々が権力を持つか」に着目して王制・貴族制・共和制・独裁制・寡頭制・民主制の6種類に分ける。当時初期の小規模国家の体制ととらえられていたらしい王政について考察してから、現実的に成立できそうな中での最高の国 -
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ネタバレ上巻は「人柄の徳」の説明で終わったが、下巻はもう一つの徳「知的な徳」の分類と説明から始まる。そして幸福と善に関連して愛や快楽の問題に取り組み、観想的な生活を称揚する結論で終わる。
「究極の目的はそれぞれの事柄を理論的に考察して認識することではなく、むしろそれらの事柄を実践することなのである」とアリストテレスが述べているとおり、あくまで徳を実践することにこだわった内容になっていてすごく地に足がついている感じ。この印象は下巻でも一貫していた。しかし徳を身につける方法は全くお手軽なものではなく、幼少から習慣にして地道にコツコツ頑張るしかないというもので、自己啓発的な読み方を寄せ付けないところがある。 -
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ネタバレさすが光文社の古典新訳、とても読みやすくて解説も丁寧で助かった。
アリストテレスは最高の善=幸福とは何か、と問いを立て、「徳に基づく魂の活動(徳を身につけ、優れた活動を行うこと)」と定義する。さらにそこから、徳とは何か、という問題に入っていくのである。徳を「知的な徳」と「人柄の徳」に二分し、「人柄の徳」を習慣によって身につく「中間性を示す選択を生む性向」であると定義して、実際の個々の徳がどんなふうに「中間性」を示しているのか考察していく(例えば、勇気は臆病と向こう見ずの中間である)ところまでが上巻。
相変わらずひたすら分類と考察を繰り返していくことに終始していて、アリストテレスって感じがする。 -
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ネタバレ「悲劇(叙事詩)はどのようなもので、どんなストーリーが素晴らしいのか、どう作ればいいのか」を説いたアリストテレスの創作論みたいな話。訳が分かりやすくて、ホメロスやギリシア悲劇全集、プラトンを読んでいたのもあって前に読んだ「心とは何か」より格段に楽な読書だった。さらに解説がものすごく充実していて至れり尽くせりといった感じ。プラトンの詩人追放論との対比や、カタルシスの解釈の解説が特にありがたかった。
「悲劇とは、真面目な行為の、それも一定の大きさを持ちながら完結した行為の模倣であり、作品の部分事に別々の種類の快く響く言葉を用いて、叙述して伝えるのではなく演じる仕方により、憐れみと恐れを通じ、そう -
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のっけから、悲劇や喜劇を作ること(すなわち詩作)は総じて「模倣」である、とくる。模倣?訳注によれば、ストーリーの中で登場人物の行為を描くことは、言葉を駆使して行為を真似ること、すなわち模倣だと。ちなみに絵を描くのもアリストテレスにとっては模倣であるらしい。人は模倣が好きなのだと。言われてみればそんなものかとも思うが、現代人とはすこし違う観念を持ったひとが書いていることがよく分か
そんな違う観念を持ったアリストテレスであるが、丁寧に理詰めで論じていくので、訳注の助けもあり十分に読み進められる。そのうち、その理詰めぶりがなんだかおかしくなってくる。例えば、大きすぎて視野に収められないような生き物 -
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詩作について論じた古代ギリシャの哲学者アリストテレスの著作。文芸論・物語論・演劇論の起源とされている。
本書の特徴として自分が理解したのは、
1.ストーリーの創作論
2.西洋における芸術論の古典
3.アリストテレスの哲学体系の一部をなす著作
→後世の芸術家に与えた影響が絶大
ということなのだが……
正直、難解で大半は理解できなかった。見事に撃沈……。
説明に用いられている古代ギリシア作品は現存しないものも多く、意味が通じにくい。なにぶん古い著作ゆえ、原文の欠損も多い。よくわからないところ、読んでも自分には意味がないと思われるところはかなり読み飛ばした。本書の半分は訳者の解説になっていて、一 -
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政治学の概説書で良く紹介されるアリストテレス。云わく「人間とは政治的動物である」(本書では「人間は自然本性的に国家を形成する動物である」)とか、王制と独裁制、貴族制と寡頭制、共和制と民主制という6つの国制分類など。そうした概説書ベースの紹介でのみ知っていた著書『政治学』をやっと通読した。
ホッブス以降の政治学、また近代国家における国家像をイメージして本書を読むと、これが政治学の本かと違和感を持つかもしれない。
「善く生きること」が最も重要であり、アリストテレスによれば国家とは最高善を目指す共同体であり、人間は国家共同体に関わってのみ人間の自然本性を発揮できるということになる。
「自 -
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「善」とは、単なる信条ではなく実際の行為であり、善いことを行為する事こそが善いことである。そしてその行為は、「性向」として、本人がそれを望むがゆえに積極的な態度で行われる必要がある。善きことを「適当な程度」に望む性向が「徳」。例えば、過剰な勇気は蛮勇であり、過少な勇気は臆病であるように。言ってみれば、徳は中庸と呼べる行き方、態度に関わる性向と言えるか。テキトーにやる、のでなく、適当を見極める、なので、非常に能動的かつ精神を働かせる形ではあるが。
個人的に興味深いのは、キリスト教が支配的になる以前は、こうしたバランスを取る事を良しとする生き方が称賛されていたのだ、ということ。アウレリウスの自省録