高橋和巳のレビュー一覧
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ネタバレ語り口はとても好きなので他のを慎重に選んで読みたいな、と思った。ものすごくきもちわるい?どうしようもない悲しさのような?所と言葉がすごいきれいだな、と思う所があって、難しくしようと思えばいくらでも難しくできるし、簡単にしたらしたで空しいような…これは落ち込んでる時に読めない本だと思った。下巻が手に入らないまま読んだけれどこれはこれでいいのかもしれない。青戸さんが気になるなー…。
「~愛されない嬰児がよく道ばたに寝ころがって足をばたつかせてわめいてるだろう、自分を忘れないでくれってね。醜態だ、それは。そういう場合に心理学者は、泣きわめくのが阿呆くさくなるまで放っておくことにしている。」
「~ -
Posted by ブクログ
大学に入って直ぐに大学の生協で入手したのだと思う。
立て看にマルクス文字が踊り、学生運動の余韻が微かに残る時代。折原浩の東大闘争の本を読み、次いで本書を手にした。
副題の「わが内なる告発」というのが痛々しい。
京都大学の助教授時代、学生運動の問題提起を真正面から受け止めた。
そして、痛烈なる自己告発の果てに得られるのは自己解体。
その真摯な姿勢に襟を正さずにはいられない。
しかし、それ以外の道行はなかったのかと暗然とした気にさせてもくれる。
そして、癌に侵される。癌の進行と共に、肉体的にも解体してしまう。
何という激しい生涯。
自己の文学的才能に匹敵する者は三島由紀夫しか居ないと三島をライバル -
Posted by ブクログ
なんとも複雑な話し。主人公の私は特攻隊の生き残りで、生き残ったことに負い目のような感情を抱きつつ、家族を養うために生きる・働く義務を感じている。また、地方中堅メーカーの組合の代表として経営陣に対していながら、役員の椅子を提案され動揺している。妻や子があり、未婚の妹と一緒に暮らしながら、女性社員と浮気する。組合活動の限界を感じながら、正論の旗を下ろせない。人間が持つ両面性や矛盾の中で生きる男。最終的には、伏せていた秘密が暴かれ、課題が爆発し、どうにもならなくなってしまうが、そのことがかえって肩の荷を下ろしたような安堵につながる。これも矛盾。なんとも思いストーリーだが、共感できるところも多い。