犬童千絵のレビュー一覧
-
購入済み
実在の女王
古代エジプトを舞台にした漫画は結構ありそうなのに、実際見るべき作品は少ない。この作品はその点だけでも貴重である。ヒロインが「実在の女王である」という点がなかなかに迫力を持って描き出されている。作者の画力も高く、古代エジプトの風物がくっきりとした絵で描き出されていて感銘を受けた。
-
Posted by ブクログ
ネタバレネットで1巻の一部分を読んで、全体を知りたくなった『蒼いホルスの瞳』(犬童千絵)。
読みながら学生時代にエジプト唯一の女性ファラオ・ハトシェプストについて調べていた時の事を思い出してました。
何の講義だったのか…残念ながら忘れてしまったけれど、彼女に魅力を感じて調べる事になった事は確かです。
それまで『王家の紋章』(細川智栄子)や『天は赤い河のほとり』(篠原千絵)で【ファラオは男である】という事を読み続けてきた事もあったからという事も大きかったかもしれない。
そんな事もあり本書を読む前に彼女についての軽い知識はあったので、
ここで描かれた【IF】は面白かった。
先にあげ -
Posted by ブクログ
王として存在することを望むシェプスト。人として彼女を愛したセンムト。その両者のすれ違いが、新たな亀裂を産んでしまう6巻。
ファラオにあこがれた原風景は、神の力強さにあるシェプスト。それが男性の形をとるであろうことは想像の範疇ではあるのですが、センムトからすれば、これまでの慣例を打破した新しいファラオということを後世まで知らしめたい。
人の魂を象ったものが石像というのであれば、自分の石像は力強さを象徴する男性的であるべき。そう思い込んでいた彼女に、女性の石像はやさしさでなく、弱さと取ってしまいました。
そこにつけ込むパネヘシ。
そして、軍の支持を受け再び舞台に戻ってきたトトメス3世。
穏や -
Posted by ブクログ
1980年の北インド。捜査のため盗賊団へ潜入する探偵のサラサ。彼女が潜入した盗賊団は、支配者層20人を殺害した「カランカル虐殺事件」の主犯と見られる一団で、リーダーは女性。「盗賊の女王」として崇拝されてゆく彼女を逮捕するための潜入劇。
だが、盗賊団に潜入し生活を共にしてゆく中で、不思議なことに友情が生まれてゆき、ただただ「悪」であると断じてよいのかどうか、という葛藤が生まれてゆくんだろうなぁ。
潜入しているサラサという女性の信念が社会正義よりも、既存権力を見返すといった方向に強く傾いているのが、友情や友誼を育んでしまう要因の一つではないだろうかと思います。
そもそもが、父親への反抗心、彼を含 -
Posted by ブクログ
女だてらにファラオにまで登り詰めたハトシェプストを描いた漫画。性別故に軽んじられるハトシェプストが権謀術数を用いて生き抜いていく。善隣外交の印象の強い(ハトだけに)人物だが、実はエジプト一刻を統治するだけあって硬軟織り交ぜた生き様を見せつけてくる。Civ4で知ったかぶりをしているだけだった人物を詳しく知れて面白かった。
しかし、古代エジプトには謎が多い。例えば前ファラオであるトトメス2世の治生は3年説と13年程度という説がある。漫画では前者を取っているようだ。
作者は資料を調べてもすぐ行き詰まることが多かっただろうが、それでも大作を描ききったこと、感動である。ハルタにハズレ無し。 -
Posted by ブクログ
男装のファラオ・ハトシェプスト誕生の5巻。
理想の政治へと邁進し続ける彼女の道行は順調のように思えるが、常に不穏をはらみながら進んでゆく。
なによりトトメス3世の周囲の存在でしょうか。
父性からも母性からも遠ざけられてしまった形の少年の心にぬらりと入り込んでくる、サトイアフとハプスネフ。
ここでハプスネフが自身の野心を成就させるべく、シェプストの下を離れた感があります。
崖の上で夜空を眺めたあの一夜が、最後の平穏な思い出になりませんようにと願うばかり。
巻末おまけで、メジェエド大人気について語られてます。何がどうしてそうなったのかよく知らず、P5のせいだと思ってました。
ぜんぜん違う -
Posted by ブクログ
自分が理想とする治世を行うため、なんとかしてトトメス2世に対抗しようとするシェプスト。しかし、ファラオという神の権力を持つ存在には、彼女個人では抗えきれずに、兄王の軍門に下ることに。屈辱の性交。
結果、皮肉なことに母となったことで、守るべき存在のためには手段を選ばないという非情な覚悟を持つにいたります。
病に侵されたトトメス2世を暗殺し、即位したトトメス3世の摂政として、統治者としての地位を得たシェプスト。彼女が今後、自分の理想を現実にするためにどんな困難を克服していくのか。
神官たち既存権力。ソティスのような女の派閥争い。兄殺しと王殺しの罪の意識。他国との外交。外に内に立ちはだかるであろう